石炭や鉄鉱石を扱う屋外ストックヤードは、広大な面積と日々変化する山の形状が重なり、正確な在庫把握を難しくしています。従来の人手による計測では、担当者が堆積物の斜面に上ったり、粉塵や熱気のある環境を歩き回ったりする必要があり、安全面での負担が小さくありません。3Dスキャン技術を活用すると、ヤード内への立入りを大幅に減らしながら、体積ベースの在庫数量を短時間で把握できます。本記事では、計測手順・運用上の留意点・現場でよくある相談を整理し、東海エアサービスの進め方を紹介します。
3Dスキャンによる在庫計測のしくみ
ドローン(UAV)または地上型レーザースキャナを使用することで、ヤード全体の三次元点群データを非接触かつ短時間で取得できます。得られた点群から堆積物の表面モデルを作成し、事前に設定した基準面(ヤード底面・コンクリート舗装面など)との差分を体積として算出します。
ドローン計測と地上型スキャナの使い分け
| 方式 | 主な適用場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| DJI系RTK/PPK対応ドローン | 広大ヤード・複数山の一括計測 | 上空から俯瞰するため斜面全体を効率よくカバー。RTK/PPK対応で基準点の設置を最小化できる |
| 地上型レーザースキャナ | 屋根付きヤード・ドローン飛行が難しい環境 | スキャナを複数箇所に設置し、死角を補完しながら高密度な点群を取得 |
どちらの方式でも、計測作業中に担当者がヤード内を歩き回る時間は従来の人手計測と比べて大幅に短くなります。石炭・鉄鉱石のように粉塵や熱を帯びる環境では、この「滞在時間を減らす」こと自体がリスク低減につながります。成果物はLAS・LAZ形式の点群データのほか、DWG・DXF・PDF形式でも提供できます。
在庫棚卸し計測は、ドローンで山ごとの体積を測って重量に換算し、計測から3営業日以内を目安にレポートにします。
- 1ヒアリング材料と嵩比重、ヤードの広さ、山の数、頻度を伺います。
- 2飛行計画飛行の可否と標定点の配置を決めます。
- 3現地計測ドローンで計測します(1現場あたり半日〜1日)。
- 4体積の算出地盤面を設定して山ごとの体積を出し、重量に換算します。
- 5レポート計測から3営業日以内を目安に、PDFでお渡しします。
運用上の留意点
基準面の設定と山の重なり
体積計算の精度は基準面の正確さに依存します。ヤードが傾斜している場合や、複数の銘柄が隣接して積まれている場合は、山の境界をどう定義するかを事前に取り決める必要があります。初回計測前にヤードが空の状態または残量最小の状態でスキャンしておくと、以後の基準面として繰り返し利用できます。
形状変化・含水率と定期計測での差分管理
石炭は雨天後に表面の含水状態が変わり、形状が緩やかに変化することがあります。単回の計測値をそのまま在庫量とするより、定期的にスキャンして前回との差分(払出し量・受入れ量との突合)を継続的に管理する運用が現場に合っています。
粉塵・熱環境への配慮
石炭ヤードの夏期は熱がこもりやすく、ドローンのカメラやスキャナのレンズに粉塵が付着しやすい環境です。計測前の機器点検と、風向き・気温のタイミングを考慮したスケジューリングが品質を安定させます。これらは計測計画の段階で施設担当者と確認します。


