鉄スクラップの置き場や産業廃棄物の集積ヤードで「この山が何トンあるのか」を正確に把握するのは、思いのほか難しい作業です。堆積物の形は毎回異なり、単純な縦×横×高さでは誤差が大きくなります。材料ごとにかさ密度(見かけ密度)は大きく違い、含水状態や圧縮度によっても変動します。さらに不安定な山に人が登って測量すると、崩落・転倒のリスクが伴います。こうした課題を解決する手段として、ドローンや地上型レーザースキャナによる3D点群計測が、産廃・スクラップ業者や産廃を管理するゼネコン・工場から注目されています。
容積計測のワークフロー
3Dスキャンによる堆積量計測は、大きく次の流れで進みます。
| ステップ | 内容 | 使用技術・成果物 |
|---|---|---|
| ① 現地取得 | ドローン空撮または地上型レーザースキャナで堆積物を全周スキャン | DJI系RTK/PPK対応機、地上型レーザースキャナ |
| ② 点群生成 | 写真測量(SfM)または直接スキャンデータから高密度な3D点群を構築 | Metashape / Pix4Dmapper、LAS・LAZ形式 |
| ③ 地表面モデル作成 | 堆積物の外形を三角網(TIN)または格子モデルでサーフェス化 | TREND-POINT / TREND-ONE |
| ④ 容積算出 | 基準面(ヤード床面)との差分から体積を算出 | DWG・DXF・PDF形式で成果物納品 |
計測方式の使い分け
- ドローン空撮(写真測量):広いヤード全体や複数の山を一括して把握したい場合に向く。飛行高度を調整することで、面積の広い敷地にも対応できる。
- 地上型レーザースキャナ:屋内ストックヤードや屋根付き施設、ドローンが進入しにくい囲まれた空間に有効。スキャナを複数位置に据えてオクルージョン(死角)を補完する。
- RTK/PPK測位:GCP(地上基準点)の設置が難しいヤード環境でも、機体側で高精度な位置座標を取得できる。
容積から重量への換算と注意点
3D計測で得られるのはあくまで「体積」です。重量へ変換するにはかさ比重(見かけ密度)を乗じる必要がありますが、この値は素材の種類・形状・圧縮状態・含水率によって相当の幅をもちます。
- 素材ごとのばらつき:解体鉄筋と薄板プレスくずでは、同じ「鉄スクラップ」でも積み方や空隙率が大きく異なるため、かさ比重は一律に設定できない。
- 含水・付着物の影響:雨天後のがれき類や湿潤した廃棄物は、乾燥時と比べて重量が増える。計測日の状態を記録・明記することが重要。
- 形状の不均一性:山の下部ほど上からの荷重で圧縮されていることがある。表層の平均比重をそのまま全体に適用すると誤差が生じやすい。
- 換算値はあくまで推定:3D計測による体積は実測値として信頼性が高いが、比重の選定根拠(採用した換算値・条件・測定日)を明示したうえで使用することが前提となる。
重量換算は「体積×かさ比重」という構造自体はシンプルですが、前提条件の設定が適切かどうかが精度を左右します。比重の出典・測定条件を成果レポートに記載しておくと、社内承認・行政報告・取引先への説明に使いやすくなります。
現場でよくある相談
- 「在庫の重量根拠をきちんと持ちたい」:目視や巻き尺による概算では取引先や行政に説明しにくいという声が多い。定期的に3D計測を行い、日付入りの体積レポートを蓄積することで、重量の根拠資料として活用できる。
- 「危険な山には登らせたくない」:崩落リスクのある廃棄物の山や、鋭利なスクラップが積まれた場所に作業員を立ち入らせずに計測したい、という安全上の相談が増えている。ドローンや地上スキャナなら人が乗り込まずに形状を把握できる。
- 「搬出量と残量の差を定期的に確認したい」:月次・週次でヤードの残量を把握し、搬出記録との突き合わせに使いたいというニーズがある。同一条件で繰り返しスキャンすることで変化量も把握できる。
東海エアサービスの実務での進め方
- 事前ヒアリング(見積時の確認項目):対象ヤードの面積・屋内外の別・計測頻度・基準面の状態(コンクリート床か土か)・成果物の用途(社内管理用か行政提出用か)・堆積物の種別(金属系・建設廃材・混合廃棄物等)を確認する。
- 機材選定:屋外の広いヤードにはDJI系RTK/PPK対応ドローンで空撮測量、屋内・狭小ヤードには地上型レーザースキャナを選択。状況によって両者を組み合わせる。
- ロケハン(現地確認):初回は現地ロケハンを行い、障害物・電線・近隣建物・飛行禁止区域の有無を確認してから計測計画を立てる。
- 点群処理・容積算出:TREND-POINTで点群を処理し、堆積形状のサーフェスモデルと体積値を算出。基準面の設定根拠も成果物に明記する。
- 成果物の納品:LAS/LAZ(点群)・DWG/DXF(図面)・PDFレポートの組み合わせで納品。用途に応じて成果物の種類・縮尺・座標系を調整する。
- 定期計測への対応:月次・四半期など継続的な計測にも対応。測量業登録 第(1)-37730号、全省庁統一資格を保有し全国対応。
3D計測・在庫数量化
ヤード・サイロの在庫体積、堆積物の数量を点群で把握
在庫・堆積物の体積把握は、計測手法と基準面の設計で精度が決まります。ヤード・サイロ・スクラップの数量化はご相談ください。関連の考え方は土量・コストの記事一覧にまとめています。
在庫・堆積物の3D計測のご相談
- ドローン・地上型レーザースキャナによる3D計測(測量業登録 第(1)-37730号・全国対応)
- お問い合わせ / TEL: 050-7117-7141(平日9:00–18:00)
— TAS Technical Writing Team(技術記事監修)
