バイオマス発電所・工場での石炭・PKS(パームヤシ殻)の燃料在庫管理は、運転継続に直結する重要課題です。帳簿上の在庫と実際の山の量がずれていると、燃料切れによるボイラー停止リスクや、過剰在庫による保管コスト・品質劣化につながります。しかし屋外ヤードや屋内サイロに積み上がった不定形の燃料山を、目視や単純なメジャー計測で正確に把握するのは困難です。3D計測技術を活用した定量的な棚卸しが、在庫差異の解消と安定操業の鍵となります。
3D計測による燃料棚卸しの仕組み
ドローンまたは地上型レーザースキャナで燃料ヤードを計測し、点群データから堆積体積を算出するのが3D棚卸しの基本的な流れです。屋外・屋内の設備形態によってアプローチが異なります。
| 設備形態 | 主な計測手段 | 特徴・留意点 |
|---|---|---|
| 屋外オープンヤード(石炭・PKS山積み) | DJI系RTK/PPK対応ドローン(写真測量) | 広範囲を短時間でカバー。屋外のため衛星測位を活用しやすい |
| 屋内サイロ・ドーム型倉庫 | 地上型レーザースキャナ | 衛星測位が届かない屋内でも計測可能。複数位置からスキャンし内部の堆積形状を把握 |
| 半屋外シェッド・倉庫 | ドローン+地上スキャナの併用 | 屋根や柱の陰を補完。死角をなくすために複数の計測位置を設定 |
計測後は点群処理ソフト(TREND-POINT・TREND-ONE)で基準面(コンクリート床面・ヤード舗装面)と燃料山の上面を分離し、差分から堆積体積を算出します。成果データはLAS/LAZ形式で保存し、DWG・DXF・PDFで体積計算書を出力できます。
在庫差異が生じる要因と定期計測による差分管理
燃料の在庫差異は複数の要因が重なって生じます。主な原因を理解することで、どの段階に管理の重点を置くべきかが明確になります。
- 堆積形状の偏り:払い出し時に山の片側だけ崩れ、目視による残量推定が実態とかい離する
- 安息角の変化:PKSは含水率や粒度によって山の崩れ方が変わり、同じ高さでも体積が異なる
- 含水による重量変動:降雨後は表面・内部の含水量が増加し、体積は変わらなくても重量ベースの帳簿在庫とずれる
- 払い出し記録の誤差積み上げ:ローダーや搬送コンベアの搬出量を積算する際の誤差が月次・年次で蓄積する
- 基準面の未設定:ヤードの凹凸や傾斜を考慮せずに体積計算すると、系統的な誤差が生じる
対策として有効なのは、定期的な3D計測による差分管理です。前回計測時の点群と今回の点群を重ね合わせ、搬入量・払い出し量との整合を確認します。差分が生じた箇所を把握することで、どの燃料山・どの期間に問題が起きているかを特定しやすくなります。計測頻度は月次が一般的ですが、在庫変動が大きい設備では週次・隔週での実施を検討する施設もあります。
現場でよくある相談
- 「帳簿と実在庫が数週間でずれてしまう」:払い出し量の積算誤差と堆積形状の変化が複合的に影響しているケースが多く、点群による定期的な現況把握で差異の発生タイミングを絞り込める
- 「燃料切れを起こしたくないが、どこまで食い込んでいいかわからない」:3D計測で現在の正確な堆積体積を把握したうえで、次回搬入までの消費量と照らし合わせることで、安全在庫ラインを数字で議論できるようになる
- 「屋根付き倉庫はドローンが使えないと思っていた」:地上型レーザースキャナであれば屋内・半屋内でも対応可能。複数位置からのスキャンの組み合わせで内部の堆積形状を取得できる
東海エアサービスの実務での進め方
測量業登録(第(1)-37730号)・全省庁統一資格を保有し、全国の発電所・工場に対応しています。燃料棚卸し計測では以下の手順で進めます。
- 事前ヒアリング(見積時に確認する項目):ヤードの面積・屋内外の区別・基準面の状態(コンクリート舗装か砕石か)・計測禁止エリアの有無・搬入搬出が止まる時間帯・過去の帳簿在庫データの有無
- 計測機材の選定:屋外の広大なヤードはDJI系RTK/PPK対応ドローンで写真測量、屋内・半屋内は地上型レーザースキャナ、または両者の組み合わせで死角を補完
- 基準面の設定:ヤード床面を別途スキャンまたは設計図面から取得し、燃料山との差分で正味体積を算出。傾斜・凹凸がある場合は補正をかける
- 点群処理と体積計算:TREND-POINT・TREND-ONEで点群を処理し、堆積体積を算出。LAS/LAZ・DWG・DXF・PDFで成果物を納品
- 差分管理への対応:前回計測時のデータを保管し、次回計測時に点群を重ね合わせて増減を確認。定期計測の場合はデータ蓄積による傾向把握が可能
- 安全配慮:可燃物を扱うヤードでの飛行は、静電気・粉塵などのリスクを踏まえた飛行計画書を事前に作成し、施設の安全担当と確認してから実施する
3D計測・在庫数量化
ヤード・サイロの在庫体積、堆積物の数量を点群で把握
在庫・堆積物の体積把握は、計測手法と基準面の設計で精度が決まります。ヤード・サイロ・スクラップの数量化はご相談ください。関連の考え方は土量・コストの記事一覧にまとめています。
在庫・堆積物の3D計測のご相談
- ドローン・地上型レーザースキャナによる3D計測(測量業登録 第(1)-37730号・全国対応)
- お問い合わせ / TEL: 050-7117-7141(平日9:00–18:00)
採石・骨材・石炭・木質チップ・スクラップなどの在庫棚卸しは、ドローン在庫計測サービス(料金・対応材料・計測の流れ)で対応しています。月次・四半期の定期計測もご相談ください。
