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SfM点群処理ソフト徹底比較ガイド:用途別(土量/構造物/工場設備)で失敗しない選定とワークフロー設計
Point Cloud / Photogrammetry / BIM

SfM点群処理ソフト徹底比較ガイド:
用途別(土量/構造物/工場設備)で失敗しない選定とワークフロー設計

対象:ゼネコンの施工・設計・ICT担当、測量会社、工場・プラントの設備担当/フォーカスキーワード:SfM点群処理ソフト 比較, RealityCapture, Metashape, Pix4D, TREND-POINT, ReCap

ドローン写真測量や地上カメラによるSfM(Structure from Motion)は、土量・造成から構造物、工場設備まで、現場の「3D化」を一気に加速させました。一方で、SfM点群処理ソフトは機能も価格帯も幅広く、「どれを選ぶべきか」で迷うケースが増えています。

本ガイドでは、RealityCapture/Metashape/Pix4Dなどの代表的なSfMソフトに加え、ReCapやCyclone、TREND-POINT、EdgeWiseといった点群編集・配管モデリング系ソフトも含めて比較。土量・造成/建築・土木構造物/工場・プラントといった用途別に、「どの組み合わせが現場のKPI(工期・精度・コスト)に効くのか」を整理します。

3つの用途別パターン 土量/構造物/工場設備で変わるソフト構成を整理
比較表で俯瞰 主要SfM+点群編集ソフトを機能・価格帯で一覧化
後工程まで逆算 BIM・配管アイソメ・出来形照査から見た選定基準

この記事で分かること(Overview)

本コラムは、SfM点群処理ソフトの「カタログ比較」ではなく、現場ワークフローの中で、どこにボトルネックが生まれやすいかを出発点にしています。読み終える頃には、次のようなイメージが持てるはずです。

  • 土量・造成、構造物、工場設備など、用途別に“ちょうどいい”ソフト構成を選ぶ考え方
  • RealityCapture/Metashape/Pix4D/TREND-POINT/ReCapなどの代表的ソフトの位置づけと価格帯の感覚
  • 点密度・テクスチャの“見た目”ではなく、後工程(BIM・配管アイソメ・出来形照査)から見た品質評価軸
  • 内製化と外注の境界線を決めるための、ライセンス+教育コストの考え方

要点:SfM点群処理ソフト選定の勘所

多くの現場で、「点群がきれいに見える」「写真枚数が多くても落ちない」といった観点でSfMソフトが選ばれています。しかし、ソフト選びの成否が効いてくるのはその先──土量算出、出来形照査、配管モデリング、干渉チェックなどの後工程です。

SfM点群とTLS点群の役割分担と限界

SfM(写真測量)とTLS(地上型レーザースキャナ)は、得意分野がはっきり分かれます。

  • SfM(写真測量):広域・高低差のある地形、土量・造成、建物外観などに強い。カメラとドローンのみで構成できるため、初期投資が比較的軽い。
  • TLS:構造物・工場内部の配管・設備、橋梁・トンネル、精度要求の高い出来形照査に強い。距離測定精度が高く、遮蔽部の少ない堅牢な点群を取得しやすい。

したがって、土量・造成では「SfM単独」でも成立しやすい一方、工場・プラントや高精度出来形では、 「TLSメイン+SfM補完」とし、それらを統合できるソフトが必要になります。

「きれいな点群」より「後工程で使える点群」

点群処理ソフトの画面上では、どのソフトも美しい3Dモデルを描画できます。しかし、 土量・出来形・配管モデリングに使えるかどうかを分けるのは次のポイントです。

  • 基準点(GCP)や既知点を使った絶対座標精度の管理がしやすいか
  • 不要なノイズや歪みを抑えた“薄くて素直な点群”を生成できるか
  • Revit/Civil 3D/Plant 3D/i-Construction系CIMツールへ無理なく渡せるファイル形式

見た目の点密度やテクスチャの美しさだけで選ぶと、「モデリングや数量計算の段階で点群が邪魔になる」という失敗が起こりやすくなります。

SfM点群ソフトの基本機能と評価軸

SfM点群処理ソフトは、大きく「フォトグラメトリ中核エンジン」と「点群編集・解析・モデリング」の2レイヤーに分けて考えると整理しやすくなります。

写真枚数・重複度とアライメント品質

SfMのワークフローは大まかに、

  1. 画像取り込み・品質チェック
  2. アライメント(カメラ位置・姿勢推定)
  3. 高密度点群生成/メッシュ生成

土量・造成など屋外のテクスチャが豊富な現場では、多くのソフトが安定して処理できますが、工場内の金属配管や白いタンク、類似テクスチャが続く倉庫内では、アライメント品質がソフトごとに大きく差が出ます。

評価する際は、

  • GCP/検証点に対する誤差レポートが確認しやすいか
  • ブラー写真や露出の悪い写真を自動検出し、アライメントから除外する機能があるか
  • 金属面やガラス面での乱れに対して、どの程度ロバストか

をチェックしておくと、「いざ工場案件で使ってみたら崩壊した」という事態を避けやすくなります。

大規模点群の処理速度・安定性・クラウド活用

数千〜数万枚の画像から生成される点群は、数十億点規模に達することも珍しくありません。ここで効いてくるのは、次のようなポイントです。

  • GPU対応:GPU活用が弱いソフトは処理時間が極端に長くなりやすい
  • マシンリソース管理:メモリ上限を超えたときに落ちにくいか、分割処理がしやすいか
  • クラウド処理:PCスペックに依存せずクラウドで重い処理を投げられるか(従量課金の有無も含めて)

座標系管理とBIM/CIM・CADとの連携

点群そのものは中間生成物であり、最終的には、

  • 土量計算用のTIN/グリッド(LandXMLSXF など)
  • 出来形照査や変位解析のための断面・統計値
  • 配管・鉄骨などの3Dオブジェクト(IFC/RVT/DWG/PCF など)

として活用されます。そのため、

  • 測量座標系(JGD2011など)やローカル座標への座標変換機能
  • ReCap/RCP、E57LAS/LAZなどの業界標準フォーマットへのエクスポート
  • Revit/Civil 3D/Plant 3Dなどとの連携プラグイン/ダイレクトリンク

を持っているかどうかが、後工程の手戻りに大きく影響します。

主要SfM/点群処理ソフトの比較表

ここでは、代表的なSfM点群生成ソフトと、点群編集・配管モデリング系ソフトを、用途・特徴・価格帯のイメージで俯瞰します。価格は公開情報や市場感覚をもとにした一般的なレンジであり、実際の見積もりは別途ご確認ください。

フォトグラメトリ(SfM)系ソフトの比較

ソフト名主な用途特徴ライセンス・価格帯(目安)向いている案件
RealityCapture広域ドローン測量/構造物/屋内外混在非常に高速な処理と高品質なメッシュが強み。
Unreal Engineとの親和性が高く、ビジュアライゼーション用途にも向く。
商用サブスクリプションが中心。
年間概ね 40〜150万円前後(規模・オプションにより大きく変動)。
大規模な土量・造成、橋梁・構造物の詳細モデル、
工場・プラントの現況モデル化など。
Agisoft Metashape空中写真/近接写真/文化財/構造物柔軟なワークフローと安定性。
スクリプト・バッチ処理も充実し、研究〜実務まで広く利用。
プロフェッショナル版の永久ライセンスで
1ライセンス 40〜80万円前後+保守
土量・造成、斜面・法面、橋梁・ダムなど、
安定処理が求められる案件全般。
Pix4D(Pix4Dmatic/Mapper など)ドローン測量/インフラ/農業/資産管理測量向け機能が充実し、
専用のクラウド連携・モバイルアプリも豊富。
サブスクリプション中心。
1ユーザーあたり年間 30〜120万円前後のレンジ。
土量管理、道路・線路沿いの測量、
インフラ点検・管理の定期運用。
DJI TerraDJIドローンとの一体運用DJI機との連携がシンプルで、
現場オペレーターでも扱いやすいUI。
年間サブスクや永久ライセンスが選択可能。
年間 20〜80万円前後(エディションにより変動)。
DJI機を中心に土量・出来形を内製したい現場、
小〜中規模プロジェクト。
Autodesk ReCap Pro(写真オプション含む)TLS点群・写真の前処理/BIM連携レーザースキャナ点群のクリーニング・登録に強く、
Autodesk製品との連携がスムーズ。
Autodesk製品のサブスクリプション。
年間 7〜15万円前後が目安。
Revit/Civil 3D中心のワークフローで、
点群を前処理して活用したい案件。
OpenDroneMap/WebODMOSSによるドローン写真測量オープンソース。自社サーバーで運用可能。
スクリプト・自動処理との組み合わせに向く。
ソフトは無償だが、
クラウド版やサポート付きUIは年間 数万円〜程度。
土量・地形・農業など、
コストを抑えつつワークフローを自前構築したい組織。

点群編集・配管モデリング・TREND-POINTの比較

SfMで生成した点群は、そのままでは土量・出来形・配管設計に使えません。ここでは、点群編集・登録・モデリングに用いられる代表的なソフトと、土木向け統合ソフトであるTREND-POINTを比較します。

ソフト名主な役割特徴価格帯イメージ(目安)おすすめ用途
Autodesk ReCap Pro点群の前処理・登録・軽量化レーザースキャン+SfM点群のインポート、
クリーニング・簡易編集・RCP出力。
サブスクリプションで年間 7〜15万円前後Autodesk製品中心のBIM/CIMワークフロー全般。
Leica Cyclone REGISTER 360TLS点群の高精度レジストレーションガイド付きワークフローとQA/QC機能が充実。
大規模点群を安定して扱える。
スキャナ機本体とセットで
数百万円〜1,000万円超の構成になることが多い。
工場・プラント/橋梁/トンネルなど、
TLSメインの高精度案件。
EdgeWise(ClearEdge3D)配管・鋼構造・ダクトの自動モデリング配管/鉄骨/ダクト等の自動・半自動抽出。
Revit/Plant 3D 等に直接エクスポート。
高価格帯で、
年間 150〜400万円前後のレンジ。
工場・プラントの配管更新、
MEP/鉄骨のScan-to-BIM案件。
TopoDOTインフラ系の地物抽出・線形・路面解析道路・鉄道・電線・施設等のフィーチャ抽出に特化。
線形・断面・路面性状解析など。
ライセンス買い切り+利用日数課金など。
初期 200〜500万円前後が一般的。
道路・鉄道・インフラCIM、
モバイルマッピングシステムの後処理。
TREND-POINT(福井コンピュータ)土工/出来形/CIM向け点群・断面処理土木設計ソフトと連携しやすく、
出来形評価・路面解析・断面作成など土工系機能が充実。
保守込みの年間契約で
概ね 80〜200万円前後(構成・オプション次第)。
道路・河川・造成などのCIM案件、
出来形評価や数量算出を内製化したい土木部門。
CloudCompare(OSS)点群編集・解析のユーティリティオープンソース。フィルタリング・断面・統計解析など、
汎用的な処理に対応。
ソフト自体は無償。
教育・運用は社内リソース次第。
単発の解析や、既存ツールの補完的な用途。

ポイント:「全部入り」のソフトは存在しません。
①SfMコア②点群編集/出来形③用途別モデリング(土量/構造/配管)というレイヤーで、「どこを内製し、どこを専門ツールや外注に任せるか」を決めていくのが現実的です。TREND-POINTのような土木特化ソフトも、このレイヤーの中で位置づけると整理しやすくなります。

用途別:土量・構造物・工場設備でのおすすめ構成

ここからは、分野別にソフト構成のイメージを整理します。実際の導入検討では、既存のCAD/BIM環境や社内スキルセットも踏まえて組み合わせを検討します。

土量・造成/道路・造成系プロジェクト

  • 目的:土量算出、出来形照査、設計地盤との比較、工程ごとの変化管理
  • 構成イメージ:
    • SfM:Pix4D/Metashape/RealityCapture など
    • 点群編集・出来形:TREND-POINT/ReCap Pro/CloudCompare 等
    • 土量・出来形:CIM対応土工ソフト、Civil 3D、LandXML連携ツール等
  • ポイント:絶対精度(GCP管理)と、LandXML/SXFなどの土工系フォーマットをきちんと出せるかが重要。TREND-POINTを中心に据えると、出来形から設計比較までを一気通貫で回しやすくなります。

建築・橋梁・構造物の出来形・変位計測

  • 目的:構造物の形状把握、変形・たわみ・沈下の把握、BIMとの比較照査
  • 構成イメージ:
    • 取得:TLS+必要に応じてSfM補完
    • 点群登録:Cyclone REGISTER 360/ReCap Pro 等
    • 解析:CloudCompare/TREND-POINT/専用変位解析ツール/BIMソフト
  • ポイント:SfM単独よりもTLSメインの構成が多くなり、レジストレーション精度座標系管理が勝負どころになります。

工場・プラントの配管更新・点検DX

  • 目的:既設配管・設備の3D化、配管ルート検討、干渉チェック、停止時間の最小化
  • 構成イメージ:
    • 取得:TLS(屋内)+SfM/ドローン(屋外・屋上)
    • 点群登録:Cyclone/ReCap/他専用ツール
    • 配管モデリング:EdgeWise/Plant 3D/E3D 等
  • ポイント:配管・鋼構造の自動/半自動抽出機能があるか、PCF/IDF/IFCなどで設計側に渡しやすいかが採用の鍵となります。土木側がTREND-POINT、設備側がEdgeWise+Plant 3Dという役割分担も現実的です。

プラント・工場案件で押さえたい追加要件

プラント・工場の案件は、土量や構造物に比べて「配管と鋼構造」が主役です。この分野では、次のような要件がソフト選びを大きく左右します。

配管・鋼構造の自動/半自動抽出(Pipe-Fitting認識)

点群から配管をモデリングする作業は、最も工数がかかる工程のひとつです。ここで効いてくる機能として、

  • 円筒(Pipe)の自動検出→センターライン+口径の自動推定
  • エルボ/T字/フランジ等の継手パターン認識
  • 鉄骨のH形鋼・C形鋼・角パイプ等の断面テンプレート認識

があります。EdgeWiseのような専用ソフトを使うか、Plant 3D等のモデリングソフトにプラグインを組み合わせるかは、案件ボリュームと社内リソースによって判断します。

複数センサー(TLS・UAV・SfM)の統合レジストレーション

工場・プラントでは、屋外・屋上をドローン、屋内をTLS、狭所やラック内をハンディスキャナといったように、複数センサーのハイブリッド計測が一般的です。

  • 異なる点群密度・ノイズ特性を持つデータを、単一座標系に統合できるか
  • ターゲット/GCP/平面認識など、複数のアプローチでレジストレーションできるか
  • 統合後の誤差(残差)を、レポートで数値確認できるか

が重要になります。SfMソフト単体ではなく、Cyclone/ReCapなどの登録専用ツールをどう組み合わせるかも含めた検討が必要です。

アイソメ図・BIMモデルとのラウンドトリップ

最終的には、点群から生成した配管モデルを、

  • アイソメ図用のPCF/IDF
  • BIMモデル(IFC/RVT/DWG)

として設計側に渡していきます。ここで、

  • 材質・圧力条件・系統などの属性情報をどこまで持ち回るか
  • 点群ベースでの干渉チェックと、BIMモデル同士の干渉チェックをどのツールで実行するか

を先に決めておくと、「せっかくモデリングしたのに、設計側で属性が引き継げない」という手戻りを防げます。

導入・運用でつまずきやすいポイント

ライセンス形態と総コスト(サブスク/永久/従量課金)

SfM/点群ソフトは、サブスクリプション・永久ライセンス・従量課金(クラウド処理)などライセンス形態が多様です。検討時には、

  • 年間案件数と「重い案件」の頻度(高解像度・長尺・長期案件)
  • クラウド処理の従量課金有無と上限設定
  • 保守費用に含まれる範囲(アップデート/サポート/トレーニング)

をざっくりでも試算しておくと、「当初想定の1.5〜2倍のランニングコストになってしまった」という事態を避けやすくなります。TREND-POINTのように土木機能をまとめたソフトは、単体価格は高めでも「他ソフトを複数組み合わせるより安かった」というケースもよくあります。

UI/UX・教育コストと「どこまで内製するか」ライン

高機能なソフトほど、学習コストも高くなりがちです。特に、SfM+点群+配管モデリングまで一気通貫で内製しようとすると、 現場担当者の教育・定着が大きなテーマになります。

  • UIが直感的で、マニュアルを読み込まなくても基本操作ができるか
  • ショートカットやテンプレート、マクロ機能などで「自社標準フロー」を組めるか
  • ベンダーやパートナーによる日本語トレーニング・サポートがあるか

などを踏まえ、「点群生成までは内製、配管モデリングは専門会社に外注」といった線引きをするケースも増えています。

点密度=精度ではない:残差・誤差管理の実務

ありがちな誤解:粒が細かい=高精度

SfMは撮影枚数を増やせばいくらでも点密度を上げられるため、「細かく見える点群=高精度」と誤解されがちです。しかし実際には、

  • 座標系やGCP配置が不適切で、全体がゆがんでいる
  • 配管断面が“太く”見えてしまい、センターが特定しづらい

といった問題が起こり、モデリング・数量計算の邪魔になることも少なくありません。

見るべきは「残差」と「再現性」

点群品質を評価する際は、

  • GCP・検証点に対する誤差(残差)レポート
  • 同一箇所を別日に計測した際の再現性
  • 配管にフィットさせた円筒モデルとのフィッティング誤差

といった指標で判断するのが実務的です。ソフト選定時には、これらの数値を簡単に確認できるUIかどうかもチェックポイントになります。

【事例】SfM+点群処理ソフトで現場を変えたケース

最後に、SfM点群処理ソフトと点群編集ソフトを組み合わせることで、どのように現場のKPIが変わったかを、用途別に簡単に紹介します(実在案件をベースにしたイメージ事例)。

事例1:造成現場の土量算出を「週次→日次」へ高速化

状況:山留め・盛土切土が絡む造成現場で、従来は月次〜週次で土量算出を行っていたが、工程変更への追従が間に合わなかった。

対応:ドローン+SfM(Metashape/Pix4D等)で毎日夕方に現況点群を取得し、土量ソフトやTREND-POINTにLandXMLで連携。日次で差分土量を確認できる体制を構築。

効果:過剰な残土搬出・持ち込みのリスクを抑制し、土工コストを数%単位で圧縮。協力会社との数量トラブルも減少した。

事例2:物流倉庫スラブ不陸+BIMモデルでの合意形成

状況:AGV導入予定の物流倉庫で、スラブ打設後の不陸が懸念されたが、2m定規・3m定規だけではテナントと合意形成が難しい状況だった。

対応:TLS点群をReCap Proで前処理し、床面の高さデータをGeoTIFF/CSVなどで出力。BIMモデル上に不陸ヒートマップを重ね、JASS5/FF・FL基準に対する合否を数値+色分けで提示

効果:是正範囲と優先度をテナント側と客観的に共有でき、補修範囲の合意形成が1回の打合せで完了。工期遅延リスクを回避できた。

事例3:工場配管更新で停止時間を1/3に短縮

状況:既設配管の老朽化に伴い、停止時間が限られた中で更新が必要だったが、既設図面が古く信頼できない状況だった。

対応:停止時間内にTLS+ハンディスキャナで配管周りを集中的にスキャンし、SfMで補完。Cyclone/ReCapで点群統合後、EdgeWise等で配管を半自動抽出。事前にアイソメ図・スプール図を作成し、工場停止中は「据え付けと最小限の調整」のみに集中。

効果:現場の切断・再溶接等の手戻りがほぼゼロとなり、停止時間を従来比1/3程度まで圧縮。生産ロスと安全リスクを同時に低減できた。

FAQ:技術担当者がよく迷うポイント

Q1. 無料・安価なSfMソフトでも実務に使えますか?

A. 土量・造成など、比較的許容誤差が大きい案件では使えるケースもありますが、プラント・工場や高精度出来形には注意が必要です。安価なソフトの多くは、

  • 写真枚数・画像サイズに制限がある
  • GCP管理や誤差レポート機能が弱い
  • 配管抽出・複数センサー統合などの機能を持たない

といった制約があり、点群生成後のモデリング・設計照合で工数を大きく消費する可能性があります。土量案件は内製、工場案件は専門業者と連携するといった、「案件別の線引き」を前提に検討するのがおすすめです。

Q2. SfMとTLSの点群を統合する際の注意点は?

A. 最重要なのは、座標系の統一とレジストレーション精度の検証です。SfMとTLSは取得原理が異なるため、局所的な歪みやノイズ特性も異なります。

  • 共通のターゲット/GCPを両者から十分に見える位置に配置する
  • 統合後、複数箇所で「実測 vs 点群」の誤差を確認する
  • 土量案件では高さ方向、配管案件では径・芯位置など、用途に応じた指標でチェックする

自動レジストレーション機能に任せきりにせず、必ず誤差レポートと現物確認をセットで行うのが安全です。

Q3. 停止時間が極端に短い工場でも点群+SfMは使えますか?

A. むしろ停止時間が短い現場ほど、点群計測の“瞬発力”が効きます。停止時間内はTLSやハンディスキャナで最低限必要なエリアを一気に取得し、SfMや点群処理は停止後にまとめて実行する構成が現実的です。

東海エアサービスでは、停止時間を起点にした計測計画(動線・GCP配置・機器構成)からご一緒しますので、「停止は◯時間しか取れないが、その間にどこまで取れるか」といったご相談も歓迎です。

工場・土量・構造物のSfM点群活用は、東海エアサービスにご相談ください

「どのSfMソフトが自社に合うのか分からない」「現場のPCスペックやネットワークを考えると、クラウド処理が不安」「配管モデリングだけ外注したい」など、具体的な要件が固まる前の段階でも構いません。

東海エアサービス株式会社は、ドローン・TLS・ハンディスキャナを組み合わせた点群取得から、SfM処理ソフトの選定・運用設計、配管アイソメ・土量・不陸レポート作成までをワンストップで支援します。

Company

東海エアサービス株式会社(Tokaiair Service Co., Ltd.)

建設・インフラ・工場分野の3次元計測・解析に特化した技術サービスを提供。ドローン(UAV)、地上型レーザースキャナ(TLS)、モバイルLiDAR、SfM点群処理ソフトを組み合わせ、土量・不陸・出来形・配管モデリングなど、現場のDXを実務レベルで支援します。

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免責事項:本コラムに記載されたソフトウェア情報・価格帯・ワークフローは一般的な情報であり、特定メーカーの機能や料金を保証するものではありません。実際の導入にあたっては、必ず各メーカー・販売代理店の最新情報および元請・社内規程・関連法規に従ってご判断ください。

TAS Technical Writing Team(技術記事監修)