TLS(地上型レーザースキャナ)とは

TLS(地上型レーザースキャナ/Terrestrial Laser Scanner)とは、地上に三脚などで据え置いた機器からレーザーを周囲に照射し、対象物の表面を高密度な3次元点群として取得する計測技術です。一点ごとの距離と角度から座標を算出し、建物・構造物・地形・室内空間などをミリ単位に近い精度でデジタル化します。ドローン測量が上空から面的に捉えるのに対し、TLSは地上視点から立体的に対象を捉えるのが特徴です。

TLSの仕組みと特徴

TLSは機器を中心に水平・垂直方向へレーザーを高速で振りながら、反射して戻ってくる光を受光することで、無数の点の3次元座標を取得します。1台のスキャン位置から取れるのは「見えている範囲」だけのため、対象を一周するように複数地点で計測し、それらを後処理で重ね合わせて1つの点群に統合します。

距離計測の方式

距離の測り方には大きく2方式があります。タイムオブフライト方式はレーザーが往復する時間から距離を求める方式で、長距離計測に向きます。位相差方式は照射した光と反射光の位相のずれから距離を求める方式で、近〜中距離での高精度・高速取得に強みがあります。屋外の広い構造物か、屋内の精密計測かといった現場条件に応じて適した機器特性が変わります。

高密度・高精度な点群

TLSは1スキャンで数百万〜数千万点規模の点群を取得でき、エッジや段差、配管・鉄骨といった細部まで形状を残せます。写真測量では捉えにくい狭所や陰になりやすい部位でも、機器位置を工夫すれば密度を確保しやすいのが利点です。

スキャン位置の合成(レジストレーション)

複数地点で取得した点群を1つの座標系へ正しく重ね合わせる処理をレジストレーションと呼びます。スキャン同士の重複部分や、現場に配置した標的(ターゲット)を手がかりに位置・姿勢を合わせます。この合成精度が最終成果の精度を大きく左右するため、現場での計測計画が重要になります。

TLSとUAV(ドローン)・MMSの使い分け

3次元計測は計測プラットフォームによって得意分野が異なります。目的・対象・現場条件に応じて最適な手法を選定し、必要に応じて組み合わせることが精度と効率の両立につながります。

上空・地上・移動体の比較

UAV(ドローン)は上空から広範囲を面的に取得することに優れ、造成地・土量計算・広域地形に向きます。TLSは地上の定点から構造物や狭所を高密度・高精度に取得することに優れます。MMS(モービルマッピングシステム)は車両等に機器を載せて移動しながら計測する手法で、道路・トンネルなど線状で長い対象を効率的に取得できます。

構造物・狭所はTLSが有利

橋梁の桁下、擁壁・法面の足元、プラント配管、室内・地下空間など、上空からは死角になり移動計測も困難な対象では、定点から確実に取得できるTLSが有利です。一方で広大な造成地の全体形状はUAVが効率的なため、現場全体をUAVで押さえつつ、細部や死角をTLSで補完する併用が有効です。

精度・運用上の注意

TLSは高精度な手法ですが、計測計画と後処理の良し悪しで成果精度が変わります。事前の段取りが品質を決めると言っても過言ではありません。

標的(ターゲット)配置

レジストレーションや座標系への結合には、球形ターゲットや平面ターゲットを適切な位置・数で配置することが重要です。隣り合うスキャン位置から十分に見える配置にし、対象を取り囲むようバランスよく置くことで合成のひずみを抑えられます。

オクルージョン(死角)対策

手前の物体に隠れて奥が取得できない死角(オクルージョン)は、点群の抜けとして残ります。柱・樹木・仮設物などで隠れる部位は、スキャン位置を追加して別角度から補うことで穴埋めします。事前のロケハンで死角を想定し、スキャン地点を計画しておくことが欠かせません。

スキャン数と計測計画

スキャン位置が少なすぎると死角や合成不良が生じ、多すぎると現場時間と処理負荷が増大します。対象の複雑さ・必要精度・重複率を踏まえて適切なスキャン数を見積もることが、品質とコストのバランスに直結します。

座標系合わせ

成果を図面や他の測量データと重ねるには、点群を公共座標系などの基準へ正しく結合する必要があります。基準点・標定点の取得や、UAVやトータルステーションで取得した既知点との整合を取ることで、後工程での利用に耐える成果になります。

実務での使い方・注意点

東海エアサービスの現場では、TLSは構造物の現況把握や狭所計測、UAVでは捉えきれない死角の補完といった用途で活用しています。実務で品質を安定させるには、計測前の確認と後処理の体制づくりが要になります。

現場でよくある相談

「橋梁・擁壁などの構造物を3次元で残したいが上空からでは形が取れない」「室内・プラントの現況を点群化して図面化したい」「UAVで全体を測ったが死角部分の精度が足りない」といった相談が多く寄せられます。いずれもTLSとUAVの使い分け・併用で解決できるケースが中心です。

見積時に確認する項目

見積時には、対象の範囲・形状・必要精度、屋内か屋外か、座標系への結合の要否、最終成果物の形式、現場へのアクセスや作業可能時間帯などを確認します。これらが計測計画とスキャン数、後処理工数を左右するためです。条件は現場ごとに大きく異なるため、詳細はご相談ください。

点群処理と成果物

取得した点群はTREND-POINTで自社処理し、ノイズ除去・合成・座標結合・断面抽出などを行います。成果物はLAS/LAZの点群データ、DXF/DWGの図面、必要に応じてGeoTIFFやLandXML、確認用のPDFなど、後工程で使いやすい形式で納品します。据置型のレーザースキャナは必要に応じてレンタルで運用し、現場要件に合わせて機材を選定します。

対応フロー

標準的な流れは、ロケハン(現場確認・死角とスキャン位置の検討)→計測(ターゲット設置・複数地点スキャン)→レジストレーション(合成・座標結合)→QC(精度・抜けの確認)→納品です。各段階で品質を確認しながら進めることで、後工程で使える成果に仕上げます。

東海エアサービスの対応

東海エアサービスは測量業登録 第(1)-37730号、全省庁統一資格(役務・全国)を保有し、ドローン測量で218件以上(2025年時点)の実績があります。名古屋を拠点に東海4県(愛知・三重・岐阜・静岡)および隣接県を対応エリアとしています。

UAVによる広域の面的計測と、TLSによる地上の高密度計測を組み合わせ、造成地・地形から構造物・狭所までを一貫してカバーできるのが強みです。点群処理はTREND-POINT・TREND-ONEで自社対応し、LAS/LAZ・DXF/DWG・GeoTIFF・LandXML・PDFなど、お客様の後工程に合わせた成果物で納品します。「全体はUAV、細部はTLS」といった最適な手法選定からご提案します。

よくある質問

TLSとドローン測量はどちらを選べばよいですか

対象と目的によります。広い造成地や地形を面的に測るならUAV、構造物・狭所・室内など地上から高密度に測るならTLSが向きます。両方の特性を活かして併用するケースも多く、現場条件を伺ったうえで最適な手法をご提案します。

TLSで取得した点群はどんな形式で納品できますか

LAS/LAZの点群データのほか、DXF/DWGの図面、GeoTIFF、LandXML、確認用PDFなど、後工程で利用しやすい形式に対応しています。必要な成果物の形式をお知らせいただければ、それに合わせて処理・納品します。

屋内やプラントなどGPSが届かない場所でも計測できますか

TLSは衛星測位に依存せず据置型で計測するため、屋内・地下・プラント内などでも取得できます。座標系への結合が必要な場合は、基準点や既知点との整合を取りながら計測計画を立てますので、ご相談ください。

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TAS Technical Writing Team(技術記事監修)

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