i-Constructionとは?ICT活用工事の5ステップと費用対効果、今すぐ始めるための実装ガイド
人手不足と高齢化が進む建設業界において、国土交通省が推進するi-Constructionは、生産性向上を実現するための中核施策です。 本記事では、その中心にあるICT活用工事の流れを「5つのステップ」で整理し、 ゼネコン・土木事業者が悩みがちな高度な3次元データ作成を、内製にこだわらず「現実的に始める」ためのソリューションを解説します。
この記事で分かること:建設DXの全体像と導入の具体策
この記事は、次のような方を想定しています。
- i-ConstructionやICT活用工事の概要は聞いたことがあるが、「何から手をつければよいか」が曖昧な技術担当者
- 国交省・自治体案件でのICT活用工事に備え、早めに実績と社内体制を整えたいゼネコン・土木事業者
- 3次元設計データ作成を自社だけで抱え込まず、外部リソースを賢く使う方法を知りたい現場責任者
読み終えたとき、次の3点がクリアになります。
- i-ConstructionとICT活用工事の定義と、事業者が押さえるべき5つのステップ
- 「費用が高い」「難易度が高い」という導入障壁に対し、外部リソースを組み込んだ現実的な始め方
- ICT活用工事を導入した場合の費用対効果(コスト削減・工期短縮・入札優位性)のイメージ
目次 (Contents)
要点:i-Constructionは「プロセス革命」であり、デジタルツインの第一歩である
i-Constructionは、新しい機械やソフトを導入するだけの「単発の施策」ではありません。 建設生産プロセス全体を標準化・平準化し、生産性を底上げするためのプロセス改革です。 国土交通省は、2025年までに建設現場の生産性を20%向上させることを目標として掲げています。
従来プロセスが抱えていたボトルネック
i-Constructionの核心は、「測量・設計・施工・検査」のすべてを3次元データでつなぐことにあります。 従来の土木工事では、初期の現況把握から図面作成、出来形管理まで、2次元図面と人手作業が中心でした。 その結果、次のような課題が生じていました。
- 工期長期化と残業:人力による測量や出来形管理に時間がかかり、特に現場技術者の残業が常態化する。
- 手戻りの発生:2次元図面だけでは現場の複雑な状況を捉え切れず、施工段階で干渉や設計変更が頻発する。
- 技能継承の難しさ:熟練者の「カンとコツ」に依存しており、若手へのスムーズな技術継承が難しい。
これに対し、i-Constructionは点群や3D設計モデルを用いた一貫管理によって、 建設現場の「デジタルツイン」を構築する第一歩となります。
「ICT活用工事」を支える3つの柱
i-Constructionを実現するために、国交省は特に次の3つの柱を掲げています。
- ICTの全面的な活用(ICT活用工事):測量から出来形管理・検査まで、各工程でICT技術を活用する。
- 規格の標準化:設計・施工・検査に関する規格を標準化し、担当者・地域が変わっても同等の品質を確保する。
- 施工時期の平準化:繁閑の差を抑え、安定した人員・機械配分を可能にする。
このうち、現場担当者が具体的に取り組むべき対象がICT活用工事です。 次章では、このICT活用工事を5つのステップに分解して見ていきます。
i-Constructionを構成する「ICT活用工事」の具体的な5ステップ
ICT活用工事は、従来の土木工事の流れを「3次元データを中心に組み替えたもの」と捉えると分かりやすくなります。 主な流れは、次の5ステップです。
ステップ1:高精度な3次元起工測量(UAV/地上レーザースキャナ)
工事着手前の現況地形を、ドローン(UAV)や地上型レーザースキャナを用いて測量し、 高密度な3次元点群データとして取得します。 トータルステーション中心の測量と比べて、短時間で広範囲を「漏れなく」押さえることができ、 起工段階の測量工数を大幅に削減できます。
- UAV写真測量:広い土工エリアを短時間でカバーし、土量把握や現況の全体像把握に適する。
- 地上型レーザースキャナ:構造物周りや樹木が多い場所など、詳細な形状把握が必要なエリアに適する。
ステップ2:3次元設計データの作成と承認
ステップ1で取得した点群と、従来の2次元図面・仕様書を組み合わせ、 土工や構造物の3次元設計データ(3Dモデル)を作成します。 このデータが、後工程のICT建機を制御する「設計図」となります。
特に、土量計算に用いるTIN(Triangulated Irregular Network)やサーフェスモデルの品質は、 施工精度と手戻りの有無に直結します。 ここが、ICT活用工事の中でも最も高度な専門性が必要になるポイントです。
ステップ3:ICT建設機械による施工(自動化・半自動化)
作成した3次元設計データを、油圧ショベル・ブルドーザー・モーターグレーダーなどのICT建機に読み込みます。 ICT建機はGNSSと連携し、オペレーターの操作をガイドまたは自動制御することで、 設計データ通りの施工を高精度に実現します。
熟練オペレーターの腕前に依存せず、一定レベル以上の品質を誰でも出せるため、 施工品質の平準化と工期短縮に大きく貢献します。
ステップ4:3次元出来形管理と品質検査
施工後の出来形を、再びUAVや地上型レーザースキャナで測量し、出来形点群データを取得します。 これをステップ2の3次元設計データと重ね合わせて差分解析することで、 面としての出来形管理を行います。
従来のように「点」で断面を切って確認するのではなく、 面全体を一度に評価できるため、品質の見える化と帳票作成の効率化が同時に進みます。
ステップ5:3次元データの納品と活用
最終的に、起工・設計・出来形の3次元データと検査結果を電子納品します。 これらのデータは、将来の維持管理や補修計画のベースとなり、ライフサイクルコスト(LCC)の削減にも寄与します。
i-Constructionは、単年度の工事を効率化するだけでなく、 インフラ全体のデジタルツインを構築するための基盤整備とも言えます。
i-Constructionの導入で得られる費用対効果とメリット
i-Constructionの導入には、ICT建機・計測機器・ソフトウェアなどの初期コストが伴います。 しかし、国交省や各種実証でのデータが示す通り、適切に導入すれば費用対効果は非常に高いと言えます。
工期短縮と残業代削減
従来工法と比較して、ICT活用工事では平均30%程度の工期短縮が報告されています。 特に、測量・丁張・出来形管理といった「人手がかかる工程」を圧縮できることで、 現場技術者の残業削減や、他現場との兼務をしやすくする効果があります。
手戻り削減と品質の安定化
3次元設計データに基づいて施工し、出来形も3次元で確認することで、 設計と現場のギャップによる手戻りや追加工事を大幅に削減できます。 また、ICT建機により施工品質が均一化されるため、 担当者や下請けが変わっても一定レベルの品質を確保しやすくなります。
競争力強化と入札での優位性
ICT活用工事の実績は、国・自治体案件において技術力の証明となり、 総合評価落札方式などで加点の対象となるケースも増えています。 i-Constructionへの取り組みは、単発のコスト削減にとどまらず、 中長期的な入札競争力の強化につながります。
導入を阻む最大の障壁:3次元設計データ作成のハードル
こうしたメリットがある一方で、現場目線で最も大きな障壁となるのが、 「3次元設計データを自社だけで作り切れるか」という問題です。
ICT建機を動かすためには、点群をそのまま渡すだけでは不十分で、 土量計算や施工ガイドに使えるTINやサーフェスモデルなどの3Dデータが必要です。 これには専用ソフトと実務経験が求められ、内製化には時間とコストがかかります。
結果として、「ICT建機を導入したものの、3次元データの準備に苦戦している」「人が育つまで本格導入を待っている」といった声も少なくありません。 そこで重要になるのが、次章で紹介する「必要な部分だけを外部に任せる」という選択肢です。
今すぐ始める!ICT活用工事の「データ作成」を外部委託するソリューション
東海エアサービスでは、特に専門性と工数が必要な 「3次元設計データの作成」と「高度な点群解析」の部分をお客様の代わりに担うことで、 i-Constructionの早期立ち上げを支援しています。
課題:高度な3次元データ作成スキルを全て内製で抱える必要はない
現場の測量・ICT建機のオペレーション・施工管理は自社で行い、 もっとも専門性が必要な「データ作成」のみをアウトソースするのが、 現実的でリスクの少ないアプローチです。
こうすることで、専用ソフトの導入費用や人材育成コストを抑えつつ、 「すぐに使える3次元設計データ」を安定的に確保できます。
東海エアサービスが提供する「点群から3D設計データ」への変換サービス
東海エアサービスでは、お客様がUAVや地上型レーザースキャナで取得した点群データを受け取り、次のような成果物として納品します。
- ICT建機用3次元設計データ:丁張レス施工に対応したTIN・サーフェスモデルを作成。
- 高精度な土量計算:起工点群と設計モデルから、切土・盛土量を算出し、施工計画・コスト検討を支援。
- 納品用3次元出来形データ:出来形点群と設計データの比較解析レポートを作成し、電子納品・検査に対応。
点群データとBIM/CIMモデルを次のプロジェクトにつなぐ
作成するデータは、国交省が推進するCIM/BIMの標準仕様との整合性を意識して設計しています。 これにより、一つひとつの工事で作成したデータを、将来の維持管理や別案件の設計に再利用し、 インフラのデジタルツイン基盤として積み上げることが可能になります。
i-Construction/ICT活用工事に関するFAQ
Q:i-Constructionは、すべての土木工事で必須ですか?
A:現時点では、全ての土木工事で義務化されているわけではありません。 ただし、国土交通省直轄工事などではICT活用工事が原則適用となっており、 今後も対象範囲が拡大していくことが想定されています。
公共工事を継続的に受注していくためには、早い段階から小規模案件で実績を積み、 社内での標準ワークフローを整えておくことが重要です。
Q:ドローンによる測量と地上型レーザースキャナはどのように使い分けるべきですか?
A:ドローン(UAV)は、広範囲の土工や急斜面など、 人の移動が難しいエリアの現況把握に適しています。短時間で面的なデータを取得できることが強みです。
一方、地上型レーザースキャナは、トンネルや橋梁の下面、擁壁背面など、 高精度が求められる構造物の詳細計測に向いています。GPSが届きにくい環境でも高精度を維持できる点がメリットです。
実務では、「広域はUAV」「構造物周りは地上型」といった形で、組み合わせて使うケースが多数です。
Q:小規模な工事でも費用対効果は見込めますか?
A:はい、十分に見込めます。 ICT建機のレンタルやデータ作成の外部委託を活用すれば、初期投資を抑えながら導入することが可能です。
特に、地形が複雑な現場や土量計算がシビアな現場では、 数日分の測量工数や手戻りを削減できるだけで、費用対効果がプラスに転じるケースが多く見られます。
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