立米↔トンの換算はこう考える:土質別の比重と実務の近道
「m³とtの変換」は、見積・運搬計画・ダンプ手配の出発点です。本稿では 最短の考え方(公式→近道)と、土質ごとの比重目安、実務での注意点を 1ページに整理。最後にその場で概算できる無料ツールも用意しています。
先に結論:換算の公式と「現場の近道」
公式:質量 t = 体積 m³ × 比重 (t/m³)
逆算:体積 m³ = 質量 t ÷ 比重 (t/m³)
現場の近道(当ての出し方)
- 土砂(湿潤)なら「1 m³ ≒ 1.8 t」(一般土の当てに便利)
- 砂・砕石は「1 m³ ≒ 1.6~1.7 t」、乾燥気味の土は「1.5 t」程度で当てる
- t → m³ に戻すときは、
m³ = t ÷ 1.8(土砂湿潤の当て)
※厳密には含水・粒度・締固めで変動します。図面・仕様に合わせて後述の表で微調整を。
土質別の比重(目安)とクイック換算
よく使う材料の単位体積重量(t/m³)の目安と、1 m³ あたりのおおよその重さ/10 m³ あたりの重さを一覧にしました。
| 材料・状態 | 比重の目安 (t/m³) | 1 m³ ≒ | 10 m³ ≒ |
|---|---|---|---|
| 土砂(湿潤・一般土) | 1.7〜1.9 | 1.8 t | 18 t |
| 土砂(やや乾燥) | 1.4〜1.6 | 1.5 t | 15 t |
| 砂(細〜中) | 1.5〜1.7 | 1.6 t | 16 t |
| 砂利・砕石(20–40mm) | 1.6〜1.8 | 1.7 t | 17 t |
| 粘性土(含水高め) | 1.7〜2.0 | 1.85 t | 18.5 t |
| 岩ズリ・割栗(バラ) | 1.6〜1.9 | 1.75 t | 17.5 t |
なぜ幅があるの?(ばらつきの理由)
- 含水比:湿るほど重くなる(雨後は要注意)
- 粒度・空隙:粗いほど空隙が増え軽く見えることがある
- 締固め度:転圧で体積が減る(=同じt数でもm³が小さくなる)
ダンプ台数に直す:2t/4t/10tの目安
概算が欲しいときは、「1 m³ ≒ 1.8 t(土砂湿潤)」で質量に直してからダンプの積載で割り算します。
| 車種 | 積載量の目安 | 例:120 m³ の場合の台数(1.8 t/m³で換算) |
|---|---|---|
| 2tダンプ | 約2〜3 t | 120×1.8 ÷ 2.5 ≒ 86〜(2.5t想定) |
| 4tダンプ | 約4〜5 t | 120×1.8 ÷ 4.5 ≒ 48〜 |
| 10tダンプ | 約9〜10 t | 120×1.8 ÷ 9.5 ≒ 23〜 |
※車検証上の最大積載や現場制約で変動します。安全最優先で余裕を持って計画を。
掘削→運搬→埋戻しで変わる量(膨張・締固め)
- 膨張(掘削直後):+10〜30% 程度に増えることが多い(空隙が増える)
- 締固め(埋戻し):指定の締固め度(例:90〜95%)に合わせて体積が減少
同じ材料でも工程によって「m³」が変わるため、見積の段階では工程別に係数管理しておくと齟齬が出にくくなります。
サクッと概算したい:30秒の実務手順
- 体積(m³)を把握(図面・出来形・点群など)
- 比重の当てを選ぶ(一般土なら 1.8 t/m³)
- 質量(t)に換算 → ダンプの積載で割る → 台数
- 運搬距離×回転数から時間とコストを概算
これらをまとめて自動化:
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計算条件の設定を相談する
計算例:45 m³ の湿潤土を4tダンプで運ぶと?
Step 1|m³→t:45 × 1.8 = 81 t
Step 2|t→台数:81 ÷ 4.5(4tの実効) ≒ 18 台
Step 3|距離・回転:片道12km、1回45分なら4時間で5回転前後が目安
よくある質問
Q. 比重は現場ごとに測らないとダメ?
A. 迅速な見積段階では本稿の目安で十分です。確定見積・精算では仕様・試験値に合わせて調整ください。
Q. 雨の日・連日の運搬はどれくらい重く見積る?
A. 5〜10%ほど重めに見る運用が一般的です。含水の影響が大きい粘性土は余裕を持って台数計画を。
Q. 掘削→埋戻しで体積が合わない…
A. 掘削時の膨張・埋戻し時の締固めでm³が変動します。工程ごとに係数管理(膨張1.1〜1.3、締固め度90〜95%)が安全です。
