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💰【土量計算の落とし穴】ドローン測量と専用アプリで数百万円規模の土量コスト超過を防いだ大手ゼネコン事例

土木工事における土量計算は、原価と利益を左右する中核の管理項目です。それにもかかわらず、「掘削後の埋戻し土量が設計数量と合わない」「想定以上の残土が発生し、処分費が膨らんだ」といった土量起因のコスト超過は、いまも多くの現場で発生しています。

本記事では、その原因をほぐし率(変化率)の不確実性と、従来手法では難しかった現況土量の高精度な実測に整理した上で、ドローン測量による3D点群と、オリジナルの土量コスト計算機アプリを組み合わせて数百万円規模の損失リスクを抑え込んだ大手ゼネコンの事例を紹介します。現場で再現しやすい土量コスト最適化の実務ノウハウを、ワークフローとチェックリスト付きで解説します。

この記事を読むメリット

ゼネコンの施工管理担当者や、土木工事を抱える事業主・経営層がこの記事を読むことで、次のような知見を得られます。

  • 土量計算でコスト超過が生まれる構造(ほぐし率、締固め率、実測誤差など)を、感覚ではなく定量的に理解できる。
  • ドローン測量土量コスト計算機アプリを組み合わせた、現場で運用しやすい「高精度な土量管理フロー」を俯瞰できる。
  • 計画外の追加費用を数百万円単位で抑えるために、いつ・何を・どのタイミングで計測/再計算すべきかが分かる。
  • 自社案件の土量コストのリスク診断にそのまま使える、実務目線のチェックリストを入手できる。

要点:土量計算の精度が土木工事の利益を左右する

掘削・運搬・埋戻し・残土処分といったいわゆる土量コストは、土木工事の原価の中で非常に大きな比率を占めます。設計数量と実数量のズレが大きくなればなるほど、利益が圧迫され、場合によっては数百万〜数千万円規模の赤字要因になりかねません。

なぜ「掘削後の埋戻し土量」は設計値とズレるのか

ズレの本質は、土砂が持つ体積変化です。土砂は、自然状態(地山)から掘削されてほぐされると体積が増え(ほぐし率)、運搬・埋戻し・締固めにより再び体積が減少します(締固め率)。図面上で示されるのはあくまで「地山」の体積であり、実際に現場で動く土量は、その変化率を掛け合わせた値となります。

一般化すると、ほぐし後の実際の土量は次のように表せます。

V実積 = V設計 × (1 + R)

※ V実積:ほぐした状態の実際の土量 / V設計:設計図に基づく地山の土量 / R:ほぐし率

この変化率Rの見込み違いや、そもそもの現況体積の実測精度不足が重なると、残土・客土双方で大きな誤差となり、コスト超過へとつながります。

ドローンと3D計測が解決する従来の限界

従来は、変化率Rを過去の経験値や、類似案件の実績から設定するケースが多く、設計時点では「仮置きの数字」に頼らざるを得ませんでした。現況の掘削体積も、トータルステーション等による点計測が中心で、測点間は補間に頼るため、微妙な凹凸や法面の形状はどうしても粗くなります。

これに対して、ドローン測量と3D点群データを用いると、次のようなメリットが得られます。

  • 面的な高密度計測:敷地全域を数百万点レベルでカバーし、地形の細かな起伏まで反映したうえで体積計算が可能になる。
  • 頻度の高い進捗把握:短時間で繰り返し計測できるため、「設計と実測の差」を早期に把握し、ほぐし率Rや土量計画をリアルタイムで調整できる。

土量計算の「失敗事例」と従来のコスト超過パターン

土量計算の失敗は、単発のミスというより、現場で繰り返されがちなパターンとして現れます。典型的な3パターンを整理します。

失敗パターン1:ほぐし率(変化率)の読み違い

土質(粘性土・砂質土・岩盤など)によってほぐし率は大きく異なります。例えば、岩盤に近い固い地山では、ほぐし率が30%以上になるケースもありますが、これを一般的な土砂と同じ10〜20%程度で見込んでしまうと、掘削後の土量が大幅に過少に見積もられます。

結果として、

  • 想定以上の残土が発生し、残土処分費が跳ね上がる
  • 逆に埋戻し土が不足し、客土の追加購入費用が発生する

といった形で、どちらに転んでもコスト超過要因になります。

失敗パターン2:現場の微細な地形変化の見落とし

敷地境界付近や法面切り替え部、不整形な地形では、従来の点計測ではどうしても「点と点の間」を補完することになり、わずかな高低差が積もり積もって土量誤差になります。敷地が広くなるほどこの影響は大きく、合計で数百立方メートル単位のズレとなり、数十万〜数百万円規模の残土処分費に直結します。

失敗パターン3:積込・運搬ロスと実体積の乖離

ダンプトラックへの積込時のこぼれや飛散、積込方法による空隙のばらつき、仮置き場での自然な締固めや流出など、現場ではさまざまな「ロス」が発生します。これらを計算上ほとんど考慮していないと、

  • 現場で動かした感覚と計算上の土量が合わない
  • 工事終盤で「土が足りない/余りすぎる」が顕在化する

という状況になり、リカバリーのために高単価での緊急手配を強いられることになります。

成功事例:大手ゼネコンにおける「ドローン + 専用アプリ」活用術

ここからは、ドローン測量と専用の土量コスト計算機を組み合わせることで、大規模土木工事の土量リスクを抑え、数百万円規模のコスト超過を回避した大手ゼネコンの実例(匿名加工)を紹介します。

課題:大規模開発で想定された埋戻し土の不足リスク

対象は、郊外に新設される大規模物流倉庫の建設プロジェクトでした。地盤改良や基礎工事に伴い、大量の掘削・埋戻しが発生する計画です。当初の積算では問題ないように見えていましたが、施工開始後の試験掘りの結果、地盤の一部に岩盤に近い硬質層が広く存在することが判明しました。

現場担当者は、実態としてのほぐし率が設計時に想定していた1.15ではなく、1.25以上になる可能性が高いと判断。このまま工事を進めれば、

  • 埋戻しに必要な土量が不足し、
  • 遠隔地からの客土搬入が必要となり、
  • 数百万円規模の追加コストが発生しかねない

というリスクを抱えていました。

解決策:「ドローン測量」と「土量コスト計算機」の連携

このリスクに対し、次の手順で土量管理の精度向上が図られました。

  1. 【正確な体積把握】 工事序盤の主要掘削エリアでドローン測量を実施し、現況地形を高密度な点群として取得。設計面との差分から、実際に掘削された土砂の体積を3Dデータで算出しました。
  2. 【変化率の検証】 実測した体積を設計上の地山体積で割り戻し、現場の実態に即したほぐし率R(例:R=1.28)を特定。従来の経験則だけでは見えてこない数値が明らかになりました。
  3. 【コストの最適化】 把握したほぐし率Rを、自社開発の土量コスト計算機アプリに入力し、埋戻しにおける不足・過剰リスクをシミュレーション。結果をふまえ、近隣工事から発生する有償・無償土の早期確保へと計画を変更しました。

その結果、工事終盤での緊急客土調達を避けることができ、さらに残土の過剰搬出も抑制。トータルで約650万円の土量関連コストを削減しつつ、工程への影響も最小限に抑えられました。

土量コスト最適化のワークフロー(3ステップ)

ドローン測量と土量コスト計算機アプリを活用した土量管理は、次の3ステップに整理できます。

ステップ1:ドローンによる高精度な現況地形データ(点群・オルソ)取得

土量が大きく動く前後のタイミングで、ドローンによる空中写真測量(UAV-SfM)を行います。現場全域の高密度な点群データを取得し、そこから現況のTINモデルDEMモデルを作成します。

  • アウトプット:現況地形の3次元モデルと、設計面との差分を色分けした体積差マップ。
  • ポイント:標定点(GCP)や対空標識の配置・精度管理が、そのまま土量計算の精度に直結します。特に境界・法面など重要箇所を意識した配置が重要です。

ステップ2:専用アプリによる設計データとの迅速な土量比較計算

現況3Dモデルと、設計図面から作成した設計3Dモデル(計画面)を重ね合わせ、アプリ上で体積差分計算を行います。これにより、掘削量・盛土量を即座に把握し、設計との乖離を可視化できます。

  • 主な機能:「現況と設計の比較(掘削量・盛土量)」「ほぐし率の逆算」「残土処分・客土購入コストのシミュレーション」。
  • 活用イメージ:設計変更が生じた場合でも、修正後の計画面を読み込んで再計算し、即日でコスト影響を把握できます。

💡無料公開:土量コスト計算機アプリ

ここで紹介したノウハウを凝縮した簡易シミュレーターを、無料ツールとして公開しています。ほぐし率や運搬条件を入力するだけで、残土処分費や客土購入費への影響をすぐに試算できます。

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ステップ3:ほぐし率の現場実態へのフィードバックとリアルタイムな調整

ステップ2で得られた「実測土量」と「計画土量」の関係から、各エリアにおける実際のほぐし率Rを逆算します。このRを、以後の掘削・埋戻し計画に反映し、工事進捗に応じて継続的に更新していくことが重要です。

  • 意思決定のポイント:アプリ上で「掘削量」「ほぐし率」「運搬条件」を変化させながら感度分析を行い、残土処分場への搬入量や、客土の調達タイミング・調達先を最適化します。

実務チェックリスト:土量計算のコスト精度を高めるための秘訣

デジタル計測を導入しても、運用設計を誤ると誤差は残ります。以下のチェックポイントを基準に、貴社の管理体制を見直してみてください。

✅ チェック1:設計変更や進捗に応じた計測頻度

秘訣:土量が大きく動く節目(掘削完了時、埋戻し完了時など)だけではなく、設計変更直後土質の変化が想定されるエリアの掘削開始前など、リスクの高いタイミングで計測を行います。これにより、手戻りや大幅な再計画を最小化できます。

✅ チェック2:アプリを活用した「積算土量」と「実体積」の継続的な比較

秘訣:実測データと積算データをアプリ上で常に並べて確認し、乖離が事前に設定した許容範囲(例:±3%)を超えた場合は、アラートとして認識し、原因分析と計画修正を行う運用ルールを作ります。

✅ チェック3:ドローン測量後のデータ処理(TIN/DEMモデル化)の品質管理

秘訣:点群からTINやDEMを作成する際のフィルタリング・ノイズ除去が不十分だと、植生や重機、仮設構造物などが体積としてカウントされ、数パーセント単位の誤差が発生することがあります。体積計算に不要なオブジェクトをどう扱うか、事前にルール化しておくことが重要です。

✅ チェック4:土砂の仮置き場・ストックヤード管理

秘訣:掘削土を仮置きするストックヤードについても、定期的にドローンで体積計測を行うことで、実際の在庫土量を正確に把握できます。これにより、客土の調達量や残土搬出量をリアルな数字に基づいて調整でき、ムダな運搬を防ぐことができます。

FAQ:土木・施工管理担当者からのよくある質問

Q1. ドローンで計測できない狭隘な現場はどう対応しますか?

A. ドローンの飛行が困難な屋内や、構造物の陰になる狭い場所では、地上型レーザースキャナ(TLS)ハンディ型レーザースキャナ(SLM)を併用します。これらで取得した点群データをドローン点群と統合することで、現場全体をカバーした3Dモデルを構築し、土量計算の死角をなくすことができます。

Q2. 土量計算の精度は、従来のトータルステーション測量と比較してどうですか?

A. 土量計算の精度は、体積計算の基になる面をどれだけ正確に捉えられるかで決まります。トータルステーションによる点計測では、点と点の間の地形は内挿で補完する必要がありますが、ドローン測量による点群データは数百万点で地形の凹凸を面的に捉えるため、理論上、従来手法より高い精度で実体積を算出できます。必要に応じて、事前にコントロールポイントを設けて精度検証を行います。

Q3. 計算アプリは、複数現場のデータを一括管理できますか?

A. 当社の土量コスト計算機アプリでは、プロジェクトごとに計測データ(3Dモデル)・積算データ・ほぐし率・運搬コストなどを紐づけて管理できます。これにより、各現場の進捗とコスト状況を一元管理できるだけでなく、複数現場を横断した比較や、企業全体でのナレッジ共有にも活用いただけます。

無料ツール公開:土量コスト計算機で損失リスクを排除

土量起因のコスト超過は、単なる「計算ミス」ではなく、ほぐし率や運搬条件といった変化率の不確実性をどうマネジメントするかの問題です。高精度な3D計測と、変化率を柔軟にシミュレーションできるツールを組み合わせることで、このリスクは大きく減らせます。

土量コストの最適化に関心がある方は、要件が固まりきっていなくても構いません。現況把握から計測設計、解析、BIM/CIM・点群活用まで、専門チームがプロジェクトの前提づくりから並走します。

東海エアサービス株式会社について

当社は、建設・土木・設備分野に特化した3D計測・解析のプロフェッショナル集団です。ドローン空撮、地上レーザースキャナ、SLMなど現場条件に応じた計測手法と、BIM/CIM/点群活用のノウハウを組み合わせ、お客様プロジェクトのコスト削減と生産性向上に貢献します。

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免責事項:本記事に記載された情報は一般的な技術情報であり、実際のプロジェクト運用、法規制の遵守、安全管理については、元請業者および関係法令の規定に従ってください。土量計算の結果は、土質や現場環境により大きく変動します。当社は情報利用の結果について一切の責任を負いません。

TAS Technical Writing Team(技術記事監修)