屋内サイロや倉庫に保管された穀物・飼料・原料などのバルク在庫を正確に把握することは、在庫管理における長年の課題です。屋外の測量であればGNSSによる位置取得が可能ですが、屋内では衛星電波が届かず、暗所・粉塵・閉塞空間という環境条件が重なります。加えて、巨大なサイロ内部へ人が立ち入ることには転落・酸欠・粉塵爆発のリスクが伴うため、安全面からも従来の検尺棒や目視による計測には限界があります。こうした条件下でも再現性の高い体積計測を実現するには、屋内環境に対応した3D計測技術の活用が有効です。
計測手法の考え方:点群から体積へ
屋内サイロ・倉庫のバルク在庫計測では、GNSS非依存の計測手段が前提になります。代表的なアプローチは、地上型レーザースキャナを用いて空間全体の点群データを取得し、堆積物の表面形状を3次元で捉えたうえで体積を算出する方法です。
| 手法 | 特徴 | 屋内バルク計測での位置づけ |
|---|---|---|
| 地上型レーザースキャナ(LiDAR) | 高密度点群を取得、暗所でも計測可 | 主計測手段。堆積形状を精密に把握 |
| 写真測量(フォトグラメトリ) | 照明確保が必要。テクスチャ情報も取得可 | 補助的手段。条件次第で精度を補完 |
| 超音波センサー | 定点計測・連続監視向き | 補助的モニタリング。3D形状の把握は不得手 |
| 検尺・目視 | 人手による確認 | 精度・再現性に限界。安全リスクあり |
地上型レーザースキャナは照明がなくても計測でき、複数スキャン位置を統合することでサイロ全体の内面と堆積表面を一体的に点群化できます。取得した点群データから基準面(サイロ底面など)を設定し、堆積表面との差分から体積を算出します。超音波センサーは単点または少数点での距離計測に向いており、日常的な在庫変動の傾向把握には有効ですが、表面の凹凸形状を詳細に捉えることは難しいため、3Dスキャンとは用途を分けて組み合わせるのが現実的です。
広い屋外はドローンでの写真測量、草木の下の地形はドローンLiDAR(航空LiDAR)、屋内の設備や床は地上レーザーで測ります。
| 測るもの・場所 | 計測の方法 | 主な納品物 |
|---|---|---|
| 屋外の広い範囲(造成地・土工の現場) | ドローンでの写真測量 | 点群・オルソ画像・土量計算書 |
| 草木が残る山林・法面の地形 | ドローンLiDAR | 地表面の点群・断面図 |
| 屋内・近い距離の細かい形(工場の設備・床) | 地上レーザー | 点群・図面・床の不陸マップ |
| 外壁・太陽光パネルの点検 | ドローンに積んだ赤外線カメラでの撮影 | サーモ画像・異常箇所図・報告書 |
植生の状態によっては、ドローンLiDARと地上レーザーを組み合わせます。機材は対象と求められる精度に合わせて手配するため、ドローンLiDAR・地上レーザーでの計測は個別にお見積もりします。
出典:当社が計測の方法を決めるときの分類
3次元計測の内容と料金を見る屋内計測で気をつける点
暗所・粉塵環境への対応
穀物や飼料を保管するサイロの内部は、照明設備が限られており、粉塵が浮遊していることがあります。レーザースキャナは光源を内蔵するため暗所でも計測できますが、粉塵が濃い状態では点群にノイズが混入するリスクがあります。計測前に換気を行う、あるいは粉塵が落ち着いたタイミングで入るなど、現場環境の調整が必要です。
安全管理と計測計画
大型サイロへの立入りは、転落・酸欠・粉塵による危険が伴います。計測実施前に酸素濃度の確認、適切な保護具の着用、立入手順の整備などの安全対策を定めることが必須です。スキャナの設置位置は、堆積物の表面全体を遮蔽なく捉えられる位置を複数選定し、各位置からのデータを後処理で統合します。
基準面の設定と安息角の影響
体積算出の精度は基準面の設定に直結します。サイロ底面が完全な平面でない場合や、基準高さの定義が曖昧な場合は誤差の原因になります。また、穀物は投入方法によって山なりの堆積形状(安息角)が生じます。この形状の把握が不十分だと、単純な水位計測とのずれが大きくなります。3Dスキャンは、こうした不規則な表面形状を忠実に点群化できる点が強みです。


