はじめに
ドローン測量で得たオルソ画像・標高データは、多くの場合「GeoTIFF」という地理参照情報を含む画像形式で納品されます。これらを QGISArcGIS などの GIS ソフトで解析することで、より詳細な地形分析・面積計測・環境評価が可能になります。本ガイドでは、GeoTIFF データの基礎知識から GIS での活用方法までをご説明します。
GeoTIFF の基礎知識
GeoTIFF とは
GeoTIFF(Georeferenced Tagged Image File Format)は、通常の画像ファイル(TIFF)に「地理座標情報」を埋め込んだ形式です:
- 画像部分:RGB カラー画像または単一バンドの数値データ
- 地理参照情報:座標系(JGD2011 など)・原点・解像度
- メタデータ:計測日・精度・処理ツール名
オルソ画像 vs DEM vs DSM
| データ種別 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| オルソ画像 | RGB カラー写真(上空からの投影) | 土地利用分類・施設確認・面積計測 |
| DEM(標高モデル) | 地面の高さデータのみ(樹木・建物を除去) | 勾配分析・流域解析・掘削量計算 |
| DSM(表面モデル) | 樹木・建物を含むすべての高さ | 植生分析・建物検出・視線解析 |
QGIS を使った GIS 解析
1. データの読み込み
QGIS(無料・オープンソース GIS)での手順:
- QGIS を起動
- メニュー「レイヤー」→「ラスターレイヤーの追加」
- GeoTIFF ファイルを選択
- プロジェクトに追加される
2. 座標系の確認
右下にステータスバーが表示され、現在の座標系を確認可能:
- 例:「EPSG:6688」(JGD2011 平面直角座標第7系)
- もし座標系がズレていれば、メニュー「ツール」→「座標系の変換」で修正
3. ラスター解析ツール
QGIS に組み込まれた様々な解析ツール:
斜度(勾配)分析
DEM データを用いて、各地点の傾斜角度を計算:
- メニュー「Raster」→「Analysis」→「Slope」
- DEM ファイルを選択、実行
- 勾配が色分けされた新しいレイヤーが生成
- 赤:急傾斜、青:緩斜面
流向・流量解析
水が流れる方向・量を推定(土砂流出・洪水予測に活用):
- メニュー「Raster」→「Analysis」→「Flow Direction」
- DEM を入力
- 各セルでの水の流れ方向が計算される
面積計測
特定の施設・土地の面積を自動計測:
- メニュー「Raster」→「Rasterize」でベクター化
- ポリゴンで範囲を指定
- 自動で面積が計算される
4. 複数レイヤーの重ね合わせ
複数の GeoTIFF・ベクターデータを重ねて分析:
- オルソ画像(背景)+ 等高線ベクター(上層)で、地形判読性が向上
- 過去の計測データと現在のデータを重ね、変化を検出
- 設計図との比較で、施工実績の検収が可能
ArcGIS での高度な解析
統計分析・機械学習との連携
ArcGIS(Esri 製、商用)では、以下の高度な解析も可能:
- 分類:画像の自動分類(水・植生・裸地など)
- 変化検出:時系列データから環境変化を抽出
- 3D ビジュアライゼーション:DEM + オルソ画像で立体表現
- ホットスポット分析:集中度の高い箇所を自動検出
Web GIS での公開
ArcGIS Online 等の Web GIS プラットフォームで、GeoTIFF データをオンライン公開可能:
- スマートフォン・タブレットからのアクセス
- ステークホルダー間でのデータ共有・協働編集
実務活用例
農業分野
ドローン GeoTIFF を活用した精密農業:
- NDVI(植生指標):可視光 + 近赤外線データから、生育状況を把握
- 肥料散布最適化:生育が進んでいない箇所に集中施肥
- 灌漑管理:圃場の乾き具合を可視化
土木・建設
建設現場での GIS 活用:
- 進捗管理:月次ドローン計測の GeoTIFF を重ね合わせ、掘削量の進捗を確認
- 汚染土壌対応:汚染区域を GIS でポリゴン化し、除去面積を算定
- 小松 Island 管理:廃棄物処分場の盛土管理(毎月の高さ変化を追跡)
都市計画・環境
自治体での都市計画への活用:
- 浸水想定図の作成:DEM から自動生成
- ヒートアイランド分析:赤外線カメラ + GeoTIFF
- 緑被面積の監視:衛星データ併用で、景観管理
よくある質問
Q1. QGIS と ArcGIS、どちらを選ぶべきですか?
A: QGIS は無料で基本的な分析が可能。ArcGIS は商用ですが、高度な空間統計・機械学習機能が充実しています。初心者なら QGIS から始めることをお勧めします。
Q2. GeoTIFF のファイルサイズが大きく、PC が重くなります。
A: 解像度を落とした「ピラミッド」ファイルを生成することで、高速化が可能です。QGIS メニュー「Raster」→「Overviews」で対応。
Q3. 過去の衛星画像(Google Earth など)と GeoTIFF を重ね合わせることは可能ですか?
A: 可能です。QGIS 上で Google Maps・衛星画像をベースマップ(背景)に設定し、GeoTIFF を上層に配置。座標系が合っていれば自動で重ね合わされます。
東海エアサービスでの対応
当社では以下のサポートが可能です:
- ドローン測量・GeoTIFF 納品
- QGIS での基本解析の指導(初回相談無料)
- オルソ画像 + 標高データの統合処理
- カスタム解析・GIS レポート作成(別途見積もり)
GIS 活用について、不明な点があればお気軽にご相談ください。
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