公共工事の横断図作成でTREND-POINTに頼ることにした経緯

公共工事の壁──「成果品の電子納品

東海エアサービスを立ち上げた当初、ドローン計測のニーズは「民間企業向けの在庫計測」が中心でした。

しかし、事業が成長するにつれ、新しい案件が入ってきました。公共工事向けの測量です。

官公庁や自治体からの計測依頼は、売上が大きく、安定性も高い。だからこそ、多くの測量会社が狙う市場でもあります。

その市場に参入した時、最初にぶつかった壁が「成果品の電子納品」でした。

最初の失敗:メタシェイプ出力では足りない

最初の公共工事案件は、「河川改修工事の現況測量」でした。

我々は、いつも通りドローンでRTK計測を実施。Metashapeで点群を処理し、「3Dモデル」をお客さんに納品しました。

ところが、1週間後、担当者から電話が:「DWG形式での成果品が必要です。『電子納品システム』に登録できる形式で」

3Dモデル、LAS形式の点群データ──いずれも我々が持っていたのですが、「土木工事用のDWG」形式への変換は、別途スキルが必要でした。

その時、初めて「測量業の成果品基準」の厳しさを理解しました。

試行錯誤──フリーツールと限界

当初、フリーの変換ツール(CloudCompare、QGIS)を試してみました。

LAS形式の点群をShapefile に変換し、QGIS で地形図らしき図面に変換する。そしてDXFで出力して、Autodeskの CADで編集──

作業は可能でしたが、極めて時間がかかります。さらに、「横断図の自動生成」「等高線の品質調整」といった細かな要件に対応できません。

2番目、3番目の公共工事案件でも同じ苦労が繰り返されました。

TREND-POINTとの出会い

その時、ドローン測量の同業者からの紹介で「TREND-POINT」というソフトを知りました。

TREND-POINTは、LAS形式の点群データを入力として、以下をワンステップで生成できます:

  • 地形図の自動生成:等高線、標高ポイント、水系情報
  • 横断図の自動作成:指定した断面ラインに沿って、自動的に横断図を生成
  • DWG形式での出力:公共工事の電子納品システムに直接投入可能な形式
  • 測量成果品の規格対応:座標系(平面直角座標)、精度情報をメタデータで組み込み

これは「ドローン計測の最後の1ピース」でした。

TREND-POINTの導入と変革

TREND-POINTのライセンスを購入し、簡単なチュートリアルで基本操作を学びました。(初期投資は約80万円)

それ以降、公共工事の現場での作業フローが激変しました:

導入前:
ドローン計測 → Metashape処理 → 点群データ出力 → CADオペレータに手作業で図面化 → 図面チェック・修正(計10日程度)

導入後:
ドローン計測 → Metashape処理 → 点群をTREND-POINTに投入 → DWG出力 → 軽微な修正のみ(計3日程度)

納期が7日短縮された。つまり、同じ売上を実現するのに、3日早く現場から撤収できるようになったのです。

具体的な活用例

その後、TREND-POINTを使用した案件がいくつか実施されました:

事例1:土砂災害復旧工事の測量
豪雨による法面崩落の現況測量。RTC360での地上型スキャンと、ドローンRTKでの広域計測を組み合わせ、TREND-POINTで地形図・横断図を自動生成。電子納品対応DWGで納品。納期6日。

事例2:ダム堤体の変形監視
毎月のドローン計測で点群を取得し、TREND-POINTで月ごとの地形図を生成。前月との差分を視覚化し、変形の進行度を把握。レポート作成も効率化。

事例3:盛土工事の進捗管理
施工段階ごと(初期地盤 → 1段目盛土 → 2段目盛土)の点群を取得し、各段階での横断図・体積計算をTREND-POINTで自動生成。施工者が進捗を可視化できた。

TREND-POINTの限界と使い分け

ただし、TREND-POINTも万能ではありません。

複雑な現場(複数の谷地形、樹木との混在)では、自動生成の横断図が「視認しづらい」ことがあり、手作業での修正が必要。また、DXF→DWG変換時のレイヤー構成も、プロジェクト仕様によって手調整が必要です。

ただし、「ゼロから図面を引く」のではなく、「自動生成を出発点にして、必要な部分だけ修正する」という作業スタイルは、効率性の観点で圧倒的に有利です。

測量業参入の転機

TREND-POINTの導入は、単なる「ツール追加」ではなく、我々のビジネスモデルの転機になりました。

「ドローン計測会社」から「公共工事対応の測量会社」への進化です。

民間企業向けの在庫計測だけでなく、官公庁向けの測量案件を安定的に受注できるようになったからです。

技術は投資。その投資が、どの市場に扉を開くかを見極めることが、経営者の仕事なのだと、この経験から学びました。

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