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公共案件の数量根拠を整える:出来形→土量→概算の“書式セット”
Public Works / Quantity Basis

公共案件の数量根拠を整える:
出来形→土量→概算の“書式セット”

「どこが根拠?」を先回りして潰すには、前提→算定→概算→添付を同じ言語で並べるのが最短です。 本稿はそのまま使える前提表・算定シート・概算サマリ・添付一覧・チェックリストを提供。 最後に土量コスト計算機に直行できます。

Workflow

出来形 → 土量 → 概算のワンライン

  1. 出来形の定義:基準面・出来形面・除外範囲、観測・解析条件(座標系、点密度など)
  2. 土量算定:差分体積(例:TIN-TIN/グリッド)と換算係数(バンク↔ルーズ)
  3. コスト概算:実効容積C、距離D、待機、単価の前提を表にして式に投入
  4. 添付・再現性:LandXML/IFC/CSV、計算式、スクリーンショット、前提の根拠

提出先により呼称は異なりますが、「前提→式→数値→添付」の順番は普遍です。

Formats

そのまま使える書式セット(コピー用)

① 前提表(Assumptions)

項目備考
座標系 / 高さ系JGD2011 / T.P.出来形解析の基準
出来形の定義設計面A − 実測面B(除外:マンホール等)差分体積の範囲を図示
換算係数バンク→ルーズ = 1.20土質・含水率ヒアリング
ダンプ実効容積 C6.0 m³/台(10t)山積不可・シート掛け前提
距離 D / 平均速度18 km(片道)/ 35 km/h重量車ルートの実走
待機時間 / 回12 分(現場3 + 受入6 + 滞留3)時間帯で別表あり
運搬単価1,000 円 / 台・km契約様式に合わせる
処分単価2,000 円 / m³受入条件記載
丸め台数は ceil()、金額は円未満四捨五入安全側の根拠を明記

② 出来形→土量 算定シート(Sample)

区分体積Vbank (m³)換算係数Vloose (m³)備考
盛土①1,020×1.201,224バンク→ルーズ
切土残土180×1.15207含水高め
合計1,2001,431

解析メソッド(TIN/グリッド)、セルサイズ、除外条件の図示を添付してください。

③ 概算コスト サマリ(式を記載)

項目金額
必要台数台数 = ceil( V ÷ C ) = ceil(1,431 ÷ 6) = 239 台
運搬費(台×距離単価)239 × (2D=36km) × 1,000 = 8,604,000¥ 8,604,000
処分費V × 2,000 = 1,431 × 2,000¥ 2,862,000
小計¥ 11,466,000

待機・積込・高速・時間外は別建てで明細化し、承認プロセスをスムーズに。

計算機で再現

④ 添付ファイル 一覧(再現性の担保)

  • LandXML(出来形 / 設計面)・IFC・差分図(PNG)
  • 数量CSV(区分ごとの体積、換算後体積)
  • 算定式を含むPDF(本ページ出力)
  • 受入条件・単価の確認書(メール等)
  • 重量車ルート図と距離根拠(実走トレース)

⑤ 提出前チェックリスト

項目確認
前提表に 係数 / 容積C / 距離D / 待機 / 丸め が明記されている
式がテキストで読める(画像だけではない)
LandXML/CSV 等の機械可読ファイルを添付
丸め(ceil等)の根拠を備考に記載
受入条件・単価の出典が記録されている

前提は「1枚に集約」

資料が分散すると審査側が迷子に。冒頭1枚で全前提を宣言し、以降は参照だけにします。

式は「貼る+書く」

スクリーンショットに加え、台数=ceil(V÷C) 等をテキストで併記。差し戻しが激減します。

“別建て”で透明化

待機、時間外、高速は別明細。交渉のハレーションを避けます。

前提→式→数値→添付を、同じ言語で。

テンプレ配布・数値検証・実測まで並走します。

FAQ

よくある質問

換算係数は誰が決める?

基本は仕様書・土質ヒアリング・既往実績。迷うときは安全側で仮置き→実績で補正が無難です。

台数の丸めは切上げでよい?

安全側の ceil() が一般的。根拠(安全・飛散防止等)を前提表に記載してください。

※本記事は一般的な整備手順の例です。最終判断は所属機関の仕様・要領・協議に従ってください。

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