搬出計画の“詰みポイント”5選:交通/待機/搬出動線でコストはこう変わる
同じ土量でも、交通・待機・動線の設計次第で「円/m³」は大きく変わります。 本稿は現場で詰まりやすい5ポイントを、影響 → 見抜き方 → 打ち手の順に整理。 すぐ試せる簡易式とチェックリスト、そして無料の土量コスト計算機での即時計算まで一気通貫でまとめました。
“詰みポイント”5選(影響と対策)
1) アプローチ道路のボトルネック(幅員・曲率・高さ)
- 影響:車種制限→大型→中小型への切替で 実積↓、往復回数↑。
- 見抜き方:現調動画+交差点半径/ゲート高さ/架線位置の採番。Googleマップの距離測定はRを小さく見がちに注意。
- 打ち手:一段小さい車種でm³↔t再試算/進入時間帯の最適化/誘導員で旋回確保。
2) 計量・受入側の待機滞留
- 影響:待機でサイクル時間↑。同じ車両費でも「円/m³」が上がる。
- 見抜き方:処分場のピーク時刻・計量レーン数・荷下ろし導線を事前ヒアリング。
- 打ち手:オフピーク予約/分散搬出/ヤード仮置き→時間差搬出。
3) 積込能力とダンプ回転のミスマッチ
- 影響:ショベルの一発容量とダンプ実積が不整合→乗り切らず積込時間が伸びる。
- 見抜き方:ショベルのバケット容量×回数で1台あたりの積込時間を事前試算。
- 打ち手:ショベル増強 or 2レーン化/一時的に車種ミックスで整合。
4) 搬出動線の交差(歩行者・他工種・重機)
- 影響:誘導停止が多発→実車速度↓・リスク↑。
- 見抜き方:平面図に一方通行矢印を引き、交差ノードをカウント。
- 打ち手:動線分離・時間帯分割・バック最小化のレイアウト再設計。
5) 時間帯規制・近隣配慮(騒音/振動/学校沿い)
- 影響:稼働時間が短いと同じ土量でも日数↑→固定費が乗る。
- 見抜き方:沿道用途/学校カレンダー/自治体ガイドラインを事前確認。
- 打ち手:早朝/夕方の短時間窓を活用/高騒音作業と搬出の時間帯を分離。
「円/m³」で見る簡易式と、条件別のコスト差
実運搬コスト(円/m³)≈ 車両費(円/h) × サイクル時間(h) ÷ 実積(m³) + 受入/処分費(円/m³)
| ケース | 前提(例) | サイクル(h) | 実積(m³/回) | 車両費(円/h) | 運搬(円/m³) | 差分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベース | 4t / 距離12km / 待機少 | 1.1 | 2.4 | 8,000 | 3,667 | — |
| 待機+10分 | 受入混雑(+0.17h) | 1.27 | 2.4 | 8,000 | 4,233 | +566 |
| 車種ダウン | 進入制限→2t | 1.2 | 1.2 | 6,000 | 6,000 | +2,333 |
| 大型化 | 動線良→10t | 1.1 | 5.3 | 12,000 | 2,491 | −1,176 |
※受入/処分費は別途加算。数値は一例です。道路・待機・ヤード条件で大きく変動します。
48時間前から当日まで:段取りチェックリスト
48〜24時間前
- 処分場のピーク時刻・予約枠・計量方式を確認
- 進入経路のボトルネック(幅員/高さ/R)を動画で再点検
- ヤードの待機・旋回レーンを図面に反映(バック最小化)
- 車種ミックス案:2t/4t/10tの配分を試算
当日朝〜運行中
- 初便でサイクル実測→以降の増車/減車判断
- 受入側の混雑変化に合わせて時間帯を微調整
- 歩行者・他工種と交差する時間帯の分離運用
- 雨天時は含水で実積↓を加味し5〜10%余裕を
許可・法令の留意点(概要)
- 道路使用・占用:誘導員配置や一時停車を伴う場合は所轄警察・道路管理者の指示に従う。
- 通行制限:大型車通行止・重量/高さ制限・時間帯規制を事前確認。
- 騒音・振動・生活時間帯:自治体要綱・学校・医療機関の近隣配慮。
- 産業廃棄物(該当時):マニフェスト・許可業者の手配を遵守。
※本項は一般的な解説です。具体の手続き・適法性は案件ごとに所管窓口へご確認ください。
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よくある質問
Q. 待機が読めない現場はどう設計する?
A. 初便でサイクルを実測→30〜60分で「増車/減車/時間帯変更」を判断する運用が安全です。
Q. 2t×2台と4t×1台はどちらが安い?
A. 誘導と積込能力・待機スペースの制約次第。円/m³で比較し、交差リスクが高いなら少台数で回す方が安定です。
Q. 大型が安いと聞いたが、現場では高くなることがある?
A. 狭い動線や待機が多いとサイクル時間↑で逆転します。距離長+動線良なら大型有利です。
