冬のドローン測量は、正直に言うと苦労が多い季節です。「寒くても飛ばせるんですか?」と聞かれることがありますが、飛ばせるかどうかより、飛ばせる条件を揃えるまでの準備と判断に、夏場の倍近いエネルギーを使います。今回は現場でつくづく感じてきた冬特有の苦労と、それでも冬にしかできない仕事の話を書いておきます。
冬の現場で苦労すること
苦労をひとつずつ挙げると、だいたいこの五点に集約されます。
① バッテリーの電圧降下が早い
低温環境ではバッテリーのセル電圧が下がりやすく、残量表示が余っていても機体が警告を出すことがあります。対策として、フライト直前まで保温ケースに入れて温めておくことと、持ち込む本数を増やすことが基本になります。暖機を短時間でも挟むと安定します。現場で充電器を回しながら交互に飛ばすオペレーションが冬の標準形になっています。
② 日照時間が短く、太陽高度が低い
冬は太陽が低い角度で推移するため、地物の影が長く伸びます。写真測量では隣接する撮影写真のマッチング精度に影響が出やすく、深い影の部分でテクスチャが潰れることがあります。実質的に使える撮影時間帯は「太陽高度がある程度確保できる昼前後」に限られ、早朝・夕方はほぼ対象外になります。一日に消化できる面積が夏より少なくなるのは避けられません。
③ 積雪・路面凍結でアクセスと標定点設置が難しくなる
山間部や北側斜面を含む現場では、アクセス路の凍結で機材を運び込めないケースがあります。標定点を設置しても、雪面に置いたターゲットが埋もれたり動いたりするリスクがあります。また雪面は光を均一に反射するため、点群データで地表面の凹凸が取りにくくなります。積雪深がある現場は計測時期そのものを調整することも選択肢に入れます。
④ 屋内外の寒暖差による結露
車内や現場小屋で温めていた機体を冷えた屋外に出すと、レンズやセンサー周りに結露が生じることがあります。逆に冷えた機体を暖かい車内に入れても同様のことが起きます。計測前にレンズの状態を目視確認するひと手間が必要で、撮り直しや現場延長の原因になりやすいところです。
⑤ 北風による飛行可否の判断がシビアになる
名古屋を中心とした東海エリアの冬は北風が強い日が多くあります。地上の風速計測だけでは上空の実風速と乖離することがあり、飛ばしてみて引き返す判断を迫られることもあります。強風時に無理をすると機体の位置安定が落ちて計測品質に響くため、飛行可否の基準をかなり厳しく運用しています。
でも冬ならではの利点もある
苦労ばかりではありません。冬に計測してよかったと感じる場面も実際にあります。
最も大きいのは落葉期の植生透過性です。夏場は樹冠が密閉されて地表面の点群がほとんど取れない現場でも、落葉後であれば地面まで光が届き、林床の地形をある程度捉えられます。山林内の法面管理や地形把握の案件は、あえて冬に時期を合わせることがあります。
もうひとつは赤外線点検での温度差の出やすさです。太陽光の影響が弱い寒い朝の時間帯は、設備と外気温の差が大きく出るため、熱分布のコントラストが鮮明になります。赤外線カメラを使った設備点検では、この温度差の大きさが逆に診断のしやすさにつながることがあります。「冬の赤外線は読みやすい」という感覚は実務でも共有されています。
冬の現場でやっている工夫
対策として定着しているのは次のような点です。
- 予備日を夏場より多めに設定してスケジュールを組む
- バッテリーは保温ケース管理を徹底し、持ち込み本数を増やす
- 撮影は太陽高度が確保できる昼前後の時間帯に集中させる
- 積雪がある現場は計測時期の調整を事前に提案する
- 機体の温度順応に十分な時間を取り、レンズ状態を目視確認してから離陸する
いずれも特別なことではありませんが、これらを現場ごとに組み合わせて実行することが冬の品質維持につながっています。
東海エアサービスの実務での進め方
当社では測量業 登録第(1)-37730号と全省庁統一資格のもと、RTK/PPK対応のDJI系ドローンを使用して写真測量と点群計測を行っています。赤外線カメラを搭載した機体も運用しており、設備点検の冬季計測にも対応しています。点群処理はTREND-POINTおよびTREND-ONEで行い、成果物はLAS・LAZ・DWG・DXF・PDFの形式で納品しています。対応エリアは全国です。
冬の現場は「とにかく天気と体力の消耗が大きい」というのが正直なところですが、時期の制約をあらかじめ共有しておくことで、計測品質を落とさずに完了できています。積雪や強風で日程が流れることも珍しくないため、余裕のあるスケジュール設計が現場の品質に直結します。季節を問わない安定納品のために、こういった実情を事前に話しておくことを大切にしています。
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