東海エリアの河川・海岸侵食モニタリング|ドローン定期計測で変化を可視化

河川の河床変動や海岸線の侵食・堆積は、一度の測量では把握できません。年単位・季節単位で繰り返し計測し、差分を重ね合わせて初めて「どこがどれだけ変化しているか」が定量的に見えてきます。ドローンによる繰り返し計測は、広範囲の地形変化を面的に・短期間で記録できる手段として、河川管理や海岸保全の場面で活用が広がっています。

ドローン定期計測でできること

ドローン写真測量またはLiDARを用いた定期計測では、計測ごとに点群データLAS/LAZ)を取得し、複数時点の点群を重ね合わせることで、地形の変化量を面的に算出できます。

差分で把握できる変化

  • 河床の低下・上昇(洗掘・土砂堆積)
  • 堤防法面の崩落・侵食箇所の特定
  • 汀線(海岸線)の後退・前進の経年変化
  • 砂州・中州の消長と形状変化
  • 護岸ブロック周辺の洗掘状況
対象把握できる事象主な用途
河川堤防法面侵食・法肩後退補修優先順位の判断資料
河床洗掘深・堆積土砂量浚渫計画・土量管理
海岸・砂浜汀線変位・砂丘形状変化養浜計画の効果確認
河口部土砂デルタの消長航路維持・洪水流下能力の検討

点群の差分から算出した土量は、CAD(DWG/DXF形式)や断面図(PDF)として出力し、設計・施工計画の検討資料として利用できます。

東海エリアの現場特性

東海地方(愛知・三重・岐阜・静岡)は、河川地形と海岸地形の両方が複雑に絡み合う地域であり、侵食・堆積のモニタリングに固有の難しさがあります。

木曽三川をはじめとする大河川

木曽川・長良川・揖斐川(木曽三川)は岐阜・愛知・三重にまたがり、流域面積が大きく、出水期の流量変動が大きい河川です。台風や集中豪雨時には短期間で河床が変動する区間があり、出水前後の比較計測が河川管理上の重要な情報となります。天竜川(静岡)も急勾配河川として土砂移動が活発で、下流側の堆積状況の変化を追う需要があります。

伊勢湾・三河湾・遠州灘の海岸線

伊勢湾・三河湾に面する海岸は比較的穏やかな内湾環境ですが、台風接近時の高潮・波浪による一時的な侵食が繰り返されてきた地形的背景があります。遠州灘(静岡西部〜愛知東部)は外洋に開いた砂浜海岸で、沿岸漂砂による汀線変動が継続的に観察されている区域を含みます。港湾・漁港周辺では防波堤基部の洗掘も定期確認の対象になりやすい箇所です。

台風・高潮の影響

東海地方は台風の上陸・接近経路にあたる頻度が高く、伊勢湾台風(1959年)の記憶からも示されるとおり、高潮による大規模な地形変動リスクを持つ地域です。台風通過後に緊急的な地形変化の記録が必要となるケースも多く、機動力の高いドローン計測が対応しやすい場面です。

計測・運用の留意点

基準点の固定と同条件反復が精度の前提

差分の信頼性は、複数時点の点群が同一の座標系・基準面に揃っていることが大前提になります。RTK/PPKドローンを用いても、現地の基準点(GCP)を毎回同じ位置に設置・観測し、座標値を固定することが不可欠です。計測時期・時刻・飛行高度・重複率を記録として残し、次回計測で同条件を再現できるよう管理する必要があります。

水面・水中は点群取得が困難

ドローン写真測量・LiDARともに、水面には反射や透過の影響があるため、水が張っている状態の河床・海底地形を直接取得することはできません。低水時・干潮時を狙った計測計画の立案が重要であり、常に水面下が露出しない区間については別手段との組み合わせを検討する必要があります。

リスク判定は専門機関の役割

ドローン計測で得られる地形差分データは定量的な変化量を示すものであり、堤防の安全性評価・侵食リスクの判定・対策要否の最終判断は、河川管理者や海岸保全の専門機関が行う業務です。計測データはその意思決定を支援する資料として位置づけることが重要です。

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よくあるご質問

  • 計測の頻度はどのくらいが目安ですか?
    対象箇所の変動速度や管理目的によって異なります。台風シーズン前後の年2回を基本とし、変動が活発な区間では出水のたびに計測するケースもあります。緩やかな汀線変動を追う場合は年1回でも傾向把握に十分なことがあります。現場の状況と管理上の判断サイクルに合わせて設計します。
  • 既存の縦横断測量データと比較することはできますか?
    座標系が一致していれば比較は可能です。過去の縦横断図(DXF/DWG)と今回のドローン点群を同一座標系に重ね合わせることで、旧測量時点との差分を断面図として表現できます。既存データの座標系・測量基準を事前に確認することが前提となります。

東海エアサービスの実務での進め方

東海エアサービスでは、測量業登録(第(1)-37730号)および全省庁統一資格のもと、河川・海岸の定期モニタリング計測に対応しています。

  • 計測前:基準点設置と計画立案──初回計測の前に現地でGCP(地上基準点)の設置位置を確定し、測量により座標値を確定する。以降の計測では同じGCPを使用することで、回次間の誤差要因を抑える。飛行計画は対象エリアの形状・障害物・規制空域を踏まえてDJI系RTK/PPKドローンで設計する。
  • 計測:出水直後・干潮時を優先──変化量を効率よく記録するため、出水後の早い段階・海岸では干潮時に計測を実施する。同一条件での反復が差分精度に直結するため、計測高度・重複率・飛行方向を記録として次回に引き継ぐ。
  • 処理・成果物──取得した点群はTREND-POINTで処理し、LAS/LAZで納品。差分結果はDXF/DWG(等高線・差分ポリゴン)およびPDF(断面図・土量計算書)として出力。断面比較や土量計算はTREND-ONEで対応。形式は発注者の利用環境に合わせて調整する。
  • 継続計測の記録管理──各回の計測条件・基準点座標・処理パラメータを記録ファイルとして保管し、次回計測者が同条件を再現できる引き継ぎ資料を整備する。東海中心・全国対応。

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