「段取り八分、仕事二分」という言葉があります。ドローン測量の現場でこれほど痛感する言葉はありません。計測当日にどれだけ技術があっても、前日までの準備が甘ければ現場で立ち往生します。逆に言えば、前日の数時間を丁寧に使えば、当日のリスクの大半は消えます。今回は、私が実際に準備不足で困った経験と、そこから作り上げた前日チェックの習慣を書きます。
計測前日に必ずやること
以下は、私が毎回必ず確認する項目です。ルーティン化することで、抜け漏れをゼロに近づけています。
- 天候・風の最終確認と予備日判断:前日夕方時点の気象予報と風速をチェックします。計測当日の風が機体の許容を超えそうな予報なら、翌日以降の予備日に切り替えるかどうかを判断します。「たぶん大丈夫」で現場に向かうのは最悪のパターンです。遠方案件では特に、中止判断を早めに発注者へ連絡します。
- バッテリーの充電確認と本数チェック:計測面積と飛行ルートから消費本数を逆算し、必要本数+予備が充電済みかを確認します。バッテリーのセル電圧バランスも目視します。出発直前に「1本充電し忘れた」では取り返しがつきません。
- 飛行ルートと標定点配置の最終確定:フライトプランを再確認し、標定点の座標・配置・個数が現地地形と合っているかを地図と見比べます。標定点が少なすぎると点群の精度が落ちます。地形変化が激しい箇所には補強が必要かを判断しておきます。
- 飛行許可・承認書類の確認:DID(人口集中地区)内の飛行は国土交通省への申請が必要で、申請期間を見込んでおく必要があります。受理番号と有効期限を前日に再確認します。書類の日付や座標に誤りがないかもこの時点でチェックします。
- 現地アクセス・立入許可・関係者への連絡:現場に入るための立入許可証・ゲートの鍵の有無・駐車スペースを再確認します。地権者や現場管理者には「明日の何時頃に伺います」と前日夕方に一報を入れます。これが当日の待機時間を大幅に削ります。
過去に準備不足で困った話
今のチェックリストは、失敗の積み重ねで出来上がりました。代表的な3つを紹介します。
① 電波環境が悪い現場と知らずに行った
建屋に三方を囲まれた敷地内の計測でした。事前には「屋外なのでGNSSは問題ない」と判断していました。しかし当日になって、囲まれた環境の影響でGNSS受信の安定性が想定を下回ることが判明しました。RTKの固定解が安定せず、飛行高度と計画を現場で急遽変更せざるを得なくなりました。ロケハンで現地を一度見ておけば、機材の選定と計画の段階で対処できました。事前に「囲まれた地形かどうか」「障害物の高さはどの程度か」を、可能なら現地確認で把握しておく必要があると学びました。
② 遠方案件で予備日が取れず、悪天候が一発勝負になった
片道が長くかかる現場では、予備日のスケジュールを押さえることが難しくなります。発注者の工程も詰まっているため、「来週もう一度」が簡単に言えない状況でした。当日の天候が怪しく、飛行できたものの風が安定しない時間帯が続きました。かろうじて計測を終えましたが、データの品質確認に時間がかかりました。遠方案件は最初から「予備日を含めた日程確保」を提案するか、天候リスクを発注者と共有したうえでスケジュールを組む必要があります。
③ 現場が稼働中で、飛行待機が発生した
計測予定の現場で、別作業による搬出が午前中まで続いていました。空域に大型車両や作業員が入る時間帯は飛行できません。事前に現場管理者と「どの時間帯に空域が空くか」を確認していなかったため、現地で待機することになりました。計測は完了しましたが、帰着が遅れ、その日の別業務に影響が出ました。現場が稼働中かどうか、何時なら工程が空くかは、前日の確認事項として必ず組み込むようになりました。
だから今は事前確認を徹底している
3つに共通しているのは、「現地を実際に見ずに段取りを決めた」という点です。地図や航空写真は精度が高くなりましたが、それだけでは分からないことがあります。建屋の高さ、電線の位置、現場の運用ルール、地権者の連絡先。これらは現地に行くか、現場管理者に連絡して初めて把握できる情報です。
前日の確認にかかる時間はわずかです。それで防げるロスは、当日の待機や再訪問の旅費、データ品質のやり直しコストに比べれば、はるかに小さくなります。「前日に時間を使うほど、当日は動きがスムーズになる」というのが、現場を重ねてたどり着いた実感です。
東海エアサービスの実務での進め方
当社では、DJI系のRTK・PPK対応ドローンを使用しています。計測後の点群処理はTREND-POINTおよびTREND-ONEで行い、成果物はLAS・LAZ形式の点群データとDWG・DXF・PDF形式の図面で納品します。測量業登録(第(1)-37730号)および全省庁統一資格を取得しており、官公庁・自治体案件にも対応しています。対応エリアは全国で、標準的な納期は現地計測後5営業日、急ぎの場合は3営業日で対応しています。
計測前の段取りは、受注後に発注者と工程を確認するところから始まります。DID地区内の飛行が必要な場合は申請期間を逆算してスケジュールを組みます。現地の状況が不明な案件は、ロケハンを工程に組み込むことを提案しています。計測当日に集中できる状態を作るのが、前日までの仕事だと考えています。
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