工場・プラントの予知保全にドローン赤外線を活用する方法|設備異常の早期発見

工場やプラントの設備保全は、近年「事後保全(壊れてから修理する)」から「予知保全(異常の兆候を事前に捉える)」へと移行しつつあります。ドローンに搭載した赤外線カメラは、高所・広域の設備表面温度を非接触で取得できるため、予知保全の入り口となる「傾向把握」の手段として問い合わせが増えています。ただし赤外線計測が担える役割には明確な範囲と限界があります。以下では実務での使い方と注意点を整理します。

ドローン赤外線でできること

赤外線カメラを搭載したドローンは、足場や高所作業車を使わずに設備の表面温度分布を面的に取得できます。定点での接触温度計や手持ちサーモカメラに比べ、広い範囲を短時間で記録できる点が特徴です。

対象設備・部位赤外線で把握できる傾向
配管・バルブ・継手保温材の劣化箇所・漏熱傾向・温度ムラ
電気盤・端子台・接続部接触不良・過負荷が疑われる局所発熱傾向
モーター・軸受部同型機比較での相対的な発熱の偏り
屋根・外壁・タンク外面断熱材の劣化・雨水浸入が疑われる熱分布

成果物は赤外線画像・オルソ(位置合わせ済み正射投影画像)・PDF報告書の形式で納品します。記録として残せるため、次回計測との比較や社内共有がしやすくなります。

予知保全での位置づけ

赤外線計測を予知保全に活かすうえで重要なのは「一回限りの計測」ではなく「定期的な繰り返し計測」です。初回計測でベースライン(正常稼働時の熱分布)を取得しておき、3か月後・6か月後といった定期計測との差分を比較することで、温度上昇の傾向や変化の速さを把握できます。

具体的な運用の流れとしては、以下のステップが現場での相談で多いパターンです。

  1. 初回計測でプラント全体または対象エリアのベースラインを取得・記録
  2. 定期計測(四半期・半期など)で同条件での比較データを蓄積
  3. 温度上昇が継続・加速している箇所を絞り込み、精密点検の優先順位を決める
  4. 絞り込んだ箇所について、振動診断・電気試験・分解点検などの専門点検を実施

赤外線ドローン計測の役割は「どこに異常の兆候があるか」を面的に絞り込む段階です。設備の故障を確定診断する機能ではなく、専門点検の対象箇所を効率よく特定するための補助情報として位置づけてください。

適用条件と限界

赤外線計測には適した条件と、計測値の解釈に注意が必要な要因があります。現場でよくある相談でも、この点の事前確認を必ず行っています。

  • 計測できるのは表面温度の傾向のみ。内部の状態(腐食の深さ・絶縁劣化の程度など)を直接計測することはできません。
  • 外気温・日射・稼働負荷による変動。同じ設備でも計測時の稼働状況や環境条件によって熱分布は変わります。比較には計測条件の統一が前提です。
  • 確定診断は専門点検と併用。赤外線で発熱傾向が確認された箇所は、振動診断・絶縁抵抗試験・超音波検査などの専門点検で確認することが必要です。赤外線計測の結果だけで設備の良否を判定することはできません。
  • 放射率の影響。材質・表面仕上げによって赤外線カメラへの見え方が異なります。金属の鏡面など放射率が低い材質は正確な温度取得が難しい場合があります。

保安・運用上の考え方

工場・プラント内での飛行は、活線部・充電部・危険物エリアとの離隔確保が必須です。飛行計画の立案にあたっては、事業者の保安規程および関係法令(電気事業法・消防法等)を優先してください。当社では飛行前に設備管理担当者との打ち合わせと現地確認を行い、禁止エリア・離隔距離・緊急時の手順を確認したうえで計測を実施しています。

また、立入制限区域や有資格者同伴が必要な場所については、事前に設備管理部門との調整をお願いしています。計測中の設備停止・負荷変更が必要かどうかも、計測目的に応じて事前に協議します。

よくあるご質問

Q. 稼働中の設備に飛ばせますか?
A. 稼働中・通電中の設備を対象とすることは多いですが、活線部・爆発性雰囲気エリア・クレーン作業エリアなど飛行が制限される場所があります。事前に設備管理部門と飛行範囲・離隔を確認し、事業者の保安規程に従って計画します。

Q. 一度計測すれば故障が予防できますか?
A. 一回の計測はその時点の熱分布の記録です。傾向を把握するには定期的な比較計測が必要です。また、赤外線計測はあくまで異常箇所の絞り込みを補助するものであり、設備の故障を事前に確実に予防・予知することを保証するものではありません。専門点検・メンテナンス計画と組み合わせてご活用ください。

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東海エアサービスの実務での進め方

当社では、工場・プラントの赤外線調査について以下の流れで対応しています。

  • 事前ヒアリング:対象設備・エリア・稼働スケジュール・保安規程を確認し、飛行可否と計測条件を整理します。
  • 現地確認(ロケハン):離隔確保・飛行ルート・障害物・電波環境を事前に確認します。
  • 計測実施:DJI系ドローン(赤外線カメラ搭載対応機)を使用し、設備管理担当者の立会いのもとで計測します。
  • 成果物納品:赤外線画像・オルソ・PDF報告書(発熱傾向箇所のマーキング付き)を納品します。
  • 継続計測の設計:ご要望に応じて定期計測のスケジュールと比較方法をご提案します。

測量業 登録第(1)-37730号・全省庁統一資格を保有しており、官公庁・民間を問わず対応しています。東海エリアを中心に、全国対応が可能です。赤外線調査単体でのご依頼のほか、ドローン測量・3D計測・点群処理との組み合わせでのご相談もお受けしています。

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