UAV写真測量とLiDAR(レーザー計測)は、どちらも三次元データを取得する手段ですが、向き不向きがはっきり分かれます。方式選定を誤ると、再測量や追加費用の発生につながります。この記事では「対象物の可視性」「求める精度」「使い道」という3つの条件から、現場ごとの判断基準を整理します。
結論:方式は「対象物の可視性」「求める精度」「使い道」の3条件で決まる
UAV写真測量(SfM)とLiDARは、原理が異なるため得意な条件も異なります。写真測量はカメラで撮影した画像から特徴点を照合して三次元形状を復元する方式のため、地表面が写真に写っていることが前提になります。一方LiDARはレーザーパルスを照射し反射時間から距離を計測するため、樹木の隙間を抜けて地表まで届いたパルスがあれば、地表の点として拾うことができます。
実務での判断は概ね次の通りです。
| 現場条件 | 向いている方式 |
|---|---|
| 裸地・造成地・オルソ画像も必要 | UAV写真測量(SfM) |
| 樹木・草本など植生が密で地表を写真で捉えにくい | LiDAR(航空・地上) |
| 水面・法面の砕石・反復模様の面(点群のノイズが出やすい対象) | LiDAR、または撮影条件を調整した写真測量との併用 |
| 屋内・UAVが進入できない狭小空間 | 地上レーザースキャナ |
UAV写真測量(SfM)が向いている現場
裸地・造成地でオルソ画像も欲しい場合
草地が刈られた状態の造成地や、掘削・盛土の進捗を面的に把握したい現場では、写真測量が適しています。数百枚の写真から高解像度のオルソ画像(SfMによる三次元復元)と点群データを同時に得られるため、出来形の面的な記録と数量算出を1回の飛行でまとめられます。
反射・模様の影響を受けやすい対象物
水面、太陽光パネルの反射面、砕石ヤードのような反復模様の面は、写真測量・LiDARいずれの方式でもノイズや欠測が出やすい対象です。撮影時間帯(順光・逆光)や飛行高度の調整で改善できる場合もありますが、精度要求が高い現場では後述のLiDAR併用を提案することがあります。
LiDAR(レーザー計測)が向いている現場
樹木・草本など植生下の地形を取りたい場合
写真測量は「写真に写っている面」しか復元できないため、樹冠に覆われた地表面や、草丈のある地盤は写真測量だけでは正確な地表モデル(DTM)を得にくくなります。DSM・DTM・DEMの違いにある通り、写真測量から得られるのは基本的に地物込みのDSMに近い形状で、植生下の地表(DTM)を分離するにはレーザーのグラウンドフィルタリング処理が有効です。山林に近い法面や、造成前の伐採地で草本が残っている現場は、LiDARの適用を検討する対象になります。
UAV単独では抜けが出る箇所と地上スキャナ併用の判断
UAVからの計測は上空からの視点になるため、擁壁の陰、建屋の軒下、法尻の際など、上から見えない部分はどうしても点群が欠測します。図面化・出来形管理で構造物の側面や下端まで必要な場合は、地上型レーザースキャナを併用してUAVデータと合成する構成を提案することがあります。逆に、上空からの面的な把握だけで足りる(オルソ画像・概算土量が目的)現場では、地上スキャナまでは不要というケースも多くあります。
現場でよくある相談
「樹木が多い現場だがUAVだけで測れるか」という相談は多く、その場合は落葉期の撮影タイミング調整や、LiDAR併用の必要性を現地状況(樹種・葉の茂り方・下草の有無)から個別に判断しています。また「以前は写真測量で発注したが、地表の起伏がうまく出なかった」という相談もあり、これは植生下のDTM取得を写真測量だけで狙っていたケースがほとんどです。逆に「LiDARで頼んだが想定より時間・工程がかかった」という相談では、そもそも裸地中心でオルソ画像が主目的だった現場で、写真測量のほうが工程に合っていたというケースもあります。目的(数量算出か、出来形記録か、図面化か)を最初に確認することが、方式選定のミスマッチを防ぐ一番の近道です。
見積時に確認している項目
- 対象範囲の植生状況(裸地/草本/樹木・樹種)と季節(落葉期かどうか)
- 求める精度区分(概算把握か、出来形管理・数量確定に使う精度か)
- 最終的な使い道(オルソ画像・土量算出・図面化・BIM連携のいずれか、または複数)
- UAVが進入できない箇所(狭小地・屋内・高構造物の陰)の有無
- 基準点・座標系の指定有無、既存の境界・基準点資料の有無
- 成果物の納品形式(点群のみか、図面化まで含むか)
あわせてドローン測量の精度についても、対象の反射特性やGCP(対空標識)設置の可否とセットで確認しています。
対応フロー
- ロケハン:現況写真・地図・現地確認で植生状況と離着陸可否を確認
- 測量:UAV写真測量・LiDAR・地上レーザースキャナのいずれか(または組み合わせ)で現地計測
- 処理:撮影画像・点群データの解析、グラウンドフィルタリング、座標系への統合
- QC:既知点との照合、点群密度・欠測箇所のチェック
- 納品:目的に応じた形式(点群のみ/図面化まで)で成果物を提出
使用機材・処理ソフトと標準成果物形式
UAV写真測量はRTK/PPK対応のUAVで撮影し、Metashape・Pix4Dmapperで点群・オルソ画像を生成します。図面化が必要な場合はTREND-POINTで点群処理、TREND-ONEで図面作成まで対応します。植生下の地形取得やUAVが届かない箇所の計測が必要な現場では、地上レーザースキャナや航空レーザー計測を組み合わせた計測構成を提案します。標準的な成果物形式は、点群データ(LAS/LAZ)、オルソ画像・DSM(GeoTIFF)、図面(DXF/DWG)、報告書(PDF)です。土量計算のワークフローまで含めた対応も可能です。
東海エアサービスが対応できること
測量業登録第(1)-37730号・全省庁統一資格(役務・全国)を保有しており、官公庁・自治体案件を含めて全国対応しています。写真測量・LiDARどちらか一方に限定せず、現場条件から適切な計測方式を組み合わせて提案する体制を取っています。
まとめ
写真測量とLiDARは「どちらが優れているか」ではなく「その現場・その目的にどちらが合っているか」で選ぶものです。植生の有無、求める精度、最終的な使い道(オルソ画像・土量算出・図面化)を整理したうえで、方式を決めることが手戻りのない発注につながります。判断に迷う場合は、現況の写真や図面をもとに事前相談することも可能です。
現場条件から測量方式を相談する
植生状況・求める精度・成果物の使い道をお聞きした上で、UAV写真測量・LiDARの組み合わせをご提案します。
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