LiDAR測量と写真測量(フォトグラメトリ)は、どちらも三次元点群データを取得する手法ですが、計測原理がまったく異なります。「精度の高い方を選べばいい」「安い方でいい」という発想では、現場条件に合わない成果物が出てしまうことがあります。工事の進捗や地形の種類によって適切な手法は変わるため、発注前に違いを理解しておくことが重要です。
仕組みの違い
UAV-LiDAR(レーザー能動計測)
LiDARはレーザーパルスを照射し、対象物に反射して戻るまでの時間から距離を算出します。センサー自体が光源を持つ「能動計測」であるため、日照条件に左右されにくい特性があります。また、樹木の葉と葉の隙間をレーザーが通過して地面に届く場合、最初の反射(ファーストリターン)と最後の反射(ラストリターン)を分離して取得できます。これにより、植生で覆われた地表面の形状を捉えやすくなります。
写真測量・SfM(画像からの三次元復元)
写真測量(フォトグラメトリ)は、複数の重複写真から共通の特徴点を抽出し、Structure from Motion(SfM)アルゴリズムで三次元座標を復元します。可視光カメラで撮影した画像を使うため、テクスチャ情報がそのまま点群やオルソ画像に付与されます。一方で、光量不足・強い影・均一な色面(コンクリート、水面)は精度に影響しやすく、植生が密な場所では地表面まで画像が届きません。
LiDARと写真測量の比較
| 比較項目 | UAV-LiDAR | 写真測量(SfM) |
|---|---|---|
| 地表面の取得 | 植生・草地下も取得しやすい | 開けた地形・裸地に強い |
| 植生透過性 | マルチリターンで地面を分離 | 樹冠で遮蔽され地面を取得しにくい |
| 点群の密度 | 高密度(飛行高度・速度に依存) | 重複率設定で高密度も可能 |
| 日照・天候依存 | 依存しにくい | 曇天・逆光・夜間は不利 |
| テクスチャ情報 | 強度値(輝度)が主体 | RGB情報をそのまま取得 |
| 主な成果物 | LAS/LAZ・DTM・等高線・DXF | オルソ画像・DSM・LAS/LAZ・DXF |
| 適した現場 | 林地・河川・草地・急傾斜地 | 造成地・工事現場・土量管理 |
現場条件による使い分け
LiDARが適しているケース
植林地・河川堤防・丘陵地など、草木や樹冠が地表を覆っている場所では、写真測量では地面の形状を正確に取得できません。このような現場ではLiDARのマルチリターン機能を使って地表面モデル(DTM)を生成します。急傾斜地や影になりやすい谷部でも、レーザーが届く範囲であれば安定したデータが取りやすくなります。
写真測量が適しているケース
造成中の盛土・切土、建設現場の土量管理など、裸地状態で広範囲を効率的に計測したい場合は写真測量が適しています。オルソ画像が同時に生成されるため、施主への進捗報告資料や、設計図面とのオーバーレイ確認にも活用できます。写真測量ソフト(Metashape・Pix4Dmapper)の処理で、DSM・等高線・LAS/LAZ・DXF形式に変換して納品します。
土量計算における両手法の位置づけ
土量計算はどちらの手法でも対応できます。ただし、伐採前の山林で切土計画を立てる場合は、先にLiDARで地盤高を取得し、その後の施工中を写真測量で追うという組み合わせが現場では合理的です。成果物はいずれもTREND-POINT・TREND-ONEで処理し、DXF・PDFで設計・施工担当者に渡せる形に整えます。
現場でよくある相談
- 「ドローン測量と言われたが、LiDARか写真測量か教えてもらっていない」――発注仕様書に計測手法の記載がなく、どちらか不明な状態で問い合わせいただくケースがあります。現地の植生状況・用途・必要な成果物を確認してから手法を提案します。
- 「林地の地盤高を出したいが、以前の写真測量データが地面を拾えていなかった」――密度の高い草地・ブッシュ・杉林などはSfMでは地表面に到達しません。LiDARへの切り替えと再計測を検討することになります。
- 「オルソ画像と点群の両方が欲しい」――LiDARフライトと写真測量フライトを同日に実施し、点群はLiDARデータ・オルソは写真データとして使い分ける方法を取ることがあります。同一飛行エリアでのセット提案も可能です。
東海エアサービスの実務での進め方
当社は測量業登録(第(1)-37730号)・全省庁統一資格を保有し、国内全域で計測から成果物納品まで対応しています。DJI系RTK/PPK対応機を用いて写真測量・UAV-LiDARどちらも自社で実施します。点群処理はTREND-POINT・TREND-ONEで行い、LAS/LAZ・DWG・DXF・PDFでの納品に対応しています。
- 手法選定の確認項目:現地の植生密度/計測対象(地盤面・構造物・斜面)/必要な成果物の種類(オルソ・DTM・等高線・DXF)/座標系・測地系の指定有無
- 飛行前確認:RTK基準点の配置計画、GCP設置の要否、飛行許可空域(航空法・港湾・河川・林野)
- 納品形式:発注者が使用するCAD・GISソフトに合わせて形式を調整。TREND-ONE連携でDXF出力、地形図・横断図への展開も対応
- 現地計測後の標準納期:通常5営業日、急ぎの場合は3営業日(事前相談が必要)。問い合わせ段階で「どちらの手法か迷っている」状態でも、現地条件・工程・成果物の用途を確認したうえでコストと精度のバランスを考慮した手法を提案します。
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