ドローン測量の精度を決める要素の一つに「GCP」があります。Ground Control Point——地上基準点のことです。
GPS精度を高めるために、現地に数メートル間隔で基準点を設置して、ドローンのカメラに撮影させる。そのデータをソフトウェアに読み込ませて、画像と地面を正確に紐付ける——その技術がGCPです。
僕が初期段階で犯した失敗は、「GCPが少なくても何とかなるんじゃないか」という根拠のない自信でした。
### 早すぎた効率化の判断
ある建設会社さんから、3ヘクタール規模の宅地造成の測量を受注しました。
通常、この規模だと GCP は最低でも15〜20個必要です。50m × 100m の区画を想定すると、各区域の四隅と中央に置く必要があるからです。
でも、「今回は予算が限られてる」との話を聞いて、「GCP を8個に減らしてみようか」って考えてしまった。コスト削減のつもりでした。
### 現実はシビア
計測から3日後、ソフトウェアの処理が終わって、納品直前に検算してみたんです。
水平精度:±8cm(仕様値は±3cm)
垂直精度:±12cm(仕様値は±5cm)
あ、これ、アウトです。仕様を超えてる。
発注者さんに「精度が仕様外なので、改めて計測させていただきたい」と報告するのは、本当に気が引けました。でも、いい加減なデータを納品するわけにはいきません。
### 2度目の出動——GCP増量作戦
翌週、GCP を20個に増やして再計測に出かけました。
その時に気づいたのは、8個と20個の差は「設置にかかる時間」だけじゃなくて、「ソフトウェアの演算精度」に大きく影響してたということです。
GCP が多いほど、ソフトウェアは「どこに誤差があるか」を判断しやすくなる。画像マッチングの精度も上がるんです。
2度目の計測結果:
水平精度:±2.8cm(仕様達成)
垂直精度:±4.5cm(仕様達成)
発注者さんも「さすが、今回は仕様通りですね」と満足していただけました。
### コストと品質のバランス
いま、僕は「ドローン測量の価格は、GCP設置の手間が大きく占める」という考え方をしています。
GCP を少なくして見積を下げるのは、品質を下げるのと同じ。だから、発注者さんとの打ち合わせ時点で「この規模・精度を実現するには、GCP はこのくらい必要です」という説明をしておく。
そうすると、発注者さんも「なるほど」と理解してくれて、不要なクレームも減りました。
あの失敗がなかったら、ずっと「GCP は少なくても大丈夫」という誤解を持ち続けてたと思います。