岐阜・三重の山林では、人工林の更新計画や路網整備に向けた現況把握の需要が高まっています。従来の地上調査だけでは急峻な地形や広大な林分をカバーしきれず、効率的なデータ取得手段としてUAV-LiDAR計測への関心が現場で増えています。東海エアサービスでは、岐阜・三重を含む東海全域の森林・山間地での計測をもとに、LiDARを使った森林資源調査と地形把握の方法を整理して案内しています。
UAV-LiDARで把握できること
UAVに搭載したLiDARセンサーは、レーザーパルスを高密度で照射し、植生の葉・枝・幹・地面からの複数の反射(マルチリターン)を同時に記録します。これにより、樹冠の上面だけでなく、葉の隙間を通過して到達した地表面の点群も同一フライトで取得できます。
取得できる主な情報
- 樹冠高モデル(CHM):地表面モデル(DTM)と樹冠表面モデル(DSM)の差分から、林分の樹高分布の傾向を面的に把握できます。個体ごとの精密な材積算出には地上調査との併用が前提となりますが、林分の高さムラや更新の遅れているエリアの把握に役立ちます。
- 林相区分の補助:点群の密度・高さ分布から針葉樹林・広葉樹林の分布傾向を読み取る補助資料として活用できます。確定的な樹種同定にはスペクトル情報との組み合わせが必要になりますが、踏査計画の絞り込みには有効です。
- 植生下の地形把握(DTM):葉が繁茂した夏季でも、地面到達パルスを抽出することで谷地形・尾根・斜面形状の地表面モデルを作成できます。作業道の現況把握や路網計画の基盤データとして利用できます。
- 本数密度の傾向推定:樹冠個体の抽出処理を用いて、林分の疎密傾向を面的に把握することができます。個体確定精度は林分構造や解析手法によって差があるため、重要な判断箇所は現地検証を併用します。
写真測量との違い
| 項目 | UAV-LiDAR | UAV写真測量(SfM) |
|---|---|---|
| 植生下の地形取得 | 可能(マルチリターン) | 困難(葉面で止まる) |
| 点群密度 | 高密度・均一 | テクスチャ依存・林内で欠損しやすい |
| 天候条件 | 曇天でも計測可 | 照明条件の影響を受ける |
| 樹高把握 | CHM作成が可能 | 樹冠面のみで林床は不明 |
| 主な成果物 | LAS / LAZ・DTM・DSM・CHM | オルソ画像・DSM・点群 |
このエリアの現場特性
岐阜県は東濃から飛騨にかけてスギ・ヒノキの人工林が広く分布しており、とくに東濃(中津川市・恵那市・瑞浪市周辺)や飛騨の山間部では、急峻な地形に沿って小規模な林班が入り組んでいる地域が多くあります。尾根と谷の高低差が大きく、地上からの踏査だけでは地形の全体把握に時間がかかる現場が少なくありません。また、積雪期のある飛騨地域では計測可能な季節が限られるため、フライト計画の時期選定が重要になります。
三重県の山林は南部(熊野・大台)を中心に急勾配の斜面林が多く、大雨や台風の影響を受けやすい地形的特徴があります。林道が細く車両アクセスが制限される林班では、ドローンによる空中計測の機動性が現地踏査の補完として機能しやすくなります。また、三重は紀伊山地に連なる複雑な谷地形を持つエリアが多く、作業道の計画に必要な縦断勾配・横断形状の把握ニーズが高い地域です。
計測・運用の留意点
GNSS受信環境
深い谷や急峻な山腹ではGNSSの受信精度が低下しやすくなります。RTK測位が安定しない環境ではPPK(Post Processed Kinematic)方式を採用し、フライト後の軌跡補正で精度を確保します。東海エアサービスではRTK/PPK両対応機材を保有しており、現地の電波環境に応じて方式を選択しています。
落葉期の有利性
広葉樹が混交する林分では、落葉後(晩秋〜早春)にフライトを行うと葉のない状態で地面到達パルスが増え、DTMの品質が向上しやすくなります。スギ・ヒノキ主体の人工林では季節を選ばず計測できますが、林縁に広葉樹が多い現場では時期の検討を推奨しています。
基準点の設置
計測精度を担保するため、現地への基準点(GCP)または検証点の設置が原則となります。急峻地では基準点の設置可能な場所が限られるため、事前に地形図・空中写真で候補地を選定したうえで現地確認を行います。
解析結果の利用上の限界
UAV-LiDARから得られる樹高・本数・林分密度の情報はあくまで傾向把握の補助データです。森林経営計画や補助金申請に必要な材積・蓄積量の確定値は、地上調査(標準地調査・毎木調査)との組み合わせによる確認が不可欠です。
よくあるご質問
- Q. 傾斜がきつく地上調査が困難な林班でも計測できますか?
A. ドローンは地形に依らず空中から計測するため、急傾斜地や藪の多い林分でも飛行可能です。ただし、強風・降雨・視程不良時は安全基準に従い飛行を中止します。飛行前にロケハンを行い、立木・送電線・崖などの障害物を確認したうえで計画を立てます。 - Q. 成果物はどのような形式で納品されますか?
A. 標準の点群データはLASまたはLAZ形式で納品します。地表面モデル(DTM)・樹冠表面モデル(DSM)はラスタ形式(GeoTIFF等)、路網や地形の図面が必要な場合はDWG・DXF形式で出力します。PDF報告書を併せて作成することも可能です。用途に応じて納品形式を事前に調整します。
東海エアサービスの実務での進め方
- 事前調査・ロケハン:地形図・既存空中写真を用いて飛行範囲・基準点候補・進入路を確認する。林道の車両通行可否を事前に把握し、現地入りの段取りを調整する。
- 基準点設置・フライト:現地に基準点または検証点を設置したうえで、DJI系RTK/PPK対応のLiDAR搭載機でフライトを実施する。飛行高度・速度・スキャン角は対象林分の構造に応じて設定する。
- 点群処理・解析:取得した生点群をTREND-POINTで処理し、グラウンドフィルタリングにより地面点と植生点を分類する。DTM・DSM・CHMを生成し、林分の高さ分布や疎密傾向を整理する。
- 成果物の納品:LAS/LAZ点群・DWG/DXF図面・PDF報告書を納品する。現地計測後、通常5営業日を目安に成果物を提出する(急ぎの場合は事前に相談)。
- 成果の活用支援:路網計画・施業計画の検討に必要な断面図・縦断図の追加作成にも対応する。地上調査との組み合わせで活用する場合の留意点についても情報提供する。測量業 登録第(1)-37730号・全省庁統一資格を保有し、岐阜・三重を含む東海中心・全国対応。
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