石油・ガス施設やパイプラインネットワークは、広大な敷地に配管・バルブ・タンクが点在します。目視点検や足場による計測では、高所・狭所・危険区域に近接する箇所でコストと時間がかかるうえ、作業者への負荷も大きくなります。ドローン空撮・3Dスキャン・赤外線カメラを組み合わせることで、地上からでは把握しにくい部位の状況を記録し、定期点検や維持計画の精度を高める補助手段として活用できます。ただし、ガス施設には法令・社内保安規則による立入制限や着火源管理の規定があるため、実際の飛行計画は必ず現場の保安担当者と連携して決定します。
ドローン・3Dスキャンでできること
当社が実際に活用している計測技術の適用範囲と成果物を整理します。
| 手法 | 主な適用箇所 | 成果物の形式 |
|---|---|---|
| ドローン空撮(RGB) | 屋外タンクヤード外観・高所配管・支持架構・防液堤 | オルソ画像・3Dモデル |
| 地上型レーザースキャナ(3Dスキャン) | バルブステーション・計量棟周辺・地上配管の現況 | 点群データ(LAS/LAZ)・断面図(DWG/DXF) |
| 赤外線カメラ搭載ドローン | 配管外面・タンク外壁の表面温度分布 | 熱画像・温度マップ |
| RTK/PPK測量(精密位置) | 施設全域の座標基準点測定 | 点群+座標付きオルソ(GeoTIFF) |
3Dスキャンで取得した点群はTREND-POINTで処理し、配管の芯々寸法・タンク外径・設備間の離隔距離などを数値として抽出できます。既存図面との照合や、増設・改修工事の設計基礎資料として利用されることが多くあります。成果物はLAS・LAZ・DXF・PDFで提供し、施設管理システムへのインポートにも対応しています。
保安を最優先にした運用の考え方
ガス事業法・高圧ガス保安法の適用を受ける施設では、危険場所の区分や着火源管理の規程が定められています。当社が使用するDJI系ドローンおよびレーザースキャナは一般工業環境向けの機材であり、防爆認定は取得していません。このため以下の点を作業計画の前提としています。
- 飛行エリアの確定は事業者の保安規則が優先する――危険場所への近接・上空飛行の可否は、施設の保安規程と保安担当者の判断に基づいて決定する。当社はその判断に従って飛行計画を作成する。
- 事前の現地保安確認を必須とする――ロケハン時に保安担当者と飛行ルート・離隔距離・緊急停止手順を確認し、書面で合意してから本番飛行に進む。
- 赤外線計測の限界を明示する――赤外線カメラは配管外面の表面温度分布を把握するものであり、ガス漏れを直接検知・定量する機器ではない。断熱材の異常や熱の偏りの傾向把握に活用できるが、ガス検知器の代替にはならない。
- 作業中の着火源管理――ドローンの電気系統は潜在的な着火源となりうる。風向の把握・緊急離脱経路の設定を事前に取り決め、着火源管理は事業者の保安判断に従う。
3Dデータの維持計画への活用
点検後に取得した点群データを時系列で保存しておくと、次回点検時との差分比較が可能になります。配管の変位・腐食進行・タンク底板のたわみ傾向など、1回の点検では見えにくい「変化量」を数値で追跡できます。具体的な活用例として、以下が多くあります。
- 改修前後の計測比較(撤去量・新設寸法の確認)
- 設備台帳へのAs-built(現況)データ登録
- BIM/CIM環境への点群インポート
- 法定点検記録の補助資料(図面・写真と組み合わせた維持記録)
設備が竣工後に増設・改造を繰り返している場合、竣工図と実態の乖離が生じやすくなります。3Dスキャンで現況を取得しておくことで、次回工事の設計精度が上がり、現地合わせのロスを減らせます。
現場でよくある相談
- 「防爆区域には機材を持ち込めないが、外周から計測できるか」――可能な場合が多くあります。危険場所の外側から地上型スキャナで計測し、外観形状・配管ルートを取得する方法を取ることが多いです。到達距離はスキャナの仕様と遮蔽物に依存するため、現地確認が前提になります。
- 「赤外線で断熱材の劣化や熱の偏りを確認したい」――表面温度の異常分布として把握できるケースがあります。ただし外気温・風速・日射条件によって精度が変わるため、夜間または早朝の無風・曇天条件での撮影を推奨しています。撮影条件は事前に相談します。
- 「既存の施設図面が古く、増設部分が反映されていない」――3Dスキャンで現況点群を取得し、DXFで書き出して既存図面に重ね合わせる作業を行っています。差分が大きい箇所だけ優先的に修正するアプローチも対応可能です。
東海エアサービスの実務での進め方
測量業登録(第(1)-37730号)・全省庁統一資格を取得しており、官民問わず対応しています。ガス・エネルギー施設での計測は初回のロケハンを重視しており、以下の手順で進めます。
- ヒアリング・ロケハン――計測目的(維持管理・設計基礎・記録)・危険場所区分・保安規程の確認。立入可能エリアと離隔条件を保安担当者と確認する。
- 飛行計画・スキャン計画の作成――ロケハン結果をもとに飛行ルート・スキャン位置・安全管理計画を文書化し、事業者の承認を得てから本番に進む。
- 計測本番――DJI系RTK/PPKドローンまたは地上型レーザースキャナで点群・画像を取得。赤外線撮影を行う場合は気象条件を選定して実施。
- 点群処理・成果物作成――TREND-POINTで処理。LAS/LAZ・DXF・PDF形式で納品。断面図・平面図・3Dモデルの作成にも対応。現地計測後5営業日が標準納期(急ぎは3営業日・要相談)。
- 見積時に確認している主な項目――計測エリアの面積と対象設備の規模/立入制限の有無/成果物の用途(維持管理記録・設計基礎・BIM連携)/希望する座標系・精度クラス/納期と現地アクセス条件。全国対応。
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