地震が発生した直後、「どの建物が危険か」「道路はどこで寸断されているか」「斜面に崩壊の兆候はないか」を迅速に把握することが、復旧対応の優先順位を決める上で重要になります。しかし、余震が続く中での地上からの目視確認には限界があり、立入困難なエリアの状況把握が遅れることも少なくありません。ドローンによる空撮・点群記録は、こうした初動対応における現況把握の手段として活用が広がっています。
ドローンでできること
地震後の被害調査において、ドローンが担える主な役割は「立入困難なエリアの現況記録」と「被害範囲の空間的な把握」です。具体的には以下のような記録が可能です。
| 対象 | ドローンで記録できる内容 |
|---|---|
| 建物(屋根・外壁) | 屋根材のずれ・破損、外壁クラックの分布、煙突倒壊の有無 |
| 法面・斜面 | 崩壊箇所の位置と範囲、亀裂の走向、堆積土砂の広がり |
| 道路・橋梁 | 路面段差・陥没の位置、土砂流入箇所、橋桁の傾きの概況 |
| インフラ周辺 | 管路・施設周辺の地盤沈下・液状化痕の分布状況 |
RTK/PPK対応のDJI系ドローンを用いると、撮影画像から写真測量によるオルソフォトや点群データ(LAS/LAZ形式)を生成できます。被災前のデータと照合することで、地形の変状や沈下量の傾向を把握する参考資料として活用できます。「被災前後の差分がどの程度か」を視覚的に示せることは、復旧計画の優先順位を検討する際に役立ちます。
被害調査での使い方
現場での具体的な活用の流れは、おおむね以下のような進め方になります。
まず、対象エリアの空撮(オルソ・動画)を実施し、被害の概況を俯瞰的に把握します。建物の屋根・外壁であれば、地上からでは確認しにくい高所や急勾配部分の損傷状況を記録できます。次に、特に被害が集中しているエリアや優先対応が求められる箇所を絞り込み、点群データを取得します。法面崩壊や道路寸断を伴う現場では、土砂の堆積範囲・体積の概算や、寸断区間の位置座標を地図上で整理する資料として使えます。
得られたオルソフォト・点群・DWG/DXFデータは、自治体や施工業者と共有することで、現地を踏まずに復旧計画の初期検討を進める際の参考資料となります。当社では成果物をLAS・LAZ・オルソ・DWG・PDF形式で納品しており、既存のCADソフトや点群処理環境(TREND-POINT・TREND-ONE)との連携に対応しています。
運用の留意点
地震後の被害調査でドローンを飛行させる際には、いくつかの点を事前に確認することが必要です。
まず安全確保が最優先です。余震が続く状況や、崩壊斜面・不安定な構造物が近接している場合は、離着陸地点の安全性を必ず確認してから飛行します。二次災害リスクが高い状況では、飛行自体を見合わせる判断も必要です。
次に飛行制限への対応です。大規模な地震発生後には、航空法に基づく緊急用務空域が設定される場合があります。飛行前に国土交通省の情報や自治体からの通達を確認し、必要に応じて許可・承認手続きを経ることが求められます。
また、点群差分の解釈についても注意が必要です。被災前後のデータ比較は地形変状の傾向把握に有効ですが、基準点の精度・撮影条件・データ処理の方法によって誤差が生じます。数値はあくまでも参考値として扱い、復旧設計に使用する際は別途測量・検証が必要です。
位置づけと限界
ドローンによる現況記録は、被害状況の把握と空間的な記録を迅速に行う手段です。一方で、以下の判断はドローン空撮・点群データだけでは行えません。
- 罹災証明・被害認定:市区町村が実施する被害認定調査(全壊・半壊・一部損壊等の判定)は、行政の調査員が定められた基準に基づいて実施します。
- 構造安全性の判定:建物が引き続き使用できるかどうかの判断(応急危険度判定)は、都道府県が認定した建築士等の専門家が行います。
- 証拠能力:撮影データが保険申請や法的手続きにおいて有効な資料となるかどうかは、用途・状況によって異なります。
当社が提供するのは「現況の空間的な記録と資料化」です。被害認定・罹災判定・構造安全性の結論は、必ず行政機関や専門家にご確認ください。
よくあるご質問
Q. 地震直後でも当日中に飛行できますか?
A. 安全確認と飛行制限の確認が整えば、早期の対応は可能です。ただし、余震の状況・現場環境・緊急用務空域の有無によって飛行可否が変わります。まずは現場状況と制限情報の確認から始めます。
Q. 被災前のデータがない場合でも活用できますか?
A. はい。被災後のオルソ・点群単体でも、損傷箇所の位置記録・被害範囲の概況把握・復旧優先箇所の絞り込みといった用途で活用できます。被災前データとの差分比較は、既往データがある場合に追加的に実施します。
東海エアサービスの実務での進め方
東海エアサービスでは、地震後の被害調査対応として以下の流れで進めています。
現地の安全確認と飛行制限の確認を行い、対象エリアと記録範囲を依頼者と調整します。RTK/PPK対応のDJI系ドローンを用いて空撮・写真測量を実施し、オルソフォト・点群(LAS/LAZ)・正射投影図を作成します。成果物はDWG・DXF・PDFでも出力でき、復旧計画の初期検討資料や行政への報告資料として使いやすい形式で納品します。地上型レーザースキャナとの組み合わせが必要な場合(建物内部・近接部位の詳細記録等)も対応可能です。
対応エリアは名古屋・東海地方を中心に全国対応しています。測量業登録(第(1)-37730号)・全省庁統一資格を取得しており、官公庁・自治体からの依頼にも対応しています。被害状況の記録と資料化について、まずは現場状況をお聞かせください。
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