落葉広葉樹の葉が落ちる冬季・落葉期は、森林内部の見通しが向上し、ドローン測量による地表・立木の状況把握がしやすくなる時期です。東海エアサービスでは、この特性を活かした概況調査の依頼を受けており、道路・電線沿いの支障木確認や、山林の地形把握を目的とした計測に対応しています。本稿では、落葉期のドローン計測で何ができるか、何が限界かを実務の観点から整理します。
落葉期にドローンでできること
落葉後の広葉樹林では、上空からの視線が地表まで届きやすくなります。常緑樹が多い林分と比べると、点群データの地表到達率が上がり、地形の把握精度が向上するケースがあります。以下は、落葉期の計測で対応できる主な用途の整理です。
| 用途 | 概要 | 成果物の例 |
|---|---|---|
| 地形点群の取得 | 葉の被覆が減り地表への点群密度が上がりやすい | LAS/LAZ・DXF地形図 |
| 立木の概況把握 | 樹冠の分布・本数の傾向を空撮画像で確認 | オルソ画像・空撮動画 |
| 支障木・越境枝の位置把握 | 電線・道路に隣接する樹木の張り出し状況を確認 | オルソ・PDF報告・点群 |
| 空撮記録 | 伐採前後の現況記録・経年比較用 | オルソ・動画 |
点群処理にはTREND-POINTおよびTREND-ONEを使用し、地形断面や高さ情報をDWG・DXF形式で出力することも可能です。立木の高さや張り出し方向については、点群から概況を読み取れますが、個体レベルの精度については後述の留意点をご確認ください。
支障木・森林管理での使い方
道路管理者や電力・通信事業者からの依頼で多いのが、線形沿いの支障木の位置把握です。現地を歩いての目視確認は時間と労力を要しますが、ドローンによるオルソ画像と点群を組み合わせると、広いエリアの樹木の位置と高さを短期間で記録できます。
具体的には、道路または電線の路線をルートとして設定し、ドローンによる空撮と点群取得を行います。取得したデータから、路線に近接する樹木の張り出し位置をオルソ上でプロットし、点群から高さを読み取ることで、伐採計画の参考資料として提供できます。地形データを同時に取得しておくことで、法面との関係や排水状況の確認にも活用されています。
山林管理においても、管理区域全体のオルソ画像と地形点群を記録しておくことは、現況把握と将来の比較記録として意義があります。東海エアサービスでは、こうした記録目的の計測についても、成果物の形式や精度要件を事前にご相談のうえ対応しています。
計測の留意点
落葉期のドローン計測には、いくつかの制約があります。事前に把握しておくべき点を以下に整理します。
常緑樹は落葉しません。スギ・ヒノキ・マツなどの針葉樹、およびシイ・カシなどの常緑広葉樹は冬季も葉を保持しています。針葉樹が多い林分では、落葉期の恩恵はほとんど得られません。どの樹種が主体かを事前に確認しておく必要があります。
冬季の気象・日照条件に注意が必要です。山間部では積雪や凍結による飛行の中断リスクがあります。日照時間が短くなるため、1日の計測可能時間も制限されます。低温はバッテリーの稼働時間に影響するため、機材運用に余裕を持たせた計画が必要です。
山間部の空域・電波環境には制約があります。RTK測位に必要な補正信号が届きにくいエリアがあるほか、GNSSの受信環境が安定しない場所では計測精度に影響が出ることがあります。また、急峻な地形では安全な飛行ルートの設定に制限が生じる場合があります。現地確認を含めた事前調査を行うのが基本です。
位置づけと限界
ドローン測量による落葉期の森林・支障木調査は、あくまで概況把握を目的とした計測です。以下の点については、専門の調査機関や管理者の判断が必要です。
- 正確な材積・蓄積量の算定:林業向けの材積調査には、毎木調査など現地での樹種・胸高直径・樹高の個別計測が必要です。ドローンの点群から傾向を読むことはできますが、森林調査専門の技術が必要な領域です。
- 樹種の同定:オルソ画像や点群から樹種を確定することは、専門的な判読技術を要します。樹種別の管理が必要な場合は、現地調査と組み合わせてください。
- 支障の有無・伐採の要否判断:支障木として処理が必要かどうかの判断は、道路管理者・施設管理者・電力会社など、権限を持つ主体が行います。計測データはその判断の参考資料として提供します。
計測結果をどのように活用するかは、発注者側の管理体制や目的によります。事前のご相談で要件を整理し、成果物の形式と精度の範囲を明確にしてから着手するのが東海エアサービスの基本方針です。
よくあるご質問
Q. 常緑樹が混在しているエリアでも計測できますか?
A. 計測自体は可能ですが、常緑樹が多い林分では地表への点群到達率が下がります。対象エリアの樹種構成を事前にお知らせいただければ、計測の適否と成果物の精度見込みについてご説明します。
Q. 取得した点群データは伐採業者や設計事務所に渡せますか?
A. LAS・LAZ形式での納品が基本です。また、TREND-POINTによる処理後にDWG・DXFで出力することも可能ですので、後工程の設計ソフトに合わせた形式でご相談ください。
東海エアサービスの実務での進め方
東海エアサービスでは、落葉期の森林・支障木調査について以下の流れで対応しています。
事前調査・計画:対象エリアの樹種構成、路線長・面積、空域制限、アクセス経路を確認します。山間部では現地踏査を伴う場合があります。使用機材はDJI系RTK/PPK対応ドローンで、補正測位による位置精度を確保します。
計測・処理:現地計測後、点群処理はTREND-POINTおよびTREND-ONEで実施します。成果物はLAS・LAZ・オルソ画像・DWG・DXF・PDFから、用途に合わせて選択します。測量業 登録第(1)-37730号のもと、全省庁統一資格取得事業者として全国対応しています。
納品・確認:現地計測後おおむね5営業日を目安に成果物を提出します。急ぎの場合は事前にご相談ください。データの活用方法についても、納品後に確認の機会を設けています。
計測のご相談はお気軽に。関連記事はドローン測量の記事一覧に。