造成工事や法面工事の完了後、緑化工区の植生がどの程度回復しているかを継続的に把握したいというニーズは、土木・建設・道路管理の現場で一定数あります。特に盛土造成跡地や切土法面では、種子散布や植生マットの施工後に、被覆の広がり具合や裸地の残存状況を定期的に記録し、発注者や管理担当者へ報告する必要が生じます。ドローンによる空撮・オルソモザイク作成は、こうした定期記録の手段として現場で使われ始めています。本記事では、東海エアサービスが実務で取り組んでいる植生回復モニタリングの方法と、利用上の留意点・限界を整理します。
ドローンで記録できること
ドローン空撮の主な強みは、広いエリアを俯瞰で面的に記録できる点です。地上からの目視点検では確認しにくい法面全体の状況を、1回のフライトで連続的に撮影し、オルソモザイク(GeoTIFF)として出力することで、平面的な位置関係を保ったまま記録を残すことができます。
| 記録の種類 | 用途 | 成果物の例 |
|---|---|---|
| オルソモザイク | 被覆・裸地の面的把握・経時比較 | GeoTIFF(任意縮尺) |
| 斜め空撮写真 | 法面表面の質感・繁茂状況の確認 | JPEG写真セット |
| 定期撮影の比較資料 | 施工後の経過報告・要対策箇所の抽出 | PDF報告書(時系列比較) |
オルソ上で色調の変化を目視確認することで、緑色の面積が広がっている箇所と、依然として裸地のままになっている箇所を大まかに区別できます。この「面的な経過記録」が、ドローンモニタリングの中心的な使い方です。
植生回復モニタリングでの実際の使い方
実務では、施工完了後の時点を起点として、同じ飛行ルート・同じ高度・同じ季節条件でのフライトを複数回繰り返し、時系列のオルソを比較します。たとえば施工直後・3カ月後・6カ月後・1年後といったタイミングで撮影し、それぞれの画像を並べることで、緑化の広がりを視覚的に確認できます。
報告資料としては、各時点のオルソ画像と斜め写真を組み合わせたPDFを作成し、発注者や管理担当者への定期報告に活用するケースが多いです。また、緑化が進んでいない箇所や、一度緑化したように見えたにもかかわらず翌年に裸地が再出現している箇所を俯瞰で確認し、追加対策の検討材料として使うこともあります。工事完了後の緑化保証期間中の記録として活用したいという相談が、実際に寄せられています。
撮影・比較時の留意点
植生の「見え方」は季節や天候によって大きく変わります。同じ法面でも、夏季の繁茂期と冬季の枯れ込み期では、オルソ上の色調がまったく異なるため、単純に画像を並べても経年変化なのか季節変動なのかを判断しにくくなります。このため、比較対象となる撮影は原則として同時期(同じ季節・同じ月)に統一することが重要です。
また、撮影高度や飛行方向が変わると、画像の解像度や影の落ち方が変化し、見た目の印象に影響します。東海エアサービスでは初回撮影時にフライトプランを記録しておき、2回目以降も同条件で飛行することを標準としています。天候については、直射日光下では影が強くなり法面の詳細が見づらくなるため、薄曇りの均一光の条件が望ましいことを、現場での経験から確認しています。
ドローン空撮の位置づけと限界
ドローンによる植生回復モニタリングは、あくまで「被覆の広がりを俯瞰で記録する」手段です。以下の点は、ドローン空撮(可視光カメラ)の範囲を超えます。
- 植生の種類同定:目的とした植物種が定着しているか、外来種が混入していないかといった植生の内訳の確認は、植物・生態の専門家による現地調査が必要です。オルソの色調だけでは種の特定はできません。
- 植物の活力・健全性評価:植物が生理的に健全かどうかの評価(葉の色素・水分状態など)は、専門的な生態調査が必要です。可視光カメラのオルソでわかるのは外観上の色の分布にとどまります。
- 植生指数(NDVI等)解析・定量的な被覆率:植生指数の算出には専用の機材と解析条件の管理が必要です。また、可視光カメラのオルソによる定量的な被覆率の算出も照明条件の影響を受けるため、数値として報告書に記載する場合は解釈に慎重さが求められます。当社の標準的なモニタリングは、可視光オルソによる面的な記録を中心としています。
植生回復の評価を最終的に確定するには、ドローン空撮の記録を補助資料として活用しつつ、植生の専門家による現地評価を組み合わせることが適切です。
よくあるご質問
- Q. 法面の面積が小さくてもドローン撮影は対応できますか?
- A. 対応可能です。小規模な法面でも、複数箇所をまとめて1フライトで記録することができます。ただし、近接する構造物や樹木がある場合は飛行制限の確認が必要です。現地の状況を事前にお知らせいただければ、対応可否と飛行方法についてご案内します。
- Q. 何年にもわたる長期モニタリングにも対応していますか?
- A. はい、初回撮影時のフライトプランを記録し、以降の撮影も同条件で実施することで、長期にわたる定期記録に対応しています。年1回・隔年など、管理計画に合わせた撮影頻度の設定が可能です。
東海エアサービスの実務での進め方
東海エアサービスでは、植生回復モニタリングの依頼を受けた際、まず現地確認または航空写真などの地図情報で法面・造成エリアの範囲と周辺環境を把握します。その後、初回撮影前に飛行ルートと高度を決定し、フライトプランとして記録に残します。
撮影にはDJI系ドローンを使用し、地上測量点(GCP)の設置が可能な場合は位置精度を高めたオルソ生成も対応しています。成果物はGeoTIFF形式のオルソモザイクと空撮写真セット、および時系列比較を含むPDF報告書として納品します。測量業 登録第(1)-37730号・全省庁統一資格を取得しており、官公庁や自治体の維持管理業務に対応した体制を整えています。名古屋を拠点に東海エリアを中心として対応しており、全国の現場についても内容に応じてご相談ください。
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