太陽光発電所の蓄電池システム・電力貯蔵設備の点検|ドローン赤外線

太陽光発電所に蓄電池やパワーコンディショナ(パワコン)などの電力貯蔵設備が併設される事例が増えるなかで、点検の手間や安全確保が課題になっています。目視だけでは確認しにくい設備外面の温度ムラや接続部の発熱傾向を、ドローン搭載の赤外線カメラで面的に把握する方法への問い合わせが現場から届くようになりました。本稿では、ドローン赤外線点検でできることと限界、保安上の注意点、そして東海エアサービスが実際に現場でどのように進めているかをまとめます。

ドローン赤外線でできること

ドローンに赤外線カメラを搭載して発電所上空を飛行させると、パネル面・集電箱・パワコン筐体・蓄電ユニット外面の温度分布を短時間で面的に記録できます。特定の部位が周囲と比べて高温になっている「温度ムラ」や「接続部の局所発熱傾向」は、通常の目視点検では気づきにくいものですが、赤外線画像では相対的な温度差として捉えやすくなります。

対象設備赤外線で把握できる傾向備考
太陽光パネルセル単位のホットスポット・ストリング間の温度差直達日射が必要。日射量が低いと温度差が出にくい
集電箱接続端子・ブレーカー周辺の発熱傾向筐体外面の温度のみ。内部は直接見えない
パワコン筐体放熱フィン・盤面の温度ムラ・接続部の局所高温傾向負荷状態・外気温で温度が変動する
蓄電ユニット外面筐体面の部位別温度差・充放電中の発熱傾向内部セル異常の確定診断には電気的試験が必要

飛行1回あたりの撮影エリアが広いため、地上からの接触点検と比べて短時間で現地スキャンを完了できる点が実務上の利点です。

赤外線点検の適用条件と限界

ドローン赤外線で取得できるのは設備外面の表面温度の傾向であり、内部の状態を直接診断するものではありません。以下の点を理解したうえで活用することが重要です。

  • 外面温度しか見えない:蓄電セルの内部劣化・電解液の異常・内部配線の損傷は、外面の温度差として現れないケースがある。セル単位の異常を確定させるには容量試験・インピーダンス測定などの電気的試験を別途実施する必要がある。
  • 撮影条件で結果が変わる:日射量・外気温・充放電の負荷状態によって設備表面の温度は変動する。適切な条件(十分な日射・定格に近い負荷状態)での撮影でなければ温度差が出にくく、傾向の把握精度が下がる。撮影時刻・気象条件の記録は報告書に含めることを推奨する。
  • 確定診断は電気試験と併用:赤外線で温度異常の傾向を把握したうえで、疑いのある箇所を優先的に電気的試験・専門業者による詳細点検に回す「絞り込みツール」として位置づけるのが現実的な使い方である。

保安・運用上の注意点

蓄電池・パワコン・電力貯蔵設備は充電部を持つ活線設備であり、飛行中および地上点検中の離隔距離・作業手順は事業者の保安規程および電気主任技術者の指示に従う必要があります。ドローン会社側でできるのは航空法に基づく飛行申請・安全確保であり、感電・火災リスクの管理は設備を所管する事業者側の責任と役割です。現地作業前に以下を確認することを推奨します。

  • 電気主任技術者との事前調整・立会い体制の確認
  • 蓄電設備の充放電スケジュールと撮影タイミングの調整
  • 飛行禁止エリア・高圧線・架空配線との離隔ルールの事前確認
  • 緊急停止手順・避難経路の現地確認

現場でよくある相談

  • 「パワコンの外面が熱い気がするが、どこまで調べられるか」:ドローン赤外線では筐体外面の温度分布を面的に記録し、他のパワコンや同一筐体内の部位と相対比較できます。ただし内部部品の異常断定には電気的試験が必要である旨をお伝えしています。
  • 「蓄電池ユニットが複数並んでいて、目視では全部見切れない」:ユニットが多数並ぶ場合こそ、ドローンによる面的な撮影が有効です。温度差が顕著なユニットを優先的に詳細点検対象として絞り込む用途で活用しています。
  • 「パネル点検と蓄電設備点検を同じ日にまとめたい」:同一フライトでパネルのホットスポット点検と蓄電・パワコン周辺の赤外線撮影を組み合わせることは可能です。撮影順序・飛行計画は現地レイアウト確認後に設計しています。

東海エアサービスの実務での進め方

  • 事前確認(現地情報の収集):発電所の設備レイアウト図・蓄電システムの仕様・電気主任技術者の連絡先・撮影希望日の日射・天候見込みを事前にヒアリングする。充放電スケジュールが固定されている場合はその時間帯に合わせて撮影計画を立てる。
  • 飛行・撮影:DJI系ドローンに赤外線カメラを搭載し、パネル面・集電箱・パワコン筐体・蓄電ユニット外面を体系的に撮影する。各フライトで撮影時刻・外気温・日射量を記録する。
  • 報告書の作成:成果物は赤外線画像・可視光画像・温度分布オルソ(必要に応じて)・PDF報告書。温度異常の傾向がある箇所は位置を特定して記載し、確定診断には電気的試験が必要である旨を明記する。
  • 見積時の確認項目:発電所の規模(パネル枚数・エリア面積)、蓄電ユニットの台数・配置、パワコン台数、飛行申請の要否(DID・管制圏等)、電気主任技術者の立会い有無、成果物の納品形式
  • 資格・体制:測量業 登録第(1)-37730号/全省庁統一資格取得済み。全国対応。

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