ドローン測量の現場安全管理は、データ品質と発注者への信頼を担保する土台です。飛行前の計画不足や点検漏れは、事故だけでなく測量やり直しにつながり、工程全体に波及します。航空法の枠組みを正しく理解し、飛行前・飛行中・飛行後の各フェーズで確認事項を体系的に実施することが、現場安全管理の基本です。
飛行前の確認
飛行計画の策定
測量エリアの地形・障害物・上空通過ルートを事前に確認し、フライトルートと撮影高度を設計します。隣接する道路・鉄道・学校・病院の位置を地図上で把握し、安全マージンを確保したルートを作成します。測量精度に必要なGCP(地上基準点)の配置計画もこの段階で確定させます。
機体・バッテリーの点検
飛行前点検はチェックリストに基づいて実施します。プロペラのひびや変形、モーター軸のがたつき、カメラレンズの汚れ、RTK/PPKアンテナの接続状態を目視と動作確認で検証します。バッテリーは残量・セル電圧・膨張の有無を確認し、規定電圧を下回るものは使用しません。
許可・承認の取得
航空法に基づき、飛行形態に応じた許可・承認を事前に取得します。第三者の立入管理が困難な環境や夜間・目視外・最大離陸重量25kg以上などの飛行は、国土交通省への申請が必要です。また、自治体条例や土地所有者への確認も並行して行います。
気象・風況の確認
当日の天候だけでなく、前日から当日朝にかけて複数の気象情報を照合します。地上風速・上空風速・雲底高度・降水確率のほか、現地特有の谷風・ビル風にも注意が必要です。風速の目安は機種ごとのスペックに従いますが、突風リスクがある場合は中止を判断します。
| 確認項目 | 確認内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 飛行ルート | 障害物・立入禁止区域・許可申請対象の有無 | 操縦者 |
| 機体点検 | プロペラ・モーター・カメラ・アンテナの外観と動作 | 操縦者 |
| バッテリー | 残量・セル電圧・膨張・本数確認 | 操縦者 |
| 許可・承認 | 書類の有効期限・飛行空域の一致確認 | 操縦者 |
| 気象 | 風速・降水確率・視程・雲底高度 | 操縦者 |
| 関係者連絡 | 発注者・土地所有者・近隣への飛行日時連絡 | 現場責任者 |
飛行中の管理
監視体制と補助者の配置
操縦者が機体と画面の両方を常時確認するため、補助者を配置します。補助者は機体の目視監視と周辺への注意喚起を担い、操縦者への声がけで安全な飛行を支援します。広大な現場や死角が多い地形では、補助者を複数名配置して対応します。
第三者の立入管理
飛行エリア周辺には立入禁止区画を設定し、カラーコーンやテープ・看板で明示します。一般通行人・作業員・車両が誤って進入しないよう、補助者が常に視野に収める体制を維持します。施工現場内での飛行では元請のゼネコンや安全担当者と事前に飛行計画を共有し、作業員への周知を依頼します。
通信とGNSS状況の監視
送信機と機体の通信強度、GNSSの衛星捕捉数とRTK測位の固定状態をフライト中に継続確認します。測位精度が落ちた場合は計測を一時中断し、原因を特定してから再開します。ノイズ源(高圧線・大型金属構造物)の近傍では通信品質が低下しやすいため、ルート設計時点で回避を計画します。
緊急時の手順
機体異常・通信途絶・不審者接近などの緊急事態に備え、フライト前に操縦者と補助者で対応手順を確認します。RTH(Return to Home)機能の設定高度は障害物を上回る高度に設定し、やむを得ず手動で回収する場合の待機場所も事前に決めておきます。
飛行後の確認
着陸後の機体点検
着陸後は即座に機体の外観を確認します。プロペラの欠け・変形、機体フレームの亀裂、熱を持ったモーターの異常がないか触診・目視で確認します。バッテリーの膨張や熱異常が認められた場合は現場で記録し、充電前に使用を停止します。
フライトログと測量データの記録
フライトログ(飛行時間・最大高度・飛行距離・エラーコード)は機体から取り出し、案件ごとに保管します。撮影データはその日のうちにバックアップし、GCP座標との整合確認を行います。RTK/PPKの測位記録もログとして保存し、後工程の点群処理品質の根拠資料とします。
ヒヤリハットの共有
当日の飛行で気になった事象(突風による機体の流れ・通信の一時途絶・第三者の急な接近など)はその場でメモし、社内の安全記録に残します。重大事故につながる前兆を蓄積・共有することで、次の現場の計画精度が上がります。
現場でよくある相談
- 「市街地の建設現場で飛ばしたいが、許可は何が必要か」という相談が多くあります。第三者上空飛行の該当有無・DID地区の区分・飛行高度・目視外の有無を整理してから申請要否を判断します。
- 「風が強くて途中で中止したが、取り直しのコストはどうなるか」という問い合わせも受けます。飛行計画の段階でリスケ条件を発注者と合意しておくことで、現場判断の根拠が明確になります。
- 「元請から安全書類の提出を求められたが、どのような内容を用意すればよいか」という質問があります。飛行許可証・保険証券・操縦者の資格・機体登録証明・安全管理計画書が主な提出セットになります。
東海エアサービスの実務での進め方
- 使用機体はDJI系RTK/PPK対応機。飛行前点検はチェックリストに基づき操縦者が実施し、補助者が二重確認します。
- 測量業登録 第(1)-37730号・全省庁統一資格を保有。官公庁・ゼネコン向けの安全書類一式を提出した実績があります。
- 飛行許可・承認の申請状況・エリアの規制区域確認・地権者交渉の要否は、見積確認時にあわせてヒアリングします。
- 現場ごとにフライトログ・測量記録・ヒヤリハット記録を保管し、品質保証の根拠として発注者に提示できる体制で運用しています。
- 見積確認の際にヒアリングする安全管理関連項目:飛行エリアの種別(DID/非DID/立入管理の可否)、飛行高度、近接障害物の有無、元請からの提出書類要件、スケジュール余裕(天候リスケの可能性)。全国対応。
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