土地の境界や筆界に関するトラブルは、相続・分筆・隣地との紛争など多岐にわたります。こうした場面で「ドローンで境界を調べてもらえますか」というご相談をいただくことがあります。ただし、筆界・境界に関わる調査と、ドローン測量による現況把握は、法的な位置づけが根本的に異なります。本稿では、それぞれの役割を整理し、土地家屋調査士や法務局との連携のなかで東海エアサービスが担える範囲をお伝えします。
用語の整理|筆界・所有権界・境界確定とは
「境界」という言葉は日常的に使われますが、法律・測量の実務では複数の概念が混在しています。まず用語を整理しておきます。
| 用語 | 内容 | 決定主体 |
|---|---|---|
| 筆界(ひっかい) | 地番と地番の間の公法上の境界。土地が登記された時点で定まり、当事者の合意で変更できない。 | 登記・法務局 |
| 所有権界 | 所有権が及ぶ範囲の境界。当事者間の契約・合意で定まる。筆界と一致しないケースも存在する。 | 当事者間の合意 |
| 境界確定 | 隣地所有者と立会い・確認書を交わすこと。法的効力をもつ境界確認書の作成には土地家屋調査士が関与する。 | 土地家屋調査士・当事者 |
| 筆界特定制度 | 筆界が不明な場合に法務局へ申請し、筆界特定登記官が判断する制度。 | 法務局(筆界特定登記官) |
筆界の確定・特定は、土地家屋調査士および法務局の専管事項です。ドローン測量によって法的な筆界を確定させることはできません。この点はご依頼前にご理解いただく必要があります。
ドローン測量でできる現況把握
一方で、境界・筆界の調査において現況の地形や工作物の状態を正確に記録することは、調査の前提となる重要な作業です。ドローン測量は以下の現況把握を担うことができます。
| 対象 | ドローン測量で把握できる内容 |
|---|---|
| 地形・地盤の状態 | 標高データ(DSM/DTM)による傾斜・高低差の記録 |
| 塀・フェンス・擁壁の位置 | オルソ画像および点群データによる工作物の位置の取得 |
| 越境が疑われる箇所 | 建物や工作物が隣地へはみ出している可能性のある箇所の俯瞰記録 |
| 広域の土地形状 | 広い土地の形状を短時間で面的に記録 |
| 経年変化の記録 | 複数時点の飛行データを比較し、工作物の位置変化を記録 |
RTK/PPK対応のDJI系ドローンを用い、地上型レーザースキャナとの組み合わせによって、工作物周辺の精細な点群データを取得することも可能です。成果物はオルソ画像・LAS/LAZファイル・DXF/DWG・PDFなど、土地家屋調査士の業務で利用しやすい形式に対応しています。
専門家との役割分担
筆界・境界に関わる業務は、それぞれの専門家が役割を分担します。東海エアサービスが担える範囲と、専門家が担う範囲を明確にしておきます。
| 業務内容 | 担当主体 |
|---|---|
| 筆界確定・境界確認書の作成 | 土地家屋調査士 |
| 筆界特定の申請・対応 | 土地家屋調査士・法務局 |
| 地積測量図・分筆登記の作成 | 土地家屋調査士 |
| 現況地形・工作物の位置取得と記録 | 東海エアサービス(測量業登録 第(1)-37730号) |
| オルソ画像・点群データの作成・提供 | 東海エアサービス |
| 点群処理・図面化(TREND-POINT/TREND-ONE) | 東海エアサービス |
法的な境界の確定や筆界特定は、東海エアサービスが単独で担う業務ではありません。現況の計測・記録を補助し、土地家屋調査士の業務を技術的に支援する立場です。
連携の進め方
土地家屋調査士からご依頼いただく場合、以下の流れで進めることが多くなっています。
まず、対象土地の概要・目的・必要な成果物の形式を打ち合わせます。測量の基準点や座標系(世界測地系・平面直角座標系)について事前に確認し、土地家屋調査士が利用する測量図との整合を取ります。飛行には必要に応じて航空法上の許可・承認を取得し、現況の地形・工作物を計測します。
計測後は点群データ(LAS/LAZ)・オルソ画像・図面(DXF/DWG)を作成して提供します。データは土地家屋調査士が境界確認の補助資料として利用します。当社は境界の法的判断には関与しません。基準点の選定や精度の要件は案件ごとに異なるため、事前の打ち合わせで確認することを推奨しています。全国対応が可能です(測量業登録 第(1)-37730号・全省庁統一資格)。
よくあるご質問
Q. ドローン測量の結果で境界を確定できますか?
A. いいえ。筆界・境界の確定は土地家屋調査士と当事者間の立会いにより行われるものであり、ドローン測量の計測データが法的な境界を確定するものではありません。当社の成果物は現況記録の補助資料としてご活用ください。
Q. 土地家屋調査士を介さずに依頼できますか?
A. 現況の地形記録や工作物の位置取得を目的とした測量については、土地所有者や建設・不動産事業者から直接ご依頼いただくことも可能です。ただし、境界確定が目的の場合は、並行して土地家屋調査士にご相談されることをお勧めします。
東海エアサービスの実務での進め方
東海エアサービスでは、境界・筆界調査の補助として現況計測をご依頼いただく場合、以下の点を現場確認の前に整理するようにしています。
まず、土地家屋調査士が必要とするデータ形式と座標系を確認します。DXF・DWGによる図面提出を求められるケースでは、TREND-ONEを用いて地形図・横断図を作成し、DWGで出力します。点群が必要な場合はTREND-POINTで処理し、LAS/LAZ形式で提供します。
越境が疑われる箇所については、地上型レーザースキャナとドローン計測を組み合わせ、工作物の詳細な位置を取得することがあります。特に塀や擁壁など高さのある構造物については、ドローン単体より地上スキャナのほうが精細なデータを取得しやすいケースもあるため、現地の状況に応じて計測手法を選定しています。
当社が担えるのは「現況を正確に記録すること」です。法的な判断・境界確定の手続きは土地家屋調査士・法務局にお任せし、計測データの提供を通じて調査の補助を務めます。
計測のご相談はお気軽に。関連記事はドローン測量の記事一覧に。
ドローン測量・計測のご相談
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