ドローン測量の夜間飛行・低照度条件への対応|赤外線・特殊センサーの活用

夜間や早朝・曇天など光量が限られる条件でのドローン運用は、昼間の通常飛行では得られない情報を引き出せる局面があります。太陽光の反射ノイズが少ない時間帯の赤外線点検、夜間操業中の設備を止めずに行う外壁調査、自然光に左右されない定量的な温度計測など、要件によっては「あえて夜間・低照度を選ぶ」ことが合理的な選択になります。一方で航空法上の制約・機体の安全要件・センサー特性の理解が不十分なまま実施すると法令違反や品質不良につながります。このページでは、夜間・低照度条件でのドローン活用について、用途・手続き・センサー選択・現場での注意点を整理します。

夜間・低照度が有利になる用途

赤外線(サーモグラフィ)を使う点検では、太陽光が建材に蓄熱・放熱するタイミングを狙うと熱的異常を検出しやすくなります。日没後の放射冷却期や早朝の温度差が安定している時間帯は、昼間の直射日光による誤判定を減らせるため、太陽放射の影響を避けたい調査では夜間・早朝フライトが選ばれることがあります。

用途夜間・低照度が有利な理由主なセンサー
外壁・屋根の熱漏れ調査日射の蓄熱が抜けた夜間は内外温度差が明確赤外線カメラ
太陽光パネル異常検出日中は表面温度が高く全体が熱くなるため差異が見えにくい。早朝・曇天が精度向上赤外線カメラ
工場・プラント設備の稼働時点検昼間停止できない設備を夜間操業中に外部から点検赤外線カメラ
橋梁・コンクリート構造物の剥離調査温度変化が大きい夜間前後で浮き・剥離箇所が熱的に現れやすい赤外線カメラ
野生動物・植生の調査夜行性動物の行動把握・植生の夜間温度分布赤外線カメラ・低照度可視光

夜間飛行の手続きと安全要件

航空法では、夜間(日没から日出までの時間帯)のドローン飛行は原則として国土交通大臣の承認が必要とされています。昼間飛行とは別に承認申請が求められ、飛行計画・機体・操縦者の要件をあわせて審査されます。現在はDIPS(ドローン情報基盤システム)を通じたオンライン申請が一般的ですが、飛行空域・目的・機体登録状況によって手続きの区分が異なるため、飛行計画の確定前に申請要件を確認することが重要です。

安全運用の面では、以下が主な要件・対策となります。

  • 灯火の装備:夜間飛行では機体に灯火を装備し、目視での位置確認ができる状態を維持する必要がある。機体前後・上下の識別が可能な色・明るさを確保する。
  • 補助者・監視体制:夜間は障害物の視認性が低下するため、飛行エリアの周囲監視や補助者の配置が現実的な安全策となる。単独飛行よりも複数人での実施が望ましい。
  • バッテリー管理の強化:低温環境ではバッテリーの電圧降下が早まる。夜間・早朝は外気温が低いことが多く、通常より余裕を持ったバッテリー交換計画が必要。
  • ロケハンと飛行ルート確認:昼間のロケハンで障害物・電線・照明設備の位置を記録しておき、夜間飛行時のルート設計に反映させる。

センサーの選択と特性

夜間・低照度条件では、センサーの種類によって取得できる情報が大きく異なります。

赤外線(サーモグラフィ)カメラは自然光に依存せず物体の表面温度を計測するため、夜間でも稼働します。温度分解能・空間分解能の仕様が成果物の品質を左右します。建物・設備点検では温度差の読み取りやすさが重要なので、センサーの仕様と目的の整合を事前に確認します。

低照度対応の可視光カメラは、夜間でも人工照明や月明かりがある環境で一定の画像取得ができますが、昼間の測量・写真測量のような高精度な位置情報の取得には向きません。夜間条件でRGB画像の写真測量を行う用途は限定的で、赤外線との組み合わせで補完する構成が多くなります。

なお、LiDARスキャナーは光の有無に関係なくレーザーパルスで距離を計測するため、夜間でも点群取得が可能という特性があります。ただし機体の安全飛行確保が前提となるため、夜間のLiDAR取得は承認・安全体制が整った現場に限定されます。

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現場でよくある相談

  • 「夜間に太陽光パネルを点検したい。どの時間帯が最適か」――パネル表面温度が外気温に近づく日没後や日出前が選ばれることが多いです。ただし気象条件(風・雲・気温)によって最適時間は変わるため、事前の環境確認が必要です。
  • 「工場の外壁を操業中に点検したい。昼間に作業員が立ち入れないエリアがある」――夜間承認取得のうえ、工場側の安全担当との飛行エリア調整・立入制限の設定を先行させます。工場構内は第三者上空飛行の制約も確認が必要です。
  • 「承認手続きにどれくらい時間がかかるか」――飛行空域・機体登録・操縦ライセンスの状況によって異なります。余裕を持ったスケジュールで進めることが前提で、計画確定後すぐに申請手続きを開始することを推奨しています。

東海エアサービスの実務での進め方

  • 飛行計画のヒアリング:夜間飛行の目的・対象設備・エリア・希望時期を初回ヒアリングで整理する。目的によっては昼間フライト(曇天・早朝)で代替できるケースもあるため、まず要件の整理から入る。
  • 承認申請の要否確認と代行:DIPS上の飛行承認申請を代行対応している。必要書類(飛行経路図・安全計画・機体登録情報など)の準備から提出まで対応するため、申請実績のない現場でも対応可能。測量業 登録第(1)-37730号、全省庁統一資格保有。
  • ロケハン(昼間)→夜間フライト→データ処理の3工程:昼間に障害物・照明位置・電線の確認を行い、夜間フライトのルートを確定する。フライト後は赤外線画像・オルソ画像・PDF報告書・点群(用途による)の形式で成果物を納品する。
  • 見積確認項目:対象面積・建物・設備の種類、希望の飛行時間帯、承認申請の有無、成果物の用途(スクリーニング目視確認か・定量温度計測か)、現地までのアクセス・立入条件を確認してから見積を提出する。全国対応。

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