ドローン測量を外注する際、打ち合わせの段階では「成果物のイメージ」「大まかな納期」「費用感」の三点に話が集中しがちです。しかし実際の現場では、天候による日程変更・データ形式の齟齬・追加測量の費用負担など、口頭では詰め切れない事項が業務開始後に浮上します。発注者として後から「聞いていた話と違う」とならないためにも、契約書の段階でチェックしておくべき項目を整理しておくことが重要です。
契約書で確認すべき項目
以下の項目を契約書または仕様書の段階で確認しておくことで、業務範囲の認識ずれを防ぎやすくなります。
| 項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 業務範囲 | 飛行エリアの境界・対象地物の範囲・地上基準点設置の有無が明記されているか |
| 成果物と形式 | 納品ファイルの種類(点群・オルソ・DSM・図面など)とフォーマット(LAS/LAZ/DXF/DWG/GeoTIFFなど)が指定されているか |
| 精度要件 | 水平・垂直精度の目標値と、確認方法(検証点での誤差確認など)が定義されているか |
| 納期・不可抗力 | 天候・電波障害・航空法上の飛行許可取得遅延など、受注者のコントロール外の事由による延期の扱いが記載されているか |
| 再委託 | 測量作業や点群処理の一部を外注する場合に発注者への事前通知・承認が必要かどうか |
| 知的財産・利用範囲 | 納品データの著作権帰属と、発注者が利用できる範囲(社内共有・第三者提供・公開など)が明示されているか |
| 秘密保持 | 現地情報・図面・取得データの取り扱いについて、受注者側の保管・廃棄ルールが規定されているか |
| 損害賠償・保険 | 飛行事故・第三者への損害が発生した場合の責任範囲と、受注者が加入する保険の内容 |
特に揉めやすい点
成果物のスコープ
「測量データを納品する」と口頭では合意していても、点群データなのか、断面図・土量計算書まで含むのか、認識が分かれるケースは少なくありません。納品物のリストを契約書または仕様書に箇条書きで記載し、ファイル形式・座標系・縮尺まで指定しておくと後からの食い違いを防げます。
天候延期の扱い
ドローン飛行は風速・降雨・視界などの気象条件に左右されます。延期が発生したときの連絡手順・再設定の上限回数・それに伴う費用変動の有無を事前に取り決めておくことが重要です。「天候不可抗力の場合は受注者の追加費用なしで再飛行する」なのか「一定回数を超えると別途費用が発生する」のか、契約書に明示しておくと双方の認識がそろいます。
データの利用権・著作権
点群データや正射投影画像には著作権が発生しうる場合があります。発注者が社内利用にとどまらず、官公庁への報告書添付・施主への提供・公共工事の成果品として提出する場合は、その用途について受注者の同意を得ているかを確認しておきましょう。契約書に「発注者は本件成果物を業務目的の範囲で使用できる」などの文言が入っているかが確認ポイントです。
追加費用が発生する条件
当初の測量範囲を超えた追加飛行・地上基準点の大幅増設・仕様変更による再処理など、追加費用が発生しうる条件とその算定方法を事前に合意しておくことが望ましいです。「変更は都度協議」とだけ書かれている場合は、協議の手順(書面による承認など)もあわせて確認しておきましょう。
発注前に整理しておくこと
契約書のチェックに先立ち、発注者側で以下の三点を自社内で整理しておくと、仕様書の作成や受注者との打ち合わせがスムーズになります。
- 用途の明確化:土量計算なのか、完成検査向けなのか、BIM/CIMへの活用なのか。用途によって必要な精度・形式・座標系が変わります。
- 精度の目標値:発注者側で利用する設計ソフト・施工管理システムが要求する精度水準を把握しておくと、受注者への精度要件の指定が具体化できます。
- 成果物の形式:社内で使用するCADソフト・点群処理ソフトが対応しているフォーマットを確認しておきましょう。LAS・LAZ・DXF・DWGなど、受け取り側の環境に合わせた形式で納品してもらえるかを事前に確認します。
これらを整理しないまま発注すると、契約書の精度要件欄が「高精度」といった曖昧な表記になりやすく、後から具体的な解釈が食い違う原因になります。
よくあるご質問
- 測量業登録のある業者かどうかは、どこで確認できますか?
- 国土地理院の登録測量業者の検索で登録番号を確認できます。測量法上、業として測量を請け負う場合は測量業登録が必要とされています。契約前に登録番号の提示を求め、検索で確認しておくと安心です。なお、個別の法的判断については専門家にご確認ください。
- 秘密保持契約(NDA)は測量の発注でも結んでもらえますか?
- 現地の情報・図面・取得データが社外秘となる案件では、測量業者にNDAの締結を求めることは一般的に行われています。業者側の対応可否は会社によって異なりますが、事前に相談・確認することが重要です。
東海エアサービスの実務での進め方
東海エアサービスでは、測量業 登録第(1)-37730号・全省庁統一資格のもと、全国でドローン測量・3D計測を請け負っています。
業務開始前に業務範囲・成果物のファイル形式・精度目標・納品スケジュールを仕様書として発注者と共有し、双方が確認したうえで契約を締結する進め方を基本としています。成果物はLAS・LAZ(点群)・DXF・DWG(CAD)・PDF(報告書)など、発注者の利用環境にあわせた形式での納品に対応しています。
飛行にはDJI系のRTK/PPK対応機を使用しており、測位精度の根拠となる観測記録を残した状態で納品します。万一の天候延期が想定される現場では、飛行可能日の見込みと代替日程を事前に案内するフローを取っています。
秘密保持契約(NDA)への対応も承っており、現地情報・図面・取得データの取り扱いルールについて発注者と事前に合意したうえで業務を進めます。契約内容の個別判断については法的な専門家のご確認を推奨しますが、一般的な確認項目や仕様書の整理については、お打ち合わせの段階からご相談いただけます。
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