建設業のカーボンニュートラルへの対応が課題とされるなか、ドローン測量への問い合わせのなかでも「環境負荷の低減に役立てられるか」というご質問をいただくことが増えています。ドローン測量が環境対応に寄与できる側面は確かにあります。ただし、定量的な削減効果は現場条件によって大きく異なるため、過大な期待を持つことなく実態に即した整理をしておくことが、建設・測量計画の判断を誤らないために重要です。
環境負荷の低減につながりうる側面
ドローン測量が現場の効率化を通じて環境負荷を下げられる可能性がある領域を、以下に整理します。いずれも「削減が期待できる条件がある」という表現にとどめており、特定の削減率を保証するものではありません。
| 項目 | 従来手法と比べたときの変化 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現地往復の回数削減 | 広域を短時間で撮影できるため、複数日にわたる現地踏査が集約できるケースがある | 地形・飛行規制・天候により追加飛行が必要になることもある |
| 重機の稼働最適化 | 出来形データを早期取得し、掘削・盛土の計画精度が上がることで重機の空運転・無駄往復が減る可能性がある | 現場の施工管理体制によって効果に差が出る |
| 作業人員の移動削減 | 従来は複数名で数日かけていた地上測量が、少人数・短期間に集約される場合がある | 前後処理・点群解析の工程は別途必要 |
| 手戻り・再測の削減 | 高密度の点群データで計測漏れが生じにくく、再計測のための現地移動が減る | 飛行計画が不適切な場合は再測が発生する |
| 土量精度の向上による過不足土削減 | 切土・盛土の数量を高精度で算出することで、余剰運搬・廃土処分の無駄が減る可能性がある | 設計段階で活用しなければ効果は限定的 |
データ活用による間接的な効果
ドローン測量で取得した点群データ(LAS・LAZ形式)やDXF・DWG形式の成果物は、設計・施工・維持管理の各段階で活用できます。
設計段階では、正確な地形モデルをもとにした土積図・縦断計画の最適化が可能になります。これにより設計変更の頻度を抑え、材料の手配ミスや余剰発注を減らすことが期待できます。
維持管理段階では、構造物の3Dデータを継続的に比較することで変状の早期発見につながります。早期対処によって部分的な補修で済み、全面更新を遅らせることができる場合があります。インフラの更新を先送りできれば、新材料の製造・運搬にともなうエネルギー消費を中長期的に抑制する間接的な効果につながります。これらはあくまで副次的な効果であり、環境対応の主目的として位置づけることは適切ではありませんが、データ活用を進めることで付随的に得られる利点として認識しておくことには意味があります。
過大評価を避けるために
ドローン測量の導入が「カーボンニュートラルへの直接的な貢献策」として語られることがありますが、定量的なGHG削減量を事前に示すことは現実的ではありません。削減効果の大きさは、現場規模・アクセス条件・既存の施工管理体制・取得データの活用方法など、複数の条件に依存します。
また、ドローン本体の充電・バッテリー製造・移動手段にともなうエネルギー消費もゼロではありません。環境効果はあくまで「効率化の副産物」として捉えるのが誠実な整理です。「ドローン測量を使えば環境対応が完結する」という理解は正確ではなく、施工全体の改善策の一部として位置づけることが現場に即した考え方です。
よくあるご質問
Q. ドローン測量の導入でCO2削減量を数値として報告できますか?
A. 現状では、ドローン測量単体の導入によるGHG削減量を標準的な算出方法で定量化することは難しい状況です。削減に寄与する要素(移動回数・重機稼働時間・材料ロス等)を個別に把握し、施工全体のデータと組み合わせて評価する必要があります。当社の成果物(点群データ・土量計算書)を活用して設計・施工管理チームが試算する形での連携は可能です。
Q. 環境配慮を重視する発注者へのアピールに使えますか?
A. 測量工程の効率化・再測削減・土量精度向上といった定性的な説明資料として活用いただくことは可能です。ただし、特定の削減率や認証取得につながるような表現でのご使用はお控えいただくことをお勧めします。計測根拠と成果物の精度を示すことで、データに基づく施工管理の実績として訴求する方が、発注者の信頼を得やすいと考えています。
東海エアサービスの実務での進め方
東海エアサービスでは、測量業 登録第(1)-37730号および全省庁統一資格を取得し、全国の建設現場・インフラ点検案件に対応しています。飛行にはDJI系RTK・PPK対応機を使用し、取得した点群データはTREND-POINT・TREND-ONEで処理します。成果物はLAS・LAZ・DXF・DWG・PDF形式で納品し、設計ソフトや施工管理システムとの連携を前提とした形式に対応しています。
環境対応を念頭に置いた計測計画のご相談では、「どの工程で何を削減したいか」を具体的に確認したうえで、測量の実施範囲・飛行頻度・成果物の活用方法を設計します。現地ロケハンから計測・点群処理・QC・納品まで一貫して対応しており、現場条件に応じた現実的な計画をご提案します。建設DXの文脈でドローン測量の位置づけを検討されている際は、まず計測の目的と活用方法を整理することから始めることをお勧めしています。
計測のご相談はお気軽に。関連記事はドローン測量の記事一覧に。