雨天・強風でドローン測量が中止になった時の対処法

ドローン測量の現場において、天候による中止・延期は珍しいことではありません。むしろ、年間を通じて一定の頻度で発生するリスクとして、最初から工程に織り込んでおくことが重要です。発注者側が「天候次第で変わる可能性がある」という前提を持っていると、いざ中止になった際の混乱を最小限に抑えられます。本記事では、なぜ悪天候で飛べないのかという背景から、中止時の段取り直し、発注者が事前に備えるべきポイントまでを実務の観点から整理します。

なぜ雨天・強風でドローンは飛べないのか

ドローン測量が天候に左右される理由は、機体の安全性・取得データの品質・安全管理規程の三層に分かれます。いずれか一つでも条件を満たさない場合、飛行は見送りとなります。

区分具体的な影響
機体の安全性強風下では機体姿勢の制御が不安定になり、墜落・逸走リスクが高まる。機体メーカーが定める運用限界風速があるほか、現場の地形・障害物によって許容できる風速はさらに下がることがある
点群・写真データの品質降雨時はカメラレンズへの水滴付着・霧による視界不良でオーバーラップが安定しない。強風による機体ブレは測位精度の低下とも重なり、点群の精度が要求仕様を下回る原因となる
安全管理規程・法令飛行許可の条件や、施工現場の安全衛生規程に気象条件の要件が含まれる場合がある。条件外での飛行は許可条件違反となる可能性がある

なお「風速が一定値以上は一律中止」という固定基準が決まっているわけではありません。使用機体・ペイロード・現場環境・作業高度によって判断基準が変わるため、最終判断は当日の現地確認と操縦士の総合的な評価によって行います。

中止・延期になったときの段取り直し

予備日の設定と順延ルール

計画段階から「第1候補日・第2候補日(予備日)」を設定しておくのが基本です。予備日は第1候補日から3〜5営業日程度の幅を持たせておくと、天候の周期的な変化に対応しやすくなります。梅雨期・台風シーズンは予備日を多めに確保することを推奨しています。順延の連絡タイミングは「前日の午後〜当日早朝」になることが多く、発注者・元請・現場監督との連絡ルートを事前に整理しておくことが重要になります。

他工程との調整

測量延期は後続工程(設計・施工・検査)に波及します。延期が決まった時点で、関係者全員へ共有し、全体工程表を更新する必要があります。とくに官公庁案件では納期変更に関する書類手続きが伴う場合があるため、発注者側の事務フローも含めて早めに確認しておきたいところです。

発注者が事前に備えるべきポイント

  • スケジュールに予備日を含めて確保する:「測量→翌週納品」という直線的な計画は天候リスクに弱い。測量完了予定から納品までに余裕を持たせると安全性が増す。
  • 連絡フローと判断権者を事前に決める:中止・順延の連絡を受けた際、誰が判断して誰に伝えるかを契約前に取り決めておく。早朝に連絡が来るケースが多いため、担当者と連絡先を明確にしておく。
  • 追加費用の取り決め:予備日出動に伴う交通費・宿泊費・機材移動費が発生する場合がある。これらを見積もり条件に盛り込んでおくと、後から双方が困らない。

現場でよくある相談

  • 「当日朝に中止と言われてもどう動けばよいかわからない」:あらかじめ「中止連絡→発注者確認→関係者一斉通知→予備日確定」という連絡フローを共有しておくと混乱が減ります。当社では受注時に連絡フローのひな型を提供しています。
  • 「途中で風が強くなって引き返してきた。データは使えるか」:部分的に取得したデータの品質は撮影状況によって異なります。区域の何割をカバーできたかを確認し、再飛行の範囲を最小化できるかを検討します。部分再撮影で対応できるケースもあります。
  • 「梅雨時期に測量を依頼したいが、どのくらい余裕を見ればよいか」:梅雨期は連続した曇雨天が続く場合があります。飛行可能日数が通常月より少なくなることを想定し、スケジュールを組む時点で余裕を設けることが多いです。

東海エアサービスの実務での進め方

当社では以下の手順で天候リスクを工程に組み込んでいます。

  • 受注確定後、第1候補日と予備日を同時に設定し、発注者・現場担当者双方に書面で共有する。
  • 飛行前日の午後に気象情報と現場周辺の風況データを確認し、判断結果を当日早朝に連絡する。
  • 当日に部分中止(午前OK・午後NG等)となった場合も、取得済みデータの品質チェックをその場で行い、再撮影必要範囲を最小化する。
  • 使用機体はDJI系のRTK/PPK対応機。成果物はLAS・LAZ・DWG・DXF・PDFなど発注仕様に応じたフォーマットで納品する。測量業登録 第(1)-37730号・全省庁統一資格を保有しており、官公庁案件の書類手続きにも対応可能。
  • 見積段階で確認している主な項目:測量エリアの所在地と時期(梅雨・台風シーズンか)/要求精度と成果物フォーマット/最終納品期限と予備日の確保可能日数/現場アクセスの制約/中止・順延時の連絡先と判断権者。

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