ドローン測量の事故・賠償責任と保険|業者選びで確認すべき補償内容

ドローンを使った測量・3D計測は高所・屋外・機体の複合リスクを伴う業務です。墜落や飛行物体との接触、第三者への物損・人身事故が発生した場合、発注者・受注者のどちらが責任を負うかが曖昧なまま現場に入るケースが少なくありません。業者選定の段階で保険の種類・補償範囲・上限額を確認しておくことが、トラブル発生時の損害を最小化するための実務上の前提となります。

想定されるリスクと法的責任

ドローン測量では、飛行中の機体に起因する事故だけでなく、データ取り扱いや施設立ち入りに伴うリスクも存在します。どのリスクが誰の責任範囲に当たるかを整理しておくことが重要です。

リスク分類具体的な発生シナリオ主な責任の帰属
対人事故飛行中の機体落下による作業員・第三者への人身被害原則として操縦者・受注業者
対物損害機体接触による建物・車両・インフラ設備の損傷原則として受注業者(過失の程度による)
施設・地上設備の破損送電線・通信アンテナ・工場設備への接触・巻き込み受注業者(立ち入り許可条件によっては発注者との連帯も)
情報漏えい・肖像権空撮データへの個人・施設の写り込み、データの外部流出データ管理責任は受注業者・利用責任は発注者も問われる場合あり
飛行許可エリア逸脱DID地区や空域制限内への無許可進入操縦者・受注業者(発注者が条件を誤って提供した場合は共同責任の議論も)

航空法上、ドローンの操縦者には安全飛行義務が課されます。事故が発生した場合、損害賠償請求に発展するリスクがある点を業者・発注者の双方が認識しておく必要があります。

備えるべき保険の種類と補償の考え方

ドローン関連業務で一般的に利用される保険は大きく次の区分に整理できます。業者が「保険に加入している」と説明する場合でも、補償対象・補償上限・除外事項の内容は保険種別によって大きく異なります。

賠償責任保険(第三者賠償)

飛行中の機体が第三者の身体・財物に損害を与えた場合の賠償金・法律費用を補償するものです。対人・対物ともに補償対象となる設計が多いですが、補償の上限額や免責事項(故意・重過失・特定エリア等)は商品によって異なります。現場が公道や民有地の上空を含む場合、その飛行が補償対象に含まれているかを証券で確認することが重要です。

機体保険(機材損害)

墜落・衝突・天候不良等によるドローン本体の損傷・全損を補償するものです。業者が自社機材を保護するための保険であり、発注者側の損害を直接カバーするものではありません。ただし機材が破損した場合に業者が速やかに代替機を手配できるかどうかに関係するため、工期リスクの観点で間接的に発注者にも影響します。

業務賠償・成果物に関する補償

測量データ・点群データ・報告書の誤りが原因で発注者に損害が生じた場合を対象とした補償です。設計判断・施工判断への影響など、成果物の品質に起因するリスクをカバーする観点から確認しておく意義があります。

発注者が確認すべきこと

業者から「保険加入済み」という回答を得るだけでは不十分です。以下の観点で内容を具体的に確認することを推奨します。

  • 保険の種類と適用範囲:賠償責任保険・機体保険・業務賠償のどれに加入しているか。飛行エリア(屋外・屋内・DID内・施設内)が補償対象に含まれるか
  • 補償上限額:対人・対物それぞれの1事故あたりの上限額。特に大規模施設や公道上空を飛行する現場では上限が十分かを確認する
  • 証券または加入証明の提出:口頭確認だけでなく、保険証券のコピーまたは加入証明書の提出を依頼することが望ましい。業者が拒否する場合はリスク管理の観点から再考を要する
  • 現場が補償対象外にならないか:特定の空域・高度・夜間飛行等が免責となる場合がある。現場条件と照合することが必要
  • 事故発生時の対応手順:事故が発生した場合に業者がどのような報告・対応フローを持っているか。航空法上の事故報告義務(国土交通省への報告)への対応も含めて確認する

現場でよくある相談

  • 「工場内での飛行は補償対象になるか」という相談が多くあります。屋内・施設内飛行は屋外飛行と別区分の保険が必要な場合があり、加入済みの保険が適用されないケースがあります。事前に業者へ現場条件を詳細に伝え、補償対象になることを書面で確認することを勧めています。
  • 「発注者側で別途保険を掛けるべきか」という問い合わせも入ります。受注業者の保険が第三者賠償に限定されている場合、発注者側の財物損害(測量対象物の損壊等)は業者保険でカバーされない場合があります。発注者が施設・インフラを保有する場合は、施設賠償保険や工事保険の適用範囲を確認することが有効です。
  • 「保険の確認を業者に依頼したら嫌がられた」という声もあります。正当なリスク管理上の確認であり、証券の提示を依頼することは発注者の権利の範囲内です。対応を渋る業者については、安全管理体制全体の信頼性を慎重に評価することを勧めています。

東海エアサービスの実務での進め方

東海エアサービス(測量業登録 第(1)-37730号・全省庁統一資格)では、飛行前の安全管理と保険確認を受注プロセスの一部として体系化しています。

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  • 見積・契約段階で現場条件(飛行エリア・地上高・周辺施設・公道の有無)を発注者と共有し、保険の適用範囲と現場の適合性を事前に確認している
  • DJI系RTK/PPK対応機を使用し、RTKによるリアルタイム精度管理を行うことで飛行精度の逸脱リスクを低減する体制で運用している
  • 工場敷地・インフラ施設・立ち入り制限区域での作業を受注する際は、現場管理者との飛行ルート・緊急対応手順の事前確認を実施している
  • 見積確認時に発注者から確認を求められる項目として、保険種別・補償上限・証明書提出の可否を標準の回答セットとして準備している
  • 全国対応のため、現場エリア固有の飛行制限(航空法・地方自治体条例・施設規定)を事前調査し、補償範囲との整合を確認してから現地入りする手順を取っている

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