建設現場では、高所作業足場の上部・法面(のり面)・深い掘削部・重機が輻輳する区画など、人が目視確認しにくいエリアが必ず存在します。こうした場所の危険源をどう把握し、日々の安全管理に反映するかは、現場所長や安全担当者にとって継続的な課題です。ドローンによる空撮は、これらの「見えにくい場所」を俯瞰映像・静止画として記録し、安全パトロールやKY(危険予知)活動の補助資料として活用できる手段のひとつです。
ドローンで対応できる安全確認の種類
ドローンは機体が小型なため、仮設足場の上部・傾斜の急な法面・深さのある掘削面など、人が近づきにくいエリアでも映像・静止画を取得できます。取得した画像は記録として残るため、日別・週別の変化を比較することも可能です。以下に代表的な活用場面を整理します。
| 確認対象エリア | ドローンで把握できる情報 | 活用場面 |
|---|---|---|
| 高所・仮設足場上部 | 手すり欠損・資材散乱・養生状態 | 安全パトロール補助・日次記録 |
| 法面・切土面 | 崩れ・亀裂・排水状況 | 降雨後の変状確認・週次比較 |
| 重機輻輳区画 | 重機・作業員の位置関係・動線交差 | KY活動・朝礼資料 |
| 立入禁止区域周辺 | バリケード設置状況・侵入リスク箇所 | 管理者確認・是正指示 |
| 現場全体 | 仮設通路・資材置き場・整理整頓状況 | 発注者・元請の定期確認記録 |
空撮画像・動画はそのまま保存・共有できるため、現場に不在の発注者担当者や安全管理者への報告資料としても利用できます。
安全パトロール・KY活動への組み込み方
従来の安全パトロールは、担当者が現地を歩き回りながら目視確認する方法が中心です。この方法では、足場上部や法面奥部など物理的にアクセスしにくい場所の確認が省略されやすいという問題があります。
ドローン空撮を補助的に組み込むことで、次のような運用が考えられます。
- 朝礼・KY活動前の俯瞰画像共有:前日または当日早朝に飛行し、現場全体の俯瞰画像を印刷またはタブレット表示。作業員全員で危険源を確認する際の「共通の絵」として使う。
- 第三者視点での状況把握:地上では把握しにくい重機と作業員の位置関係・動線交差を、俯瞰映像から確認する。管理者が「気づかなかった配置リスク」を発見するきっかけになることがある。
- 定期記録と変化の比較:同一ルート・同一高度で定期的に撮影することで、法面の変状・資材状況・安全設備の変化を日別・週別で比較できる記録を蓄積する。
ドローンの空撮は安全を保証するものではなく、あくまで確認・記録を補助する手段です。パトロール担当者による地上確認と組み合わせることが前提になります。
運用上の留意点
建設現場の上空でドローンを飛行させる際には、通常の航空法・地方条例・国交省への飛行申請ルールが適用されます。「現場内だから自由に飛ばせる」という誤解が現場で生まれることがありますが、高さ150m以上・DID地区・人口集中地区などの条件は現場内でも適用されます。
- 飛行申請・許可取得:飛行エリアの条件に応じて国土交通省への事前申請が必要。工期・飛行日程に合わせて余裕をもって準備する。
- 現場作業との安全両立:飛行中は落下・墜落リスクの管理が必要。作業員の頭上飛行は原則避け、飛行エリアと作業エリアを調整する段取りが求められる。
- 映像・画像のプライバシー管理:隣接建物・道路・近隣住民が映り込む場合は、利用目的・保管方法を明確にしておく。発注者・元請の社内ルールに沿った取り扱いが必要。
現場でよくある相談
- 「定例パトロールに組み込みたいが、1回の飛行でどのくらいのエリアを撮れるか」という問い合わせが多くあります。現場面積・障害物の有無・飛行経路の複雑さによって変わるため、現地確認または図面確認を先に行います。
- 「法面の変状を週次で記録したい。どのくらいの頻度・画角で撮れば比較できるか」という相談を受けることがあります。比較目的の場合は撮影条件(高度・カメラ角度・撮影ルート)を固定することが重要で、初回に飛行ルートを設定して以降は同条件で繰り返す運用が適しています。
- 「発注者への安全報告書に空撮画像を使いたいが、どのような形式で納品されるか」という確認が入ります。当社では空撮静止画(JPEG)・動画(MP4)・必要に応じてオルソ画像・PDFレポートの形式で成果物を提供しています。
東海エアサービスの実務での進め方
当社が安全管理目的の空撮に対応する場合、以下の流れで進めます。測量業 登録第(1)-37730号・全省庁統一資格を保有しており、官民問わず対応しています。全国対応可能です。
- 事前確認:現場の位置・面積・飛行申請の要否・工程上の飛行可能日を確認する。図面または地図上の座標があれば申請準備をスムーズに進められる。
- 飛行機材:DJI系RTK/PPK対応機を使用。安全確認・記録目的の場合は測量精度よりも画角・飛行安定性を優先した機材を選定する。
- 成果物:空撮静止画・動画を基本とし、必要に応じてオルソ画像・点群・PDFレポートにまとめることも可能。
- 見積時の確認項目:現場の所在地と面積/飛行希望日と工程上の制約/成果物の形式と利用目的/現場内の飛行制限・障害物の有無/飛行申請の要否(既取得の有無)。
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