「自分たちでもドローン測量、やれますか?」
建設会社や測量会社から、この質問をよく受けるようになりました。測量用ドローンが手の届く価格帯になり、機体登録制度や操縦者技能証明制度が整ったことで「資格を取って自社導入」という道筋も見えやすくなりました。聞いてくる担当者の顔つきは真剣で、「外注コストを内製化でカットしたい」「自社に技術を持ちたい」という意図がにじんでいます。ごもっともな動機だと思います。だから正直に話すことにしています。
「飛ばす」と「測量成果にする」は別の話
機体を飛ばして写真や点群データを取得するハードルは、確かに下がりました。これは事実です。しかし「測量成果として通す精度を出す」「その精度を管理しながら再現性よく回す」となると、話は変わってきます。
写真測量の場合、地上基準点(GCP)の配置と計測精度がそのまま成果物の精度に直結します。RTK機材を使えばGCPを減らせますが、電波環境・衛星捕捉数・基地局との距離など現場ごとに条件が変わります。飛行後の点群処理では、ノイズ除去・フィルタリング・地形分類・座標系変換の各工程で判断が求められます。「ソフトが自動でやってくれる」部分はありますが、成果物の品質を最終的に目で判断するのは人間です。その判断基準を身につけるには、それなりの処理経験が要ります。
公共測量の成果として納品するなら、測量業の登録(当社は第(1)-37730号)も必要になります。登録要件を満たすには技術者の資格・常勤性など複数の条件があります。民間案件であっても、発注者から精度証明を求められるケースは増えています。
内製化に本当に必要なもの
整理すると、内製化には以下がセットで要ります。
- RTK/PPK対応の測量用機体(機体・バッテリー・予備機の維持費含む)
- 点群処理ソフトの導入と習熟(Metashape、Pix4Dmapper、TREND-POINTなど)
- 無人航空機操縦者技能証明と、飛行申請・空域確認の運用フロー
- 公共成果が必要な場合は測量業登録
- GCP計測用のGNSS機器またはネットワーク型RTKの契約
- 成果物フォーマットへの対応(LAS/LAZ/DWG/DXF/PDF など発注者指定形式)
機材だけ買えばすぐ動けるわけではなく、ソフトの習熟・申請フロー整備・品質管理基準の策定がそろって初めて「業務として回る」状態になります。立ち上げ期間は相応にみておいた方が現実的だと伝えるようにしています。
見落とされがちな稼働率と継続コスト
内製化の話で見落とされがちなのが稼働率と人依存のリスクです。
測量用ドローンの機材費・ソフトライセンス・保険・資格更新は、案件数にかかわらず発生する固定費です。月に数件しか飛行案件がなければ、外注単価と比べたときにコストが逆転することがあります。自社で本当に割が合うのは、一定以上の案件頻度がある場合に限られます。
もう一つは人依存のリスクです。担当者が異動・退職すると、機材はあっても技術が途絶えます。ソフトのバージョンアップへの追従、新しい測量基準への対応も、継続的に担当できる人間がいなければ形骸化します。「一人に集中している技術」は組織として脆いものです。
部分委託という現実的な選択肢
「全部内製」か「全部外注」かの二択ではない選び方もあります。
たとえば、飛行・データ取得は自社で行い、点群処理と成果物作成だけ外注する形。自社に操縦者がいて飛行は問題ないが処理ソフトの習熟が追いついていない、というケースではこの分担が機能しやすくなります。逆に、処理は内製できるが繁忙期だけ飛行体制が足りないという場合は、飛行部分だけ補完委託するやり方もあります。
当社では、処理のみの受け入れにも、飛行込みの全工程対応にも、両方対応しています。「この工程だけ頼みたい」という相談でも話を聞いています。
東海エアサービスの実務での進め方
内製化を検討している会社から相談を受けたとき、すぐに「外注したほうがいい」とも「内製化しましょう」とも言いません。まず案件見込み、担当できる人員、対象となる成果物の種類と精度要件を確認します。その上で、固定費と変動費のバランスを一緒に整理します。
当社の実務体制としては、DJI系RTK/PPK機対応の飛行から、TREND-POINT・TREND-ONEを使った点群処理、LAS・LAZ・DWG・DXF・PDFでの成果物納品まで一貫して対応できます。全省庁統一資格も保有しており、官公庁案件への対応実績もあります。全国対応しているため、遠方の現場でも飛行を担うことができます。
「自分たちでもやれますか?」という問いに対する私の答えは、「やれる場合もある。ただし、何が必要かを先に確認しましょう」です。内製化が合理的な体制なら応援しますし、部分委託や全面外注が現実的ならその受け皿にもなれます。どちらにしても、案件が動いた後に「想定外だった」という話になるのが一番もったいないと思っています。
ご相談・見積はお気軽に。関連記事はドローン測量の記事一覧に。
ドローン測量・計測のご相談
- ドローン測量・3D計測・点群処理を一貫対応(測量業登録 第(1)-37730号・全国対応)
- お問い合わせ / TEL: 050-7117-7141(平日9:00–18:00)