農地の圃場整備における測量課題
圃場整備・農地転用・農業土木工事では、正確な地形測量が工事の成否を左右します。しかし従来のTS測量(トータルステーション)には以下の課題がありました。
- 広大な農地の複数ポイント計測に時間がかかる(1日で数ヘクタール限定)
- 水田・軟弱地盤での測量スタッフの安全リスク
- 計測ポイント間の詳細地形情報が不足
- 工事後の竣工測量との比較が煩雑
- 排水計画・不陸(ふりく)補正の設計精度が低い
これらを一気に解決するのがドローン測量です。
ドローン測量 vs 従来TS測量
| 評価項目 | ドローン測量 | TS測量 |
| 計測速度 | 1日で20~50ha可能 | 1日で2~5ha |
| 精度 | ±3cm(水平)/ ±5cm(垂直) | ±5cm(水平)/ ±10cm(垂直) |
| データ密度 | 1㎡あたり数千点 | 数十~数百ポイント |
| 安全性 | 地上安全(オペレータのみ出動) | 軟弱地盤での転倒・落水リスク |
| 不陸(ふりく)詳細度 | 高(全面の微細地形を捕捉) | 低(ポイント間を補間) |
| コスト | 15万円~ | 20万円~(同規模の場合) |
ドローン測量の農地活用シーン5選
1. 圃場整備工事の設計測量
農地区画整理・石畳・水路新設の前提となる地形測量。3Dモデルで整地量を正確に計算し、工事予定価格の信頼性が向上します。
2. 農地転用の前提調査
農地を宅地・商業地に転用する際の地形・勾配・標高測量。正確な等高線図で造成工事の計画が立てやすくなります。
3. 排水計画・かんがい設計
水田の排水効率を高めるため、細密な等高線図(コンター図)を作成。水の流れを予測し、排水路・明渠(めいきょ)のルート設計に活用。
4. 工事前後の竣工検査
整地工事の前後で同じ測量点でドローン計測を実施。造成高さ・不陸が仕様通りか、数値で検証。紛争回避。
5. 農業用施設(溜池・堤防)の定期監視
農業用溜池・堤防の年1回定期スキャンで、堆砂量・浸食部分・劣化箇所を可視化。保全管理の根拠データ化。
ドローン測量の測定プロセス
ステップ1:事前準備・GCPの設置
農地の四隅・中央に地上制御点(GCP)を設置し、RTK基地局のセットアップ(所要時間:30分)。
ステップ2:ドローン自動飛行
DJI M300 RTKで自動飛行プログラムに従い、農地全面を高度100~120mから撮影(圃場規模による、通常30~60分)。
ステップ3:データ処理・3DモデルDEM生成
取得した画像をMetashapeで処理し、3Dモデル&点群を生成。DEM(Digital Elevation Model)から等高線図・面積・造成量を自動計算。
ステップ4:成果物納品
平面図・等高線図(コンター)・3Dモデルビューアー・造成量算出表・定規図をCADまたはPDF形式で納品。
圃場規模別の費用・納期
| 圃場規模 | 所要時間 | 費用(税別) | 納期 |
| 小規模(1~5ha) | 1日 | 15万円~ | 3営業日 |
| 中規模(5~20ha) | 1~2日 | 25万円~ | 5営業日 |
| 大規模(20ha以上) | 2~3日 | 要見積り | 7営業日 |
導入事例
愛知県豊田市の圃場整備組合:「従来は2週間かかった30haの測量を3日で完了。造成工事の請負金額算出の根拠が明確化した」
三重県津市の農業法人:「排水効率のボトルネック(標高較差)を点群で特定。水路改修で単収が15%向上」
よくある質問
Q. 圃場にまだ作物が植わっていても計測できますか?
A. 可能ですが、作物の茎葉が地面の起伏を隠すため、精度が低下します。可能なら植え付け前の冬季・春先の計測をお勧めします。
Q. 点群データは何に使えますか?
A. CAD・GIS(QGIS等)での地形解析、造成工事設計、排水計画の精密化、将来の規模拡大時の基準データとして活用できます。
Q. 複数年の計測データで変化を見ることはできますか?
A. はい。年1回の定期計測を続けることで、堆砂・浸食・不陸化の進行を定量的に監視できます。農業用溜池・圃場の長期管理に有効です。