ドローンや建設現場のデジタル化が進む中、3DレーザースキャンやLiDARという言葉を耳にする機会が増えました。写真から3Dデータを作る写真測量とは異なり、レーザーを使った能動計測には独自の強みがあります。本稿では、LiDARの基本的な仕組みから、地上型レーザースキャナとUAV搭載型の違い、それぞれが向く用途と実務上の留意点を整理します。
LiDARの仕組み――レーザーパルスで距離を測る能動計測
LiDARはLight Detection and Rangingの略で、レーザー光を対象物に照射し、反射して戻ってくるまでの時間から距離を求める技術です。この計測を高速で繰り返すことで、対象の表面形状を密な点の集合体(点群)として捉えます。
写真測量がカメラ画像から特徴点を照合して形状を推定する「受動計測」であるのに対し、LiDARは自らレーザーを発して計測する能動計測です。そのため照明条件の影響を受けにくく、夜間や日陰でも安定した計測がしやすくなります。
また、多くのLiDARセンサーはマルチリターンに対応しています。一発のレーザーパルスが木の葉に当たって一部反射し、残りが葉の下の地面に届いて戻ってくる場合、それぞれの反射を個別に記録できます。植生が茂るエリアでも地表面データを取得しやすいのはこの特性によるものです。
地上型レーザースキャナとUAV-LiDARの違い
レーザー計測は機材の設置形態によって大きく二つに分かれます。地上に固定して使う地上型レーザースキャナ(TLS)と、ドローンに搭載して上空から計測するUAV搭載LiDARです。それぞれ強みが異なります。
| 項目 | 地上型レーザースキャナ(TLS) | UAV搭載LiDAR |
|---|---|---|
| 計測範囲 | 1スポットあたり半径数十〜数百m | 広域を連続的に飛行カバー |
| 点群密度 | 近距離ほど高密度 | 飛行高度と速度に依存 |
| 計測姿勢 | 水平方向から構造物の側面・内部も取得 | 基本的に上方からの俯瞰取得 |
| 機動性 | スキャン位置ごとに三脚設置・移動が必要 | 広いエリアを短時間でカバー |
| 向く現場 | 橋梁・トンネル・プラント・建物内部・狭隘部 | 山岳・森林・広大な造成地・斜面 |
実務では、どちらか一方で完結する場合と、両方を組み合わせる場合があります。たとえば広大な林地はUAV-LiDARで地表面を取得しつつ、橋梁桁下など飛行しにくい箇所は地上型で補完するといった段取りも行われます。
レーザー計測が向く用途
LiDARは以下のような条件・用途で特に効果が出やすくなります。
- 植生下の地表取得――マルチリターンにより、樹木や草が覆う地面の標高データを取得しやすい。写真測量では葉の隙間から地面が見えないと地表モデルが作れないが、LiDARはこの弱点を補う。
- 構造物の形状計測――橋梁・ダム・煙突・タンクなど、複雑な三次元形状を持つ構造物の現況把握。図面が存在しない既存設備の現況図作成や変形量の把握にも活用される。
- 狭隘部・閉鎖空間――トンネル内壁・工場内・地下構造物など、ドローン飛行が難しく写真撮影もしにくい環境で地上型スキャナが力を発揮する。
- 夜間・日陰環境――能動計測のため自然光に依存しにくい。夜間施工現場や日射が確保しにくい谷地形でも計測しやすい。
- 広域の地形把握――UAV-LiDARなら短時間で広大なエリアの点群を取得でき、路線測量・造成前の地形確認・崩壊地の現況把握に向く。
計測・運用の留意点
LiDARで精度の高いデータを得るには、いくつかの技術的手順が必要になります。
基準点の設置と位置合わせ:取得した点群を現実の座標系(測量座標)に合わせるには、現地に設置した標定点とGNSS測量が必要です。基準点の密度と配置が最終的なデータ精度を左右します。UAV-LiDARの場合、機体に搭載したIMU・GNSSとの組み合わせで位置を算出しますが、基準点による検証(独立検証点)は省略できません。
スキャン位置の重複取得(レジストレーション):地上型の場合、1か所のスキャンで死角が生じるため複数ステーションから計測し、共通のターゲットやICPアルゴリズムで位置合わせ(レジストレーション)を行います。この工程の品質が点群全体の整合性を決めます。
点群処理とフィルタリング:取得した生点群には雑点(ノイズ)が含まれるため、地表点・構造物点・植生点に分類するフィルタリング処理が必要です。当社では点群処理にTREND-POINTを使用し、地形モデル・横断図・土量計算まで一貫して処理しています。成果物はLAS・LAZ形式の点群データに加え、DWG・DXF・PDF形式での納品に対応しています。
現場でよくある相談
- 「写真測量とLiDARのどちらを選べばよいか」――植生が多いか、構造物の側面が必要か、夜間計測があるかで判断が分かれます。現地条件と用途を確認して提案しています。
- 「スキャンデータをCADや施工管理ソフトで使いたい」――TREND-POINTで処理したデータはDWG・DXF出力に対応しており、既存CAD環境への取り込みが可能かどうかを見積前に確認しています。
- 「レーザースキャナの計測にどのくらい時間がかかるか」――対象の規模・スキャンステーション数・後処理の工数によって異なります。現地ロケハンまたは図面確認のうえ、作業計画を提示しています。
東海エアサービスの実務での進め方
当社では地上型レーザースキャナとDJI系RTK/PPK対応ドローンを組み合わせ、現場に応じた計測手法を選定しています(測量業登録 第(1)-37730号・全省庁統一資格)。実務は以下のステップで進みます。
- 事前確認:図面・現地写真・航空写真をもとに、スキャンステーション数・飛行エリア・基準点設置計画を立案する。
- 現地ロケハン(必要時):植生状況・電線・進入制限などを確認し、飛行申請・許可の要否も合わせて判断する。
- 計測:現場測量+スキャン・飛行を実施。基準点GNSS測量も同日または翌日以内に完了させる。
- 点群処理・成果物生成:TREND-POINT・TREND-ONEで処理し、品質チェック後に成果物を納品する。通常は現地計測後5営業日、急ぎ対応は3営業日(別途調整)。
- 成果物形式の確認:見積時に「どのソフトで使うか・どの形式が必要か・座標系は何か」を確認する。LAS・LAZ・DWG・DXF・PDFに対応。全国対応。
計測手法・座標系・発注のご相談もお気軽に。関連記事はドローン測量の記事一覧に。
ドローン測量・3D計測のご相談
- ドローン測量・3D計測・点群処理を一貫対応(測量業登録 第(1)-37730号・全国対応)
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