「工場の図面が古くて実態と合わない」「そもそも建設当時の図面が残っていない」――古い工場や倉庫、プラント設備を保有する企業から、こうした相談が増えています。設備を更新しようにも現況がわからなければ、干渉確認も配置計画も前に進みません。また、災害・事故で設備が損傷した際の復旧にも、正確な現況記録は欠かせません。地上型レーザースキャナを使った3Dスキャン計測は、こうした“図面ゼロ”または“図面との乖離”の状況を、現況そのままの点群データとして記録し、設備更新計画やBCP(事業継続計画)の基盤データとして活用できます。
3Dスキャンで何ができるか
地上型レーザースキャナは、本体から照射したレーザーが対象物に当たって返ってくるまでの情報をもとに、多数の三次元座標(点群)として空間をそのまま記録します。配管・架台・機器・壁・床・天井の位置関係が一括して取得でき、後から任意の断面や寸法をデスク上で確認できます。
| 取得できる情報 | 活用場面 |
|---|---|
| 設備・配管の三次元位置・形状 | 現況図(平面・立面・断面)の作成 |
| 設備間のクリアランス・干渉箇所 | 新設機器の搬入・据付計画 |
| 床・柱・壁の変形・たわみ | 経年劣化の定量的な記録・比較 |
| 建屋全体の空間ボリューム | レイアウト変更・増設の検討 |
成果物はLAS・LAZ形式の点群ファイルのほか、DWG・DXF形式の2D/3D図面、PDF形式の報告書として納品します。既存のCADソフトやBIM環境に取り込んで、そのまま設計・施工計画に使えます。
設備更新計画とBCPへの活用
設備更新・リプレース計画
新規設備を導入する際、現況の配管・架台・搬入経路との干渉を事前に確認できるのが3Dスキャンの大きな利点です。図面のない工場では“現物を巻き尺で測る”作業が繰り返し発生しがちですが、点群データがあれば設計段階でデスク上から任意の寸法を取り出せます。施工業者・設備メーカーへのデータ共有も容易になり、手戻りのリスクが下がります。定期的に計測して点群を比較すれば、設備の変位や建屋の変形を経年的に追跡することも可能です。
BCP・被災後の早期復旧
火災・地震・水害などで設備が損傷した場合、復旧の速さは「被災前の正確な記録があるかどうか」に大きく左右されます。3Dスキャンで取得した点群データは、設備配置・配管経路・寸法を含む“現況の記録”として保管できます。被災後に同じ位置へ設備を復元する際の基準データとなるほか、保険対応・工事範囲の特定にも活用できます。定期的な計測によって「どの時点の状態か」を明示できる点も、BCP文書の精度向上に寄与します。
計測で気をつける点
- GNSS(衛星測位)が使えない:屋内では衛星信号が届かないため、基準点を建屋内に設置して計測します。精度を担保するには基準点の配置と後処理の工程が重要です。
- 遮蔽・死角の管理:タンク・配管ラック・機器の背面など、スキャナ一台では取りきれない遮蔽部分が生じます。複数ステーションに分けてスキャンし、点群を合成(レジストレーション)することで死角を最小化します。
- 稼働中の安全確認:操業中に計測する場合は、作業動線・高温部・可動部との干渉を事前に確認し、安全手順を現場責任者と合意したうえで進めます。停止できる設備と停止できない設備を事前に整理することが計測計画の起点になります。
現場でよくある相談
- 「竣工図はあるが、増改築を繰り返して実態と合わない。どこから手をつければいいか」――計測範囲を優先度の高いエリア(新設機器の搬入経路・据付予定箇所)に絞ってスコープを決めることから始めます。全棟一括でなく、フェーズ分けして計測することもできます。
- 「稼働を止められない。休日の限られた時間しか入れない」――計測は短時間の複数回訪問に分割できます。各回の計測データを後工程で合成するため、工場の操業スケジュールに合わせた計画を立てます。
- 「データをもらっても社内で活用できるか不安」――点群ビューア(軽量閲覧ソフト)で開ける形式での納品や、寸法・断面を取り出したDWG図面への変換など、活用目的に合わせた成果物の形式を相談のうえで決めています。
東海エアサービスの実務での進め方
- 事前ヒアリング:計測目的(設備更新・BCP・現況図作成)と優先エリアを確認します。図面がある場合はPDFや紙図面を共有いただくと、計測計画の精度が上がります。
- 現地調査(ロケハン):スキャナの設置位置・搬入ルート・安全制限エリアを確認します。必要なステーション数の見積もりもここで行います。
- 計測・点群処理:地上型レーザースキャナで計測し、TREND-POINT・TREND-ONEで点群の合成・クリーニング・座標系の整合を行います。
- 成果物納品:LAS/LAZ形式の点群データ、DWG/DXF形式の図面、PDF報告書を納品します。納品形式は用途に合わせて調整できます。
- 見積確認項目:計測面積・建屋の高さ・設備密度・立入制限の有無・基準点設置の要否・納品形式・稼働制約(休日のみ等)を確認のうえ、見積を提示します。
- 資格・対応エリア:測量業 登録第(1)-37730号、全省庁統一資格取得。全国対応しています。
3Dスキャン・点群活用
工場・倉庫の現況を点群で正確に把握
現場の条件に合わせて計測手法と成果物を設計します。詳しくはご相談ください。関連記事は点群・3D計測の記事一覧にまとめています。
工場・倉庫の3D計測のご相談
