木質チップの在庫管理において「積み上がった山を目で見て、だいたいこのくらい」という運用を続けていないでしょうか。バイオマス発電所・製紙工場・木材チップ加工業者では、原料として大量の木質チップをヤードに積み上げて管理します。しかし目視・概算による在庫把握は、帳簿上の数量と実在庫のあいだに見えない差異を生み続け、それが経営判断・発注計画・燃料費コントロールに直接影響します。本記事では、ドローンと点群計測を活用した在庫棚卸し運用への切り替え方について、計測原理よりも「業務としてどう回すか」に焦点を当てて解説します。
目視・概算が抱える限界とリスク
木質チップのヤード管理で目視概算を採用している現場では、主に以下の3つの問題が積み重なっていきます。
差異の蓄積
チップ山の形状は日々変化します。搬入・払出・自然乾燥による体積変化が重なると、「今日の目視」と「先月の目視」の誤差がどこから来たのかを追えなくなります。帳簿との差異が発生しても、計測根拠がないため原因を特定できません。差異は小さく見えても、月次・四半期で積算すると発注計画や在庫評価に影響する水準になることがあります。
棚卸し負荷の高さ
大型ヤードを人手で計測しようとすると、巻き尺・レーザー距離計・高さ計測を組み合わせた作業が必要になり、複数人・半日以上かかることも珍しくありません。測定者が変われば結果もぶれます。月次棚卸しを徹底しようとするほど、現場担当者の工数が圧迫されます。
対外的な根拠の不足
金融機関・発注元への在庫報告において、「目視概算」は根拠として弱いものです。燃料費精算・保険評価・取引先への在庫証明など、第三者が閲覧するシーンでは、計測記録と計算根拠がセットで求められるケースが増えています。
ドローン×点群による棚卸し運用の考え方
ドローンで空撮した画像から三次元点群を生成し、その点群データから体積を算出する方法は、土木・採石場での土量管理では標準的になりつつあります。この仕組みを木質チップのヤード管理に応用したのが、ドローン棚卸し運用です。
定期計測と差分管理のサイクル
| フェーズ | 作業内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 飛行・撮影 | ヤード上空をドローンが飛行。RTK/PPK測位で地上基準点との整合を確保 | 空撮画像・観測データ |
| 点群生成 | Metashape / Pix4Dmapperで画像を処理し、密な三次元点群を生成 | LAS / LAZファイル |
| 体積算出 | TREND-POINTで基準面を設定し、堆積体積を計算。前回計測との差分を抽出 | 体積計算書・DXF断面図・PDF報告書 |
| 払出突合 | 計測体積差分と帳簿上の払出量を突合し、差異を記録 | 差異管理表 |
定期計測の頻度は月1回が多いですが、搬入・払出の頻度が高いヤードでは隔週計測を採用するケースもあります。計測データを時系列で積み上げることで、差異がどの時期に拡大したかを追跡できるようになります。
払出量との突合の実務
計測体積の変化量と、伝票ベースの払出量を月次で照合する運用が基本です。両者のズレが一定範囲を超えた場合に「差異発生」として記録し、原因調査のきっかけにします。このサイクルを続けることで、在庫差異の傾向(特定の場所で誤差が出やすい、など)が把握できるようになります。
導入時の検討ポイント
計測頻度と基準面の設定
最初に決めるべきは「何を基準面にするか」です。コンクリート舗装されたヤードならヤード面を基準にできますが、砕石や土のヤードでは基準面が変動する可能性があります。初回計測時に「チップがゼロの状態」か「既知量の状態」で基準面を確定し、それ以降の計測と比較できる状態を作っておくことが重要です。
成果物の活用先を事前に整理する
計測結果をどのシステムに取り込むかを先に決めておくと、成果物のフォーマット指定が明確になります。会計システム連携ならCSV・Excel、CAD図面として残すならDXF・DWG、社内報告用ならPDF。TREND-ONEではDWG出力も可能なため、CADで断面管理したい現場にも対応できます。
現場でよくある相談
- 「ヤードが複数箇所に分かれているが、一度に計測できるか」――同日に複数ヤードを連続飛行するケースは多くあります。ヤード間の移動距離・電波環境・バッテリー本数を事前確認したうえでスケジュールを組みます。
- 「計測精度より、帳簿との差異を継続的に追いたい」――継続的な差分管理が目的であれば、毎回同じ基準面・同じ処理条件で計測を行うことが精度より重要です。計測条件を統一することで比較性が生まれます。
- 「計測結果を社内の在庫管理システムに入力したい」――成果物はCSV・PDF・DXF等で納品するため、担当者が数値を確認してから入力・取り込みを行う運用が現実的です。連携要件は計測前に共有いただければ対応を検討できます。
東海エアサービスの実務での進め方
- 事前確認(ロケハン):ヤードの形状・電波環境・基準点設置可否・ヤード面の状態を確認します。屋根付きヤードや金属構造物が近い場合は地上型レーザースキャナとの併用を検討します。
- 飛行・計測:DJI系RTK/PPKドローンを使用し、必要に応じて地上基準点を設置します。計測当日の作業は現地計測のみで完結します。
- 点群処理・体積算出:Metashape / Pix4Dmapperで点群生成後、TREND-POINTで体積計算を行います。成果物はLAS・LAZ・DWG・DXF・PDFから指定フォーマットで納品します。
- 報告・差分管理の引き継ぎ:初回計測後、翌月以降の差分管理をどう運用するかを担当者と確認します。定期契約・スポット対応どちらにも対応しています。
- 見積時の確認項目:ヤードの面積・箇所数・基準点の有無・成果物フォーマット・計測頻度・納期の優先度。測量業登録(第(1)-37730号)・全省庁統一資格を保有し、全国対応が可能です。
現場の条件に合わせて計測手法と成果物を設計します。詳しくはご相談ください。関連記事は土量・コストの記事一覧にまとめています。
在庫・堆積物の3D計測のご相談
- ドローン・地上型レーザースキャナによる3D計測(測量業登録 第(1)-37730号・全国対応)
- お問い合わせ / TEL: 050-7117-7141(平日9:00–18:00)
採石・骨材・石炭・木質チップ・スクラップなどの在庫棚卸しは、ドローン在庫計測サービス(料金・対応材料・計測の流れ)で対応しています。月次・四半期の定期計測もご相談ください。
