水田や農地の維持管理では、区画の現況把握・畦畔や法面の劣化確認・排水勾配の調査・耕作放棄地の面積把握など、広範囲にわたる現地調査が必要になります。これまでは測量スタッフが現地を歩き回り、手測りや従来型測量機で地道に計測を行ってきましたが、大規模農地や中山間地では作業負荷が大きく、全体を定期的に把握することが難しいものでした。近年、ドローン写真測量と点群データを組み合わせた手法が農地管理の現場でも活用されるようになっており、東海エリアの農業農村整備や基盤整備事業においても導入が増えています。
ドローン測量で農地管理に活用できること
ドローン写真測量では、上空から撮影した多数の画像をもとに三次元点群データや数値表面モデル(DSM)を生成します。これを農地管理に当てはめると、以下のような用途に対応できます。
| 活用用途 | 得られる成果・情報 |
|---|---|
| 現況地形の把握 | 圃場全体の標高分布、地形の凹凸の把握 |
| 区画・境界確認 | 区画形状の現況図化(DWG・DXF出力) |
| 畦畔・法面の状態確認 | 法面断面形状の把握、崩落箇所や変状の位置特定 |
| 排水勾配の調査 | 圃場内の高低差・水の流れ方向の分析 |
| 土量・造成計画への応用 | 切土・盛土量の算出、均平化計画の支援 |
| 経年変化の比較 | 複数時点のデータを重ね合わせた変状把握 |
写真測量処理はMetashapeまたはPix4Dmapperを使用し、点群データはLAS・LAZ形式で出力します。TREND-POINTおよびTREND-ONEによる点群処理から地形図・横断図・縦断図まで対応しており、DWG・DXFでの成果物納品が可能なため、発注元の土地改良区や施工業者がそのまま設計業務に利用できます。
農地特有の留意点
農繁期・作付け時期の回避
稲作農地では代かきから収穫までの期間は圃場への立入りが難しく、上空からの撮影であっても作物の繁茂によって地表面の点群取得精度が落ちる場合があります。現況地形を正確に把握したい場合は、作物がない冬期や収穫後の時期に計測を行う方が適しています。計測時期の調整は農地管理者・土地改良区との事前協議が前提となります。
湛水・泥濘への対応
水を張った水田や泥濘した圃場では地表面の反射特性が変わり、写真測量の点群密度が不均一になることがあります。計測前の現地踏査で圃場状態を確認し、必要に応じて計測時期を調整することが基本対応となります。
GNSS環境と基準点設置
中山間地や盆地・谷間に位置する農地では衛星測位の精度が低下するケースがあります。RTK対応機材を使用する場合でも、現地でのGNSS受信状況を確認し、必要に応じて基準点を設置したうえでPPK処理を行う運用が確実性を高めます。DJI系RTK・PPK対応機材を使用し、公共測量の基準に沿った計測が可能です。
対象範囲と飛行計画
農地は連続する広域な場合が多く、一度のフライトで対象全域をカバーできない場合は複数フライトに分割します。また農地周辺に用排水路・農道・農村集落が混在する場合は、飛行禁止エリアや第三者立入りに配慮した飛行経路の計画が必要になります。
農地管理における主な活用場面
基盤整備事業の事前調査
区画整理や農地基盤整備の計画段階では、既存の地形データが古い場合や欠落している場合があります。ドローン写真測量で現況の地形・区画・畦畔状態を把握しておくことで、設計の前提となる現況図を短期間で整備できます。測量業登録(第(1)-37730号)に基づく成果として公共測量基準に準拠した成果物を提出できるため、行政や土地改良区への提出書類として活用しやすくなります。
耕作放棄地の現況把握
点在する耕作放棄地の面積・形状・地形状態を広域で効率的に把握したい場合、ドローン測量による広域面的調査が有効になります。農地台帳との照合や再整備計画の基礎データとして利用できます。
農地防災・法面管理
大雨後の畦畔崩落箇所の分布確認や法面変状の面的把握にも応用できます。被災前後のデータを比較することで変状の規模と範囲を定量的に整理し、補修優先順位の判断材料にできます。
現場でよくある相談
- 「農地全体の高低差を均平化したいが、まず現状の地形を把握するところから依頼できるか」――現況点群取得から均平計算・土量算出まで一括で対応可能。成果はTREND-ONEで処理しDWG出力まで行う。
- 「土地改良区の担当者から現況図の提出を求められているが、測量業者に頼んでよいのか」――測量業登録および全省庁統一資格を保有しているため、公共事業・補助事業向けの成果物として提出できる形式(PDF・DWG等)で納品できる。
- 「圃場が分散していて全部で何haあるか自分でも把握しきれていない」――位置情報付きの点群・オルソ画像を生成することで、面積や位置の整理と現況図化を同時に行える。
東海エアサービスの実務での進め方
農地・水田のドローン測量は、以下の手順で進めることが多くあります。
- 事前確認(ロケハン・資料調査):対象圃場の位置・面積・現地アクセス・GNSS環境・農繁期のスケジュールを確認する。土地改良区や農業委員会との調整が必要な場合はこの段階で洗い出す。
- 計測(RTK/PPK対応機での飛行):DJI系RTK・PPK対応ドローンで撮影。基準点設置が必要な現場では地上基準点を設けてGCP処理を行う。
- 写真測量処理:Metashape・Pix4Dmapperで点群生成・オルソ画像作成。LAS・LAZ形式で出力する。
- 点群処理・成果物作成・QC:TREND-POINT・TREND-ONEで地形図・横断図・縦断図を作成。基準点との整合・点群密度・精度確認を行ってからDWG・DXF・PDFで納品。
- 見積時に確認している主な項目:対象農地の総面積・筆数・分散状況/求める成果物の種類(点群のみ・地形図・横断図・均平計算など)/計測希望時期と農作業スケジュールとの調整可否/公共測量基準への準拠要否・行政提出書類としての利用有無/既存の測量資料・区画図・土地改良区図面の有無。愛知・三重・岐阜・静岡を中心に全国対応。
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