点群データから土量(体積)を求める方法は一つではありません。代表的なのが TIN(不整三角網)法・グリッド/ボクセル法・クロスセクション(平均断面)法の3つで、同じ点群でも採用するアルゴリズムによって算出体積に差が出ます。本記事では、それぞれの計算原理と「どの地形でどの誤差が出やすいか」を、点群処理の現場目線で整理します。設計変更や数量協議で「数字が合わない」を防ぐための前提整理にお使いください。
3つのアルゴリズムの計算原理
TIN(不整三角網)法
点群から三角網(TIN)で連続した地表面を張り、基準面との間にできる三角柱を積分して体積を求める方法です。点の密度が高い場所ほど面を細かく再現でき、ブレークライン(法肩・法尻・天端・小段)を拘束線として与えると、地形の折れを正確に再現できます。造成地・ストックパイルなど面的な対象に向きますが、ブレークラインを入れずに三角網だけで処理すると、段差や法面で面が丸まり、切盛量が過小・過大になりやすい点に注意が必要です。
グリッド/ボクセル法
点群を一定間隔のグリッド(DEM)へ内挿し、各セルの「高さ×セル面積」を合計する方法です。計算が安定し、広い平坦地やヤードでは粗いセルでも実用精度が出ます。誤差を支配するのはセルサイズ(解像度)で、セルが粗いほど段差や急変部がなまります。オーバーハングや複雑形状など、上下方向に重なりのある対象では2.5次元のグリッドでは表現できないため、3次元ボクセルで扱います。
クロスセクション(平均断面)法
一定間隔で横断面を切り、隣り合う断面の平均面積×距離で体積を積み上げる方法(平均断面法/end-area method)です。道路・水路・河川など線形の土工の積算で長く使われてきた標準手法で、横断図がそのまま成果になります。断面間隔が粗いと、断面と断面のあいだの起伏を取りこぼすため、地形の変化点には断面を追加して間隔を詰めるのが定石です。
地形タイプ別の誤差特性
どの手法が「正しい」かは地形で決まります。定性的な向き・不向きを整理すると次のとおりです。
| 地形・対象 | TIN法 | グリッド/ボクセル法 | 平均断面法 |
|---|---|---|---|
| 平坦な造成地・資材ヤード | 安定 | 安定(粗いセルでも可) | 過不足が出やすい |
| 法面・段差の多い地形 | ブレークライン併用で強い | セルで段差がなまる | 断面間隔次第 |
| 細長い線形(道路・水路) | 対応可 | 対応可 | 標準・有利 |
| 不定形のストックパイル | 強い | 強い | 不利 |
※削減率や精度の数値は地形・点密度・基準面の取り方で変わるため、本表は手法選定の目安です。実数は対象データで検証します。
現場でよくある相談
土量の算出をめぐっては、次のような相談が多く寄せられます。
- 「他社が出した土量と数量が合わない。どちらが正しいのか」
- 「設計面と実測の差分(切土量・盛土量)をどう出せばよいか」
- 「平均断面法とTIN法で数量が違うが、協議でどう説明するか」
経験上、差の主因はアルゴリズムそのものより、基準面の定義(設計面か初期地形か)・ブレークラインの有無・対象範囲の境界の取り方にあることがほとんどです。手法を合わせても前提が違えば数量は一致しません。協議では、まず前提条件をそろえてから手法を比較するのが近道です。
東海エアサービスの実務での使い分け
当社では、対象地形に応じて手法を使い分けています。
- 点群処理は TREND-POINT、写真測量は Metashape/Pix4Dmapper を使用。
- 造成地・ヤード・ストックパイルは TIN法を基本とし、線形土工では平均断面法も併用。
- 法面の折れを正しく再現するため、ブレークラインを必ず取得・拘束。
- 成果物は LAS/LAZ(点群)、DWG/DXF(等高線・横断図)、PDF(土量計算書)で納品。
見積・打ち合わせの段階では、以下を確認しています。
- 基準面の定義(設計面 / 初期地形 / 任意の水平面)
- 体積を求める対象範囲の境界
- ブレークラインの要否(法面・小段・構造物際)
- 要求精度と数量の丸め方
- 必要な成果物の形式(点群・図面・計算書)
算出手法と前提条件をそろえれば、土量は「説明できる数字」になります。点群からの土量計算、設計面との差分算出、横断図の作成までご相談ください。関連する考え方は土量コスト計算の基本ガイド、ほかの記事は土量・コストの記事一覧でまとめています。
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