切盛バランス(土量バランス)とは、ある工区や路線において切土(掘削)で発生する土量と、盛土(埋め戻し・盛立て)に必要な土量を突き合わせ、過不足を把握することをいいます。バランスが取れれば現場内で土を融通できますが、余剰が生じれば場外搬出、不足が生じれば購入土・借土が必要になります。どちらも運搬費・処分費・材料費に直結するため、積算段階での精度が工事コストを大きく左右します。
切土量と盛土量の関係——余剰土・不足土の考え方
地山を掘削した土は、ほぐれて体積が増えます(ほぐし係数L)。その土を盛土として転圧すると、今度は体積が縮みます(締固め係数C)。このため「地山の切土量」と「盛土に充てられる量」は数値上イコールになりません。切盛バランスを計算する際は、地山土量・ほぐし土量・締固め土量の三状態を区別して換算する必要があります。
| 状態 | 基準 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 地山土量 | 掘削前の自然状態 | 切土量・購入土量の計上基準 |
| ほぐし土量 | 地山×L値 | 運搬(ダンプ台数)の計算基準 |
| 締固め土量 | 地山×C値 | 盛土完成体積の計上基準 |
余剰土(切土量>盛土必要量)は場外へ搬出し、不足土(盛土必要量>切土量)は購入土で補います。L値・C値は土質によって異なるため、土質試験結果や設計書記載の換算係数を必ず確認します。
土積図(マスカーブ)で運搬区間と余剰土量を読む
土積図(マスカーブ)は、路線の起点から終点に向かって累積土量を折れ線で表したものです。縦軸が累積土量(±で表現)、横軸が距離となり、グラフの形状から次の情報を読み取れます。
- 均衡点:グラフが横軸と交わる地点で、その区間内で切盛がちょうど釣り合う位置を示す
- 平均運搬距離:均衡点間の距離を基準に積算し、運搬単価の区分(近距離・遠距離)に対応させる
- 余剰土・不足土の絶対量:グラフの最高点・最低点の値が、それぞれ場外搬出量・購入土量の目安になる
マスカーブは設計段階で作成されますが、掘削が進むにつれて実測値と乖離が生じることが多くあります。出来高測量で実際の断面形状を取得し、設計数量と対比して随時修正することが重要になります。
現場でよくある相談
- 「設計上は切盛バランスが取れているはずなのに、実際には余剰土が大量に出た。場外搬出量を数量で押さえて発注者と協議したい」
- 「購入土の数量根拠を積算書に明示しなければならないが、L値・C値の換算を踏まえた地山ベースの数量整理ができていない」
- 「切盛バランス計算に使った現況地盤データが古く、実測値との差異が不明。ドローン測量で現況を取り直して設計数量と比較したい」
東海エアサービスの実務での進め方
切盛バランスの数量化は、現況地盤の正確な三次元計測が出発点になります。当社では以下の流れで対応しています。
- 現況計測:ドローン写真測量(Metashape・Pix4Dmapper)またはUAV-LiDARで地盤点群を取得。成果物はLAS・LAZ形式で納品
- 点群処理・土量計算:TREND-POINTで点群のノイズ除去・地表面抽出を実施し、設計面と現況面の差分(切盛土量)を算出
- 土積図の作成支援:断面データをDWG・DXF形式で出力し、設計断面と重ねて過不足区間を整理。積算書に添付できるPDF帳票も作成
- 出来高管理への応用:施工途中の出来高測量にも同じ流れを適用し、設計数量との差異を随時確認できる体制を整える
- 見積時に確認している項目:計測エリアの面積・起伏の状況(飛行計画・地上解像度の設定に影響)/設計データ(TIN・グリッド・断面データ)の有無と形式/土質区分とL値・C値の設計値(換算計算に使用)/求める成果物の形式(点群・断面図・土量計算書・土積図)と提出期限/現地への立入り条件(工事進捗・安全管理区画の有無)
当社は測量業 登録第(1)-37730号、全省庁統一資格を保有しており、官民を問わず測量成果として提出できる数値を提供しています。現況計測から切盛数量の整理まで一貫して対応するため、設計者・施工者・発注者それぞれの確認作業を圧縮できます。
土量・コストの根拠づくりは、現況の実測と前提条件の整理から始まります。点群からの土量計算・差分算出・図面作成までご相談ください。基本は土量コスト計算の基本ガイド、ほかの記事は土量・コストの記事一覧にまとめています。
土量積算・数量根拠づくりのご相談
- ドローン測量・点群処理・土量計算まで一貫対応(測量業登録 第(1)-37730号)
- お問い合わせ / TEL: 050-7117-7141(平日9:00–18:00)