残土量の計算方法|ドローン測量データで正確に算出する手順

残土量の計算精度は、処分費・運搬費・受入地の確保など現場コストに直結します。従来の断面法による計算では測量箇所を絞らざるを得ず、地形の複雑な現場では誤差が積み重なりやすいものでした。ドローン測量を用いた点群データによる算出は、面的な計測データを基にするため、従来手法と比較して取りこぼしのある箇所が少なく、切土・盛土の体積計算をより実態に近い形で行えます。本記事では、残土量算出の基本的な手順と、現場精度を左右するポイントを整理します。

残土量算出の基本手順

ドローン測量データを用いた残土量算出は、大きく以下の工程で進みます。

工程内容
① 現地飛行・計測RTK/PPK対応ドローンで現地を撮影。GCP(地上基準点)を配置して絶対精度を確保する
② 点群データ生成写真測量処理ソフト(Metashape / Pix4Dmapper)でSfMによる点群モデルを生成
③ 点群フィルタリングTREND-POINTなどの点群処理ソフトで植生・機材など不要ノイズを除去し地盤面を抽出
④ 基準面(現況面)の設定現況地盤を三角形メッシュ(TIN)などで構成し、算出の基底となる面を定義する
⑤ 設計面・計画面との差分計算設計面または施工前後の面データとの高さ差分を面全体で積算し体積を求める
⑥ 成果物整理・報告土量計算結果をPDF・DWG・DXF等で出力。LAS/LAZファイルを合わせて納品する

施工前後に同条件で計測データを取得することで、切土量・盛土量・残土量を面的に把握できます。後工程の設計変更にも柔軟に対応しやすい点が、点群ベース算出の利点の一つです。

土量の状態と換算係数(L値・C値)

残土量を扱うとき、「どの状態の土量か」を意識せずに計算すると大きな誤差を生みます。土量には次の3つの状態があります。

  • 地山土量:自然状態のまま地面にある土の体積。掘削前の基本単位となる
  • ほぐし土量:掘削・積込み後にほぐれた状態の体積。地山より体積が増加する。運搬はこの状態で行われるため、ダンプ台数の算定はほぐし土量で計算する
  • 締固め土量:盛土として締め固めた後の体積。地山より体積が減少する

地山土量とほぐし土量の比をL値、地山土量と締固め土量の比をC値と呼びます。これらの換算係数は土質によって異なり、現場の土質調査結果や発注者指定の値を用います。ドローン測量で得られる体積は地形面の差分から求めた地山相当の体積が基本となるため、運搬量・盛土計画への転換には換算係数の適用が必要です。この換算を誤ると、実際の運搬台数や処分費用の見積もりがずれる原因になります。

精度を左右するポイント

基準面の設定精度

体積算出は「基準面との差分の積算」であるため、基準面の誤りは結果に直接影響します。施工前の地盤面を計測したデータが正確に取れているか、基準面設定の範囲が目的の算出エリアと一致しているかを確認します。

ブレークラインの設定

法面の肩・法尻・段差など、地形が急変する箇所にブレークライン(稜線)を設定することで、TINメッシュが形状を忠実に再現できます。設定が不十分だと、法面部分で体積が滑らかに補完されてしまい、実際の地形と差が生じます。

計測対象範囲の確定

土量算出の境界線(計測範囲の境界・構造物際・用地境界など)を明確に定義し、点群データと算出ポリゴンの範囲を一致させる必要があります。範囲の定義があいまいなまま計算を進めると、結果の解釈でトラブルになりやすくなります。

点群密度と飛行計画

地形の細かい起伏を再現するには、十分な点群密度が必要です。急峻な斜面や狭小な場所では、単純な格子状の飛行では点密度が不均一になることがあります。地形の複雑さに合わせた飛行高度・オーバーラップ率の設定が重要であり、GCPの配置計画も含めて事前の飛行計画段階で検討します。

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現場でよくある相談

  • 「施工途中の段階で残土量だけ確認したい」:中間計測として施工途中の地盤面を取得し、施工前データとの差分で途中段階の土量を算出することが可能。発注者への中間報告や追加工事の見積もり根拠としても活用されている。
  • 「以前の測量データと比較したいが、座標系が違う」:既存データの座標系・測地系を確認したうえで変換処理が必要になる。GCPの再取得が必要なケースもあるため、過去資料を事前に共有いただくとスムーズに対応できる。
  • 「地形が複雑で法面と平坦部が混在している」:ブレークライン処理と範囲分割による個別算出を組み合わせる。複雑形状ほど点群処理のノウハウが精度に影響するため、処理方針の事前確認を推奨している。

東海エアサービスの実務での進め方

当社では、RTK/PPK対応のDJI系ドローンで現地計測を実施し、Metashape・Pix4Dmapperによる写真測量処理で点群を生成。点群の後処理にはTREND-POINT・TREND-ONEを使用し、フィルタリング・ブレークライン設定・体積算出まで一貫して対応しています。成果物はLAS/LAZ(点群)・DWG/DXF(図面)・PDF(報告書)の形式で納品します。

  • 測量業 登録第(1)-37730号に基づく成果物として報告書を発行可能/全省庁統一資格保有のため官公庁・自治体案件にも対応/全国対応(現地計測への出張対応可)
  • 見積段階で確認している項目:算出の目的(発注者提出用/社内管理用/中間確認用)/現況地盤データの有無/設計面データの形式と提供の可否(DWG/DXF/座標リスト等)/現地の立入制限・電波環境・飛行申請の要否/土質区分と換算係数の適用方針/成果物の形式・提出先・納期。

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TAS Technical Writing Team(技術記事監修)
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