山林の資源量を把握するとき、従来の地上調査では尾根から沢まで歩き回り、毎木調査や標準地法によって樹高・胸高直径を1本ずつ計測します。広大な山林になるほど調査員の負担は大きく、急傾斜地や密林帯では安全面のリスクも伴います。近年はUAV搭載型LiDARや写真測量技術の精度向上により、上空から取得した点群データをもとに樹高・本数・材積を面的に推計する手法が現場で活用されるようになってきました。地上作業を最小限に抑えながら広域を短期間で把握できる点が、林業・森林管理の現場から注目を集めています。
LiDAR・点群データで把握できること
UAV-LiDARは地表に向けてパルスレーザーを照射し、植生の葉や枝を透過して地表に返ってきた反射点も記録できます。これにより、地盤面の高さ(DTM:数値地形モデル)と林冠面の高さ(DSM:数値表層モデル)を分離して生成し、その差分から樹冠高モデル(CHM:Canopy Height Model)を作成できます。CHMをもとに樹冠の頂点を抽出することで、個木の樹高や分布密度を面的に把握できます。
こうした樹高データと既存の材積表・成長曲線を組み合わせることで、面積あたりの材積推計へと展開できます。ただし材積推計はあくまで統計的な推定値であり、現地の樹種構成・林齢・立木密度の条件によって精度は大きく変わります。確定値や収量の保証を前提とした用途には適さない点を最初に理解しておく必要があります。
写真測量(SfM)との違い
| 項目 | UAV-LiDAR | 写真測量(SfM) |
|---|---|---|
| 地表面の取得 | 葉・枝を透過して地表点を取得できる | 林冠が密だと地表面を取得しにくい |
| DTM精度 | 閉鎖林でも比較的安定 | 閉鎖度が高いと誤差が大きくなりやすい |
| 点密度 | フライト高度・速度により調整可 | 重複率を上げることで高密度化できる |
| 材積推計への適性 | CHM作成に適しており樹冠解析に向く | 林冠形状把握には使えるが地表分離が課題 |
計測・推計時の留意点
- 地表到達率と林分構造:常緑針葉樹の密林では葉量が多く、レーザーパルスが地表まで届く割合が低くなる。落葉後の冬季に計測するとDTMの精度が改善するケースがある。
- 下層植生の影響:ススキや低木など下層植生が茂っている場合、地盤面と植生面の区別が難しくなる。DTMのフィルタリング設定と目視確認が必要になる。
- 計測季節の選定:樹高から材積を推定するモデルは地域・樹種・林齢ごとに精度が変わる。目的に応じた計測時期の設定が必要になる。
- GNSS受信環境:深い谷地形や急峻な斜面ではGNSSの捕捉精度が落ちる場合がある。基準点測量との併用や飛行計画の工夫が必要なことが多い。
主な活用場面
- 施業計画の立案:間伐対象エリアの優先度づけや、搬出路の設計に必要な地形把握を同時に行える。地表DTMは路網計画の基礎データとしても活用できる。
- 資源量の把握と評価:山林の取得・売却・担保評価などの場面で、地上調査の補完または代替として点群計測を活用するケースが増えている。
- 経年変化のモニタリング:同一エリアを複数時期に計測することで、成長量の推移や病害虫被害・風倒木の発生を面的に把握できる。
現場でよくある相談
- 「山が広すぎて地上調査が追いつかない。どの程度の面積まで1回のフライトでカバーできるか」――飛行計画の設計次第で広い面積に対応できるが、電波環境・斜面高低差・立木高さによってフライト分割が必要になることが多い。現地ロケハン後に判断している。
- 「材積の数字を根拠として資料に使いたいが、精度はどう説明すればよいか」――LiDAR由来の樹高データは計測精度があるが、そこから先の材積換算は推計であることを明示する必要がある。報告書には計測手法・推計モデルの前提条件を記載するよう案内している。
- 「航空LiDARと地上型スキャナはどちらが向いているか」――山全体の広域把握にはUAV-LiDARが適している。地上型スキャナは特定箇所の精密計測や見通しが確保できる林内での個木計測に向く。用途と対象範囲によって使い分けを提案している。
東海エアサービスの実務での進め方
山林計測のご依頼は、対象の規模・目的・現地条件によって進め方が変わります。初回のヒアリングで以下の項目を確認したうえで、フライト計画と成果物仕様を提案しています。
- 対象面積と山林の場所(座標または住所、傾斜の概要)/計測目的(施業計画・資源評価・モニタリングなど)/必要な成果物の形式(LAS/LAZ点群、DTM/DSM、CHM、DWG/DXFなど)/樹種の概要と葉の状態(常緑・落葉、密度)/基準点の有無またはRTK/PPK対応の要否/報告書への記載要件(精度の範囲・推計モデルの明示要否)。
- 計測はDJI系RTK/PPK対応ドローンにLiDARセンサーを搭載して実施し、地上型レーザースキャナとの併用が必要な場合も対応可能。点群処理にはTREND-POINT・TREND-ONEを使用し、成果物はLAS・LAZ形式での納品を標準とし、DWG・DXF・PDF形式への変換にも対応する。
- 測量業 登録第(1)-37730号・全省庁統一資格を保有しており、官公庁・自治体案件も対応。全国対応可能で、現地ロケハン後に現場作業日程を調整している。
ドローン測量・3D計測
地形・資源量を点群で面的に把握
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