ICT施工を初めて導入する現場では、起工測量の外注先選びで手が止まりがちです。「ドローンを飛ばして点群を取ってくれる会社」は増えましたが、見積書を並べてみると内容の粒度がバラバラで、何を基準に選べばいいのか分かりにくいのが実情です。
結論から言うと、判断基準は1つです。その外注先が「飛ばして点群を渡す」までしかできないのか、「その点群を出来形・土量・原価の判断にどう使うか」まで示せるのかを、見積書と提案内容で見分けることです。本記事では、その見分け方を見積確認項目とチェックリストの形で整理します。
ICT起工測量の外注、何を基準に選べばいいのか
UAV機材とレンタル・外注ネットワークが整ってきたことで、「起工測量でドローンを飛ばし、点群データを納品する」こと自体は、多くの業者が一定水準まで対応できるようになっています。つまり、実行(飛行・点群処理という作業そのもの)は以前ほど希少ではなくなってきています。
一方で、実際に現場が困るのは「データはもらったが、それをどう出来形の合否判定や土量の数量把握、原価の意思決定に落とし込めばいいか分からない」という段階です。ここに差が出ます。
「飛ばせる(実行)」と「判断材料まで出せる(定義)」の違い
外注先を比較するときは、次の2つの軸で見てください。
- 実行力: 指定した範囲・スケジュールで飛行し、点群やオルソ画像を成果物として出せるか
- 判断力(定義する力): その成果物を、現場のどの判断(出来形合否・土量算出・原価把握・工程判断)にどう使うかまで、発注前の提案段階で説明できるか
実行力だけを見て選ぶと、納品後に「このデータ、うちの帳票フォーマットとどう対応させればいいんだ」と現場で立ち止まることになります。見積の安さだけで比較検討すると、この判断材料の部分が見積書に一切書かれていないケースを見落としやすくなります。
見積書・提案内容で確認すべき項目
比較検討の段階で見積書・提案書を並べたら、以下の項目が明記されているかを確認してください。
- 成果物の形式(LAS/LAZ・GeoTIFF・DXF・PDF報告書など)
- 精度保証の有無・許容誤差の考え方
- 座標系の指定(現場が使う座標系と一致しているか)
- 対応エリア(現場までの移動体制・出張可否)
- 納期(標準納期と、急ぎ対応が可能かどうか)
これらが見積書の1行にまとめられているだけの提案と、成果物ごとに用途と精度の考え方まで書かれている提案とでは、納品後の使いやすさが大きく変わります。
成果物の形式・精度保証の明記有無
見積書に「点群データ一式」としか書かれていない場合は要注意です。当社が見積を作成する際は、成果物の形式(LAS/LAZ/GeoTIFF/DXF/PDFのいずれか、または組み合わせ)と、それぞれの精度保証の考え方を明記した上でご提示しています。精度保証が書かれていない提案は、納品後に「思っていた精度と違った」というトラブルの原因になりやすい部分です。
出来形・土量・原価にどう使えるかの説明有無
成果物形式が書かれていても、それを現場のどの判断に使うかまで説明されているかは別問題です。点群データを受け取った後、出来形・土量・原価の判断にどう落とし込むかについては、ドローン測量データの活用方法|出来形・土量・原価の判断に活かすでも整理していますので、比較検討の参考にしてください。
また、点群処理を外部委託する際の費用の考え方については、点群処理の外注費用でも解説しています。実行部分の外注費用感と、判断材料としての価値を切り分けて比較検討する際の参考になります。
資格・実績の確認(測量業登録・全省庁統一資格)
官公庁案件やゼネコンの元請案件では、外注先の資格・登録状況も確認しておくべき項目です。当社は測量業登録第(1)-37730号、全省庁統一資格(役務・全国)を保有しており、対応エリアは全国です。これらの登録・資格の有無は、発注者側が社内稟議や検査で説明責任を果たす際の判断材料にもなります。
「実行だけ」の外注先で起きやすい失敗
実行力だけで選定した場合に起きやすい失敗パターンを整理します。
データはもらったが社内で使えない/精度・座標系の食い違いで手戻り
現場でよくあるのが、座標系や精度要求のすり合わせが発注時点で不十分だったために、納品後に手戻りが発生するケースです。初めてICT施工を導入する会社様から、「何を確認して発注すればいいか分からない」というご相談が多く寄せられます。特に次の2点は、発注前に必ず外注先とすり合わせておくべき項目です。
- 現場で使用している座標系(設計データの座標系)と、外注先が納品する座標系が一致しているか
- 求める精度(出来形管理基準に沿った許容誤差)と、外注先が提示する成果物の精度が対応しているか
このすり合わせが抜けたまま発注すると、点群データは届いても社内のCAD・出来形管理ソフトに読み込めない、あるいは精度が要求水準に届かず再測量が必要になる、といった手戻りにつながります。
比較検討時のチェックリスト
見積を複数社で比較する際は、以下を発注前にチェックしてください。
- 成果物の形式(LAS/LAZ/GeoTIFF/DXF/PDF)が明記されているか
- 精度保証・許容誤差の考え方が説明されているか
- 座標系の指定・すり合わせが提案段階で行われているか
- 対応エリア・現場までの移動体制が明確か
- 標準納期と急ぎ対応の可否が示されているか
- 出来形・土量・原価の判断にどう使えるかまで説明されているか
- 測量業登録・全省庁統一資格などの資格・実績があるか
より詳しいチェック項目は、ICT施工導入チェックリストおよびドローン測量見積依頼チェックリストにまとめています。相見積もりの前に目を通しておくと、業者間の説明の粒度の違いが分かりやすくなります。
東海エアサービスの対応フロー・対応できること
当社のICT起工測量は、ロケハン(現地事前調査)→測量(UAV写真測量・必要に応じてレーザー計測)→処理(Metashape・Pix4Dmapperによる点群生成、TREND-POINT・TREND-ONEでのCAD化)→QC(精度・座標系の確認)→納品、という流れで対応しています。
- 標準納期は現地計測後5営業日、急ぎの場合は3営業日での対応もご相談いただけます
- 成果物はLAS/LAZ・GeoTIFF・DXF・PDF報告書などから、現場の用途に合わせてご提案します
- 測量業登録第(1)-37730号・全省庁統一資格(役務・全国)を保有し、対応エリアは全国です
- BCP(事業継続計画)を整備しており、災害時・緊急案件でも対応体制を維持しています
サービス詳細はUAV測量サービスのページもあわせてご確認ください。ICT起工測量に限らず、その他の建設DX関連の話題はconstruction-dx記事一覧にまとめています。
よくある質問
ICT起工測量は他社でも対応できますよね?
飛行・点群処理といった実行部分は、各社対応が進んでいます。差が出るのは、その点群を出来形の合否・土量・原価の判断にどう使うかを、発注前の提案段階で説明できるかどうかです。
見積書だけで判断できますか?
見積書に成果物形式・精度保証・座標系指定・対応エリア・納期が明記されているかを確認してください。これらが書かれていない、または「一式」でまとめられている場合は、提案段階で追加確認することをおすすめします。
座標系や精度の指定は発注側で決めておく必要がありますか?
現場で使用している設計データの座標系と、求める精度(出来形管理基準に沿った許容誤差)は、発注前にできるだけ具体的に伝えていただくと、納品後の手戻りを防ぎやすくなります。不明な場合は発注前にご相談ください。
急ぎで起工測量を依頼したい場合、対応できますか?
標準納期は現地計測後5営業日ですが、急ぎ対応についてもご相談いただけます。対応可否は現場条件・スケジュールによりますので、まずはお電話(050-7117-7141)でご相談ください。
ICT起工測量の外注先選びで迷ったら、まずは見積書の確認項目を洗い出すところから始めてください。判断材料まで含めた提案かどうかを見極めることが、手戻りのない発注につながります。