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石炭・鉄鉱石ヤードの在庫を正確に計測:自然発火リスクを抑える3Dスキャン戦略 | 東海エアサービス
Coal & Ore / Inventory

石炭・鉄鉱石ヤードの在庫を正確に計測:自然発火リスクを抑える3Dスキャン戦略

電力会社(石炭火力)、製鉄所、港湾ターミナルの運営責任者向け。
広大な石炭や鉱物ヤードの在庫をドローンLiDARで計測し、
在庫の偏り、自然発火リスクを可視化・管理する手法を解説します。

Overview:戦略物資の在庫管理は「リスク」と一体である

石炭や鉄鉱石は、電力供給や鉄鋼生産に直結する戦略的な重要物資です。そのため、それらを貯蔵するヤードでは、在庫量の正確性安全性の確保が、他のバルク材以上に厳しく求められます。

特に広大な屋外ヤードでは、在庫量の目測や簡易的な計測による誤差が数万トンに及ぶこともあり、これが高額な資産価値の計算ミス、ひいては経営判断のミスにつながります。

石炭ヤード特有の二大リスク:「自然発火」と「偏積」

石炭ヤードの在庫管理には、特有の安全リスクと計測リスクが存在します。

  • 自然発火リスク: 石炭は空気に触れると酸化し、熱を発生させます。パイルの高さや積載密度が不均一だと、特定の深部で熱がこもり、自然発火(内部発火)につながる危険があります。
  • 偏積(スキュー)リスク: 船やコンベアから連続的に投入されるため、ヤード内で在庫の偏りや凹凸が発生しやすく、体積計測の誤差の大きな原因となります。
  • 高比重と湿度の変動: 鉄鉱石などは特に高比重であり、わずかな体積誤差が重量換算時に大きな誤差となって現れます。

3D計測がリスクマネジメントと財務にもたらす貢献

ドローンLiDARなどの3D計測ソリューションは、これらの課題に対し、非接触で高精度なデータを提供します。

  • 安全対策: パイルの形状を正確にモデル化し、危険な高所作業なしに、発火リスクの高い偏積エリアを特定・是正するためのデータを提供します。
  • 在庫証明: 資産価値が高い鉱物在庫の棚卸し精度を向上させ、財務諸表の信頼性を確保し、外部監査や金融機関への証明力を高めます。
  • 運用効率: 正確な在庫量に基づき、最適な搬入・搬出計画を策定し、在庫回転率を向上させます。

Chapter 1:屋外ヤードに最適化された計測ソリューション

広大で障害物が多い屋外ヤードの計測には、機動力と広域スキャン能力に優れたドローンLiDARが最も有効です。

ドローンLiDAR vs 地上型スキャナ:広大なヤードでの使い分け

ドローンLiDAR(UAVレーザースキャナ)は、数十分の飛行で広範囲のストックパイル(山積みされた在庫)全体をスキャンできます。特に、パイルの頂上や、重機や設備で地上から計測が困難なエリアをカバーできるため、広大な鉱物ヤードの棚卸しに最適です。 一方、地上型スキャナ(TLS)は、ヤードの境界線や固定設備の正確な3Dモデル作成に優れており、ドローンとTLSを組み合わせることで、ヤード全体を完璧にモデル化することが可能です。

悪天候・粉塵の影響を最小化する計測計画

屋外計測では、雨や風、粉塵がデータ精度に影響を与えます。

  • 天候の影響: LiDARは写真測量に比べ、光の影響を受けにくいですが、雨天や強風は飛行・計測自体を困難にします。そのため、計測は天気予報に基づき、短時間で完了する計画を立てます。
  • ノイズ除去: 計測時に舞い上がる粉塵や、稼働中の重機は点群データ上のノイズとなります。計測後のデータ処理で、これらのノイズを自動的に除去(フィルタリング)し、純粋な在庫表面の点群データのみを抽出する専門技術を適用します。

Chapter 2:高比重鉱物における体積→重量の精度向上

積荷の「締固め度」を考慮した比重のリアルタイム補正

鉄鉱石や石炭は、その積載方法や期間によって、パイル内部の密度(締固め度)が大きく異なります。同じ体積(m3)でも、ダンプでそのまま積んだ山と、重機で踏み固めた山では、重量(t)に大きな差が生じます。

在庫重量(t) = 3D体積(m3) × (基準比重 + 締固め補正値)

3D計測で得られた体積に、現地での積載方法(締固めレベル)と、計測日の含水率・品位データを組み合わせた動的な比重係数を適用することで、従来の静的な比重値を使う方法よりも、重量換算の精度を飛躍的に高めます。

体積計測のノイズとなるベルトコンベアや重機の自動除去

港湾ターミナルや工場ヤードでは、在庫パイルの上をベルトコンベアやスタッカー(積付け機)、リクレーマー(掘削機)が横断していることが多く、これらが点群データに含まれると体積計算の誤差となります。 当社の解析では、事前にこれらの固定設備(コンベアなど)の3Dモデルを定義しておき、計測点群から設備部分を自動で除去します。これにより、稼働中のヤードでも、製品本体の体積のみを正確に分離して算出することが可能です。

Chapter 3:自然発火リスクと在庫の偏り検知

ストックパイルの「高さと密度」が発火リスクに与える影響

石炭の自然発火は、パイル内部の空気の流れが不均一になり、熱が外部に逃げずに蓄積することで起こります。特に、通気性の低い高さ5m以上のパイルや、積載密度が極端に低い(または高すぎる)エリアは、発火のリスクが高まります。

3D点群による偏積パイルの可視化と安全対策への連携

3D点群データは、パイルの表面形状をミリ単位で捉えるため、

  1. パイルの規定外の高さ(例:安全基準を超える部分)
  2. 急激な傾斜(偏積の兆候)
  3. 不規則な表面の凹凸(均一な締め固めが行われていない兆候)

を明確に可視化し、リスクの高いエリアをヒートマップで特定できます。このデータを、ヤード管理システムや熱画像データと連携させることで、予防的な散水や再積載の指示を迅速に行うことが可能となり、発火リスクを最小限に抑えます。

Chapter 4:導入事例とコスト削減効果

事例1:火力発電所(発熱リスクを考慮した在庫パイル管理)

課題:石炭ヤードが広大で、棚卸しに数日かかっていた。発熱箇所を赤外線カメラで発見しても、在庫量が正確に把握できていなかった。

解決:ドローンLiDARによる月次棚卸しを導入。パイル形状と体積を正確に計測し、熱画像と重ね合わせて分析。

効果:棚卸し工数を80%削減。発熱リスクの高い「過剰に高く積まれたエリア」を特定し、安全管理部門が是正。在庫誤差を1%未満に抑え、監査対応もスムーズに。

事例2:製鉄所原料ヤード(高精度な棚卸しでトレーサビリティを向上)

課題:鉄鉱石やコークスの在庫を重機オペレーターの目測に頼っており、在庫誤差が大きい上、ロットごとの製品管理(トレーサビリティ)が不確実だった。

解決:計測データをロット情報と紐付け、パイル境界を明確化した3Dレポートを作成。

効果:ロットごとの在庫量が明確になり、製造計画の精度が向上。在庫管理の信頼性向上により、原料調達部門のリスクヘッジ能力が強化された。

よくある質問(FAQ)

Q. ドローンによる計測は、ヤードの稼働を止める必要がありますか?
基本的にヤードの一部を立ち入り禁止にする必要はありますが、ドローンは高所から短時間で計測を完了できるため、ヤードの稼働停止時間は最小限に抑えられます。重機の移動は計測範囲から外れた場所で行っていただくことで、計測中の作業継続も可能です。
Q. 取得した3D点群データを、当社のヤード管理システムに取り込めますか?
はい、可能です。3D点群データは一般的なLAS形式やCSV形式で提供可能です。また、多くのヤード管理システムがサポートするGeoTIFF(標高データ)やDEM(デジタル標高モデル)形式にも変換して納品できます。
Q. 締固め度の違いによる比重の変動を、どのように把握するのですか?
計測時、パイルの積載方法(例:ダンプでの山積、ブルドーザーでの締固め)を作業記録と照合します。その情報に基づき、過去のサンプリングデータや業界標準の係数を参考に、パイルごとの実効比重を計算ロジックに組み込みます。

在庫誤差とヤードの安全リスクを同時に管理する

広大な石炭・鉱物ヤードの管理は、正確な在庫と安全リスクの二律背反を解消することから始まります。
まずは御社のヤードの規模と現在の棚卸し頻度をお聞かせください。最適な計測戦略をご提案いたします。

東海エアサービス株式会社
石炭・鉱物ヤードの3D計測と安全データ解析の専門企業です。

免責事項:本記事は石炭・鉱物在庫の計測技術に関する解説であり、安全管理や財務会計に関する最終的な判断は、貴社の専門家にご確認ください。 © Tokai Air Service Co., Ltd. All Rights Reserved.

TAS Technical Writing Team(技術記事監修)