鉱石・石灰石の3D計測:広大なヤードの体積を「数時間」で確定させるワークフロー
鉱山、セメント、鉄鋼業における原材料在庫の不確実性を解消。
広大なヤードの石灰石、鉄鉱石パイルをドローンLiDARとTLSで計測し、
長期調達計画と日次生産管理の精度を劇的に向上させるための実務ガイドです。
Overview:鉱石・石灰石ヤードの数量管理リスク
セメント製造や製鉄プロセスにおける石灰石・鉄鉱石などの原材料は、常に巨大なスケールで動いています。数万トン単位の在庫が積み上げられるヤードでは、「月末の在庫量が生産計画の鍵」となります。
大規模ヤード特有の「広域・高積載」の課題
これらのヤードは、広大であることに加え、ショベルやスタッカー・リクレーマなどの専用重機で非常に高く積み上げられます(高積載)。 従来の棒差しや数点測量では、ヤードの端から端まで測るのに時間がかかるだけでなく、高所への立ち入りは極めて危険です。
計測に手間取ると、棚卸し作業が生産活動を妨げ、ひいては**生産計画の遅延**や**サプライチェーン全体への影響**を引き起こします。
3D計測が生産計画とコスト管理にもたらす価値
ドローンとレーザースキャナによる3D計測は、この大規模ヤードにおける課題を同時に解決します。
- **スピード:** 数十ヘクタールのヤードを数時間で計測完了し、夜間や稼働停止時間を最小化。
- **安全:** 人の立ち入りを不要にし、重機稼働エリア外からの遠隔計測を可能に。
- **精度:** ヤードのどの部分を掘削・積載すべきか、正確な体積情報に基づいて指示可能。
Chapter 1:広大なヤードの計測手法(ドローン×TLSの使い分け)
鉱石ヤードは、その規模から単一の計測デバイスではなく、複数のデバイスを組み合わせて運用することが最も効率的です。
長距離・広域に最適なドローンLiDARの活用
ヤード全体の形状を最も迅速に把握できるのは、ドローンにLiDAR(レーザー)センサーを搭載した測量です。 LiDARは写真測量と異なり、鉱石の色やテクスチャ、多少の影に左右されません。また、**植生(ヤード周辺の草木)を自動で除去**できるため、パイルの底面(基準面)をより正確に抽出できます。 数キロメートルに及ぶ長大なヤードでも、数回のフライトで点群データを網羅することが可能です。
積み上げ・取崩し部の詳細計測に地上型スキャナ(TLS)を用いる理由
ドローンが広域をカバーする一方、生産活動により形状が頻繁に変化する**「積み上げ口」や「取り崩し面」**など、特定の重要箇所には地上型レーザースキャナ(TLS)を併用します。 TLSはドローンよりも高密度・高精度(ミリ単位)の点群を取得できるため、これらの重要エリアの在庫を、より高い信頼性で確定させることができます。 この「広域(ドローン)と局所(TLS)のハイブリッド計測」が、大規模ヤード計測の成功の鍵となります。
Chapter 2:高精度な体積算出の実務フロー
ヤード境界線と「ベンチ(段)」を考慮した計測設計
大規模鉱石ヤードは、土木・採掘現場と同様に「ベンチ(段)」と呼ばれる層構造を持つことがあります。計測設計においては、これらのベンチの境界や、ヤードの壁面・コンベアなどの設備を、体積計算に影響しない「非計測エリア」として正確に定義する作業が重要です。
初回計測時に、**設備の位置やヤードの恒久基準面を3Dモデルとして登録**し、その後の計測では、この登録モデルとの差分のみを自動で計算するプロセスを構築します。
計測データの取得から体積レポート納品までの時間軸
| ステップ | 所要時間(目安) | 担当部署 |
|---|---|---|
| 計測計画・安全確認 | 1時間(事前調整) | 保全部門・協力会社 |
| ドローン/TLSによる現地スキャン | 2〜4時間 | 協力会社(パイロット) |
| 点群データの後処理・解析 | 4〜8時間 | 解析エンジニア |
| 体積計算レポート納品 | 翌営業日午前中 | 協力会社 → 生産管理 |
この迅速なワークフローにより、例えば月曜早朝に計測を終えれば、火曜日の生産計画会議には最新の在庫データが間に合うようになります。
Chapter 3:密度(比重)の変動リスクと補正
鉱石・石灰石は、他のバルク材と比較して密度(比重)が大きく、その変動が在庫管理に与える影響も甚大です。
鉱石の種類(石灰石、鉄鉱石)による密度差の把握
原料の種類によって理論上の密度(真比重)は異なりますが、ヤードに積まれた状態では、**粉砕度合い、粒度分布、そして空隙(ボイド)の有無**によって「かさ比重(t/m3)」が大きく変動します。 特に、異なる採掘場から運ばれてきた鉱石や、グレードが異なる原料を一時的に同じヤードに積む場合、パイルごとに正確な比重を適用しなければなりません。
積載期間・深さによる締固め率の補正ロジック
石灰石や鉄鉱石は非常に重いため、長期間積載された下層部は、自重によって強く「締め固め」られています。この締固められたエリアは、同じ体積でも新しく積まれたエリアよりも重量が大きくなります。
3D計測の履歴データを活用し、体積計算時に**「パイルの底面からどの程度の深さにあるか」**という情報をロジックに組み込みます。深層部の体積には、サンプリング結果に基づく高い比重係数を適用することで、重量換算の精度を飛躍的に高めることができます。
Chapter 4:在庫データを活用した生産管理
生産計画システムへのデータ連携と自動化
3D計測の真の価値は、体積データが生産管理システム(MES/ERP)と連携することで発揮されます。 計測データはCSV、GeoTIFF、または独自のAPI経由で、日次の生産計画や調達発注システムに自動で取り込まれるよう設計します。 これにより、「実在庫がわからず、計画を安全側に倒す」という非効率な意思決定がなくなります。
導入事例:生産効率の向上と棚卸し精度の安定化
事例:国内セメント工場
課題:広大な石灰石ヤードの棚卸しに数日かかり、その間、重機の動きを止める必要があった。在庫誤差が原因で、月次の生産計画と実績がズレていた。
解決:ドローンLiDARによる月次棚卸しサービスを導入。計測は休日早朝に3時間で完了。
効果:計測時間の90%以上削減。生産に影響を与えなくなった上、在庫データが安定したことで、月次の生産計画の達成率が向上。予備在庫の削減にも成功した。
よくある質問(FAQ)
広大なヤード在庫の不確実性を「数時間」で確定
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まずはヤードの面積と、現在抱えている在庫誤差の状況をお聞かせください。
大規模ヤード計測とデータ連携の専門企業です。


